人間椅子・鈴木研一が最新作を語る「ハードロックはリフが命だけど、リズムひとつで別の曲になる」
「A級バンドも好きだけど、今ひとつ突き抜けないB級バンドがすごく好きなんです」
――(笑)。では、今回鈴木さんが作曲した4曲について聞かせてください。まず「地獄の料理人」はヘヴィなリフで突き進んでいくナンバーです。
鈴木:これは俺の好きなパターンの曲ですね。どうしても“ジャンジャカジャンジャカ”ってフレーズが好きで作っちゃうんですよ(笑)。俺は“ジャンジャカジャンジャカ”にとらわれてる男なんです(笑)。これはマーシフル・フェイトがよく使うパターンなんです。なんか、このアルバムはヨーロッパの人が好きだと思うなぁ。
――コアなメタルリスナーのいる北欧でウケそうですね。
鈴木:俺らデンマーク行ったら、絶対ウケると思うんすよ。行ってみたいです、デンマーク、ベルギー、フィンランドとか。フェスの前座とかで使ってくれたらなって(笑)。
――あと、ブリブリのベースからスタートする疾走感たっぷりな「生まれ出づる魂」は?
鈴木:これは、(モーターヘッドの)レミーを意識して作ったんです。レミーとフィル・リノットを足して2で割ったような曲です(笑)。2人が大好きでできてしまった曲ですね。
――レミーは病気から復活してライブをやり始めて、9月にはモーターヘッド主催の『Motorboat』って船上フェスツアーをやるそうです(笑)。
鈴木:それ面白い!(笑)。レミーってすごい適当じゃないですか。『極悪レミー』って映画見たら毎日スロット打ってて。いつもパチンコ打ってる俺と同じだなって。
――アハハハ(笑)。
鈴木:でも俺分かるけど、あれ、打ちながら曲考えてますよ。俺もパチンコやってて音ガンガン鳴ってるのに、なぜか良い曲が浮かぶんです。浮かんだ曲を外出て電話に録音してっていうので、いつも俺は作ってます。
――なんと、ただ遊んでるだけじゃないと。
鈴木:そう。たぶんすごい集中してるから、心が研ぎすまされてるんですよ。自分を正当化してるわけじゃないですよ(笑)。
――なるほど(笑)。では曲に戻りますが、「ミス・アンドロイド」はタイトなリフの刻み感と、スライドギターのソロが印象的な曲です。
鈴木:俺はA級バンドも好きだけど、アトミック・ルースターとか今ひとつ突き抜けないB級バンドがすごく好きなんです。で、突き抜けない感じで作ろうと思って、これができたんです。真ん中のリフは、和嶋くんに“ウィッシュボーン・アッシュみたいで良いね”って言われて、ツインギターのハモりにしたんです。最後は無理矢理くっつけたような展開だけど、和嶋くんのスライドギターを入れたんです。実は和嶋くん、スライドギターがすごく上手いんです。あんまり弾かないから、これでみんなに聴かせられて良かった。
――そして「がらんどうの地球」は、うねりのあるリフと跳ねたビートが映える楽曲です。
鈴木:これは思いっきり俺のサバス好きが出ちゃった曲ですね。4枚目(『ブラック・サバス4』)の「アンダー・ザ・サン」に似ちゃってるけど、あの曲が好きすぎてこうなっちまいましたってところですよ(笑)。でも、できあがったら結構違う感じになって良かったです。