ショーン・ポールはなぜ「ダンスホール・レゲエ界の帝王」と呼ばれるのか?
「最近、ヒップホップ・アーティストとのリンクが弱くなっている気がしていて、ヒップホップを聴いて育った人間としてはちょっとマズいなと思っていたんだ」と語っていたショーン・ポール。確かに、この「Entertainment 2.0」のみならず、ポロウ・ダ・ドンがヘヴィーなビートをメイクし、オーストラリア出身の新世代女性ラッパーであるイギー・アザリアが参加した「Wickedest Style」でも、ヒップホップへの接近は確認できる。いずれにせよ、他ジャンル、特に最新のダンス・ミュージックの潮流への目配りを忘れることなく、それらを自らのダンスホールへと昇華してみせる表現の広さは、まさに帝王の懐の深さと言ったところか。
制作陣に目を移そう。ウィズ・カリーファ「Work Hard Play Hard」やジム・クラス・ヒーローズ「Stereo Hearts」などのヒットで知られるベニー・ブランコは本作でも続投。昨夏に発表された、清涼感溢れる先行シングル「Other Side Of Love』や、レゲエのリディムをEDM仕様でアップデートしたかのような最新シングル「Want Them All」を、プロデューサー・チームのキャタラクスと共に作り上げた。映画『華麗なるギャツビー』のサントラに収録されたファーギーとQ・ティップの共演曲「A Little Party Never Killed Nobody (All We Got)」を手がけたグーンロックがプロデュースした「Turn It Up」も、ダンスホールとEDMが見事に融合している。
NE-YO「So Sick」やビヨンセ「Irreplaceable」を手掛けたスターゲイトも続投。スターゲイトのダンスホールへの深いリスペクトが感じられる「It's Your Life」は、それこそ、ショーン・ポールの特大ヒット「Get Busy」を彷彿させる激アッパー・チューンで、こちらは次なるシングルの最有力候補と言えるだろう。
そんなアルバムの中でも、ショーン・ポールが特に言及したのは、極上のミッド・ナンバーである「Light On」で、もともとはエイコンがアンオフィシャルに発表していた曲だ。