DJ SHINTAROが語る、世界大会優勝までの道「型を壊すことで、耳の肥えた客を驚かせたかった」
――決勝戦では「さくらさくら」や「スーパーマリオブラザーズ」など日本らしいネタを使ったのも印象的でしたね。
DJ SHINTARO:オープニングで使ったザ・フージーズ『Killing Me Softly』は去年の日本代表だったDJ 8manが使ってたのを取り入れました。あとジャパン・ファイナルで関西代表のDJ B=BALLがゲームのネタを使っていたのもやってみようと。アジア人が決勝に進むこと自体が初めてだったし、彼らに敬意を表して、世界に向けて日本の爪痕を残してやろうという気持ちでした。「さくらさくら」の時に「お・も・て・な・し」のような手振りになってしまったのは無意識でした(笑)。
――優勝する手応えはありましたか?
DJ SHINTARO:決勝戦は一番手だったんですが、自分が思い描いた通りに盛り上がって。お客さんの好みの分析は予選でできていたし、絶対に会場を盛り上げる自信もありました。他の出場者は近年の「Red Bull Thre3Style」の出来上がってきたスタイルにとらわれすぎてたのかもしれない。僕は逆に型を壊すことで、耳の肥えたお客さんを驚かせたかった。結果的に、終わっても次のDJに移行できないくらいザワついたり、審査員を務めていたジャジー・ジェフら世界の有名DJたちが全員スタンディング・オベーションで称えてくれました。優勝発表の時にお客さんが「ジャパン! ジャパン!!」とコールをしてくれたことにも感動しました。
――世界チャンピオンになって得たものとは?
DJ SHINTARO:日本人のDJは世界ではどう見られているんだろう? って、ずっと考えてたんです。でも、日本人は愛されていることがわかりました。自分が目指してきたことは間違いなかったと確信できたし、これからは自信を持って、日本人DJとして胸を張って世界に挑戦していきたいですね。
――来年のRed Bull Thre3Styleは出場しますか?
DJ SHINTARO:現段階では考えていないです。他にもやりたいことがたくさんあるし、新しいことにも挑戦していきたいので。だけど、新しいチャンピオンもまた日本から輩出したいので、そのお手伝いをしたいと思っています。
まだまだ語り尽くせないほど、たくさんのドラマがあった「Red Bull Thre3Style 2013」。すべての結果発表が終わった後に、審査員だったカナダのレジェンドDJ、スクラッチ・バスティッドはDJ SHINTAROが優勝した理由をこう語ったそうだ。
「なぜ2,000人のお客さんがおまえを愛したかわかるか? この4日間、おまえはトロントのお客さんのことをよく考えていただろう? おまえがみんなを愛したことが伝わったから、お客さんもSHINTAROのことを愛してくれたんだ」
言葉の壁はあっても、音楽を通して気持ちが伝わること。日本の技術やマインドが世界に通じることを証明してくれたDJ SHINTARO。これは金メダルに値する快挙で、これからメジャー・リーグに挑戦するようなものなんです。我々は彼のことを、もっと誇らしく思いたいし、日本の音楽シーンを代表して、ガンガン切り込んでいく姿を応援したいじゃないですか! まだ間に合いますよ。この年末、ぜひともクラブに足を運んで、世界一のクラブ・プレイを体感してみてください!
(取材・文=YANATAKE)
■Red Bull Thre3Style
“Party Rock”をテーマに、15分の持ち時間内に3ジャンル以上の音楽をプレイし、世界最高峰のパーティ・ロックDJ を決めるコンペティション。創造性/選曲/スキル/パフォーマンス/オーディエンスの盛り上がりの5項目を審査員が採点し、最終ディスカッションにより勝者が決定する。
■DJ SHINTARO
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■YANATAKE
レコード・ショップ『CISCO』のヒップホップ・チーフバイヤーとして渋谷宇田川町の一時代を築き、レコード・レーベル「Def Jam Japan」の立ち上げやMTV Japanに選曲家として参加するなどヒップホップ・シーンの重要な場面を担う。block.fmの人気ヒップホップ番組『INSIDE OUT』のディレクター、HIP HOP DJ、音楽ライター、USTREAMなどのオペレーターとしても活躍中。12月27日に『DEEP INSIDE OF FILE RECORDS CLASSICS -compiled by YANATAKE & SEX山口-』リリース。
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