超大型特番、作家育成、『ヒッパレ』路線……テレビ音楽番組の最新動向とは?

各局が競い合う「超大型音楽番組」は視聴率増加の鍵を握る?

 これまで、「大型音楽番組」というと、2~3時間のものを指すことが少なくなかったが、最近では『音楽の日』(TBS系)や『音楽のちから』(日本テレビ)など、ゆうに10時間を超える「超大型音楽番組」が増加しつつある傾向がみられる。前者はSMAPの中居正広を司会に起用し、加山雄三や坂本冬美から、NMB48山本彩の弾き語り、さらにはクリープハイプにゲスの極み乙女。などの若手バンドまで出演する、全方位向けのラインナップで約13時間の生放送を届けた。後者は嵐の櫻井翔を総合司会に据え、同グループの15周年スペシャルライブを軸に展開した、約11時間の音楽番組だった。

 このような大型音楽番組がなぜ増加しているのか。リアルタイムでネット上の声を観察していたところ、「BGM代わりにちょうどいい」や「目的のアーティストが出るのは10分程度だけど、いつでるかという明確な時間がわからないから、とりあえずチャンネルは合わせておく」といった、興味深い意見がいくつも書かれていた。確かに、出演者自体は大きいブロックで時間帯ごとに分けられてはいるものの、はっきりとした出演時間は明記されていない。この「音楽が流れ続けるチャンネルを垂れ流す」といういわばラジオ的な試聴方法が、番組の視聴率増加につながっているのだとすれば、実に興味深い傾向である。

 大型番組の“ラジオ化”や、深夜枠の新機軸など、今期も制作側に様々な創意工夫が見られる音楽番組。秋の改編にも期待しつつ、これらの試みが下半期でどのように評価されるのかも追っていきたい。
(文=中村拓海)

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