iTunes Radioが驚異の急成長 アメリカ音楽ストリーミングサービスの最新シェア動向

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iTunes Radio、トップページ。

 アップルの提供する音楽ストリーミングサービスiTunes Radioが昨年9月のリリースからわずか半年でSpotifyやGoogle Play All Accessなどの競合サービスを抜き去り、アメリカ国内において業界3位のシェアを獲得していることがStatistaの調べで明らかになった。(参考:Statista: iTunes Radio already 3rd most popular music streamer)iTunes Radioの急成長は留まることを知らず、アメリカにおける音楽ストリーミングサービスの競争は今後も激化していくものと予想される。

 iTunes Radioは現在アメリカとオーストラリアで提供されている音楽ストリーミングサービス。再生頻度の高いアーティストやiTunesで購入済みの楽曲を自動で分析し、ユーザーの趣味嗜好に合ったジャンルの音楽をレコメンドして再生してくれるパーソナライズド機能がその特徴だ。音楽ストリーミングサービスとしては後発にあたるiTunes Radioだが、iOS 7に標準搭載されたことにより主にiPhoneやiPadユーザーらの間で爆発的に普及。リリースからわずか1週間で1100万人のユーザーを獲得したことが話題となった。現在のアメリカ国内シェアは8%、業界2位のiHeartRadio(9%)に迫る勢いをみせている。

 現在アメリカ国内で圧倒的なシェアを誇るのが老舗のPandora。シェアで31%、月に1回以上利用するアクティブなユーザー数は8000万人(オーストラリアとニュージーランドを含むサービス対象地域全体で1億5000万人)を超える。しかしその業績は決して芳しくない。2012年の売上は4億1000万ドルに達したが利益はわずか1600万ドル。2013年に至っては売上6億3800万ドルに対し4070万ドルの赤字となった。Pandoraは株主に対し今後数年も赤字が続く予想としている。その背景にあるのがサブスクリプト(有料)会員の伸び悩みだ。現在Pandoraを使うユーザーの大多数が無料会員であり、収益の大半は広告収入によるものである。しかし既存のビジネスモデルでは増加するユーザー数と80万曲にのぼる提供楽曲のコストを補うことが難しく、現在の地位が今後も安泰かというと決してそういうわけでもない。

 そんな中、アップルのライバル企業である韓国のサムスンが新たに音楽ストリーミングサービスへ参入を発表した。米国時間3月7日に提供を開始したMilk Musicは現状アメリカのGALAXY端末ユーザーのみに限定されたサービスだが、サムスンの米国メディアソリューションセンターで音楽担当バイスプレジデントを務めるDaren Tsui氏はアメリカ以外の地域や他端末でのサービス提供についても示唆している。(参考:サムスン、音楽ストリーミングサービス「Milk Music」を発表--「iTunes Radio」やSpotifyに対抗

 現状では音楽ストリーミングサービスの乱立するアメリカ市場だが、この先数年でサービスの淘汰が進み主要なものは2〜3つに絞られていくものと見られる。日本でもキャリア主導のものやUSEN、エイベックスなど国産サービスの新規参入が相次いでおり、一方でSpotifyの上陸がいよいよ間近とも報じられているが、世界最大の音楽市場であるアメリカの動向は注視しておく必要がありそうだ。
(文=北濱信哉)

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