結成10周年・ベストアルバム『10獄~TENGOKU~』インタビュー
RIZEのKenKenらも注目する打首獄門同好会 “生活密着型ラウドロック”のルーツと魅力とは?
「これは人気曲になり得るんだなという引きの強さを、再認識した」
――そういう共感値の高さで言ったら、「フローネル」なんかまさに……。
大澤:そう、「フローネル」は、作ってみたら意外と人気が出たみたいな曲ですね。で、あの曲にまつわる事件がひとつあって。最近、ミュージックビデオを作りましたけど、前はライブ映像がYoutubeにちょっと上がっているくらいで、あんまり推し曲というつもりもなかったから、そんなに気にもしてなかったんですね。そしたらある日、ツイッターって「フローネル」の歌詞をつぶやいているツイートがちょっと話題になっていて。で、何の騒ぎだと思ったら、つぶやいているのが、RIZEのKenKenだったんですよ。「あれ? これ、RIZEの人だよな? なぜ、うちらのバンドの歌詞を?」って。
――その頃は全然接点がなかったんですか?
大澤:そう、当時は。で、何でつぶやいているんだろう、しかもアルバムの一曲でしかない、オフィシャルな映像を出しているわけでもない曲の歌詞を。って思って、「うちの曲ですねー」ってアプローチしてみたら、「大好きだから」って言われて。で、これは一回ごあいさつに行かなきゃと思って、ライブに遊びに行って……それ以来、飲み仲間みたいな(笑)。
――それが、いつぐらいの話なのですか?
大澤:2年前くらいですかね。で、これは人気曲になり得るんだなという引きの強さを、再認識しまして。なにせ、RIZEの人から引きがあったわけですから(笑)。で、今回ベスト盤を作りましょうってなったときに、じゃあこの曲のミュージックビデオを作ろうっていう話になって。
――そのビデオがまた……。
大澤:そう、このイラストというか“フテネコ”を描いている芦沢ムネトさんも、KenKenを通じて知り合って。で、「フローネル」のビデオを作るってなったときに、あの猫似合うなと思って頼んでみたら描いてくれることになったっていう。
――発表した当時は、推し曲でもなかったのに。
大澤:この曲は、2009年に出した『庶民派爆弾さん』っていうCDに入っているんですけど、それが全国流通の初めてのCDだったので、当時のベストみたいな内容だったんですよね。で、今回のベストと同じように、やっぱり新曲も入れたいよねって作っただけの曲だったんですけど、それをライブでやってみたところ、この曲はかなり共感型なんだなっていうことに気づいて。特にライブをやっているときは夜なので……。
――歌詞の通り、あとは「風呂入って速効寝る計画」っていう(笑)。
大澤:そうそう(笑)。ツイッターで検索すると、いまだに使われていますからね。「もう今日は帰ったらフローネル」って。で、誰かがそれに「何それ?」ってリプライして、「これだよ」って「フローネル」のライブ映像が貼ってあるっていう。
――まさに口コミで広がっているというか、食い物とはまた違う共感が……。
大澤:まあ結局ね、ひっくるめていうと生活密着型というか、“生活密着型ラウドロック”とは、よく言ったなって感じですよね。食べて、寝るっていう(笑)。
――そんな“生活密着型ラウドロック”の集大成とも言えるベスト盤『10極~TENGOKU~』が今回リリースされるわけですが、このタイミングでベスト盤を出すっていうのは、どういう流れだったのですか?
大澤:単純に、結成10周年が今年だったので、何かやるかって考えたんですけど、別に何かって言ってもなあ……「ベスト作る?」っていう安易な考えで。ただ、今までの曲が13曲入っているんですけど、そのうち7曲は再録なわけですよ。俺、録り直すの大好きなので(笑)。技術的なことはもちろん、録音環境も良くなっているので、もう一回録ってみたいなっていう。その最たるものが「フローネル」で、それこそ当時は、ライブで全然回数を重ねていない状況で、とりあえず録ったわけです。でも、そのあとライブのなかで、いろいろ改変されて、雰囲気も変わってきているから、ぜひそれを録りたいなっていう。あと、2年前からうちらのCDに携わってもらっているエンジニアがいるんですけど、その人についてから録った楽曲は、まあ良しとしようと。それが残りの6曲で、それ以前の7曲は、全部再録したんですよね。
――ベスト盤とはいえ、決して楽に作っているわけじゃないと。
大澤:まあ、その他に新曲を3つ入れているので、結局10曲新しく録り直していますから、もうフルアルバムみたいなものですよね(笑)。
――仕上がりはどうですか?
大澤:これはもう、自信作ですね。2年一緒にやってきたレコーディング・エンジニアだから、もう意思の疎通もバッチリっていう。何しろ10曲レコーディングしたうち7曲は、これまでライブで散々やってきた曲なので、もう勝手知ったるというか、かなり良い感じに録れたと思いますね。