「日本の音楽の“方程式”を超えたい」チェコ・ノー・リパブリックが目指す、世界標準のポップ

――話を少し戻します。洋楽の自由さ、ということを仰っていましたけれど、具体的にどういう音楽が原体験ですか?

武井:最初にバチンときたのはThe Strokesのファーストです。The Strokesはそれ以来、ずっとぶれずに好きですね。彼らにはロックの定番セオリーみたいなものが全然なくて、すごいなぁって思います。

 あとはYouTubeの関連動画を漁って聴くのが好きですね。今の海外シーンはかなりヤバイです。アシッドなものやエレクトロ、かなりいろいろ聴きます。いろいろ聴きすぎて最近、自分がどこに行きたいのかわからなくなってきたくらい(笑)。フジロックでOf Monsters and Menを観て、ああいうラッパとか入っている北欧っぽいのも好きですね。

 歌詞を書くときには、昔の曲を聴いて深く感動して書いたりしますし、サウンドを作るときには今のシーンの実験的な新しいものが刺激になります。

――最近刺激になったものは?

武井:Starsがよかったですね。それからStarsの元ギタリストと彼女が二人でやってるYoung Galaxyもよかったです。それからStarfuckerもエレクトロで、でもバンドで、曲も良くて、来日公演に行きました。

――そうなるとバンド形態に留まらないものもやりたくなってきますね?

武井:家で作るときにはドラム打ち込みで、それも気持ちいいですね。ドラムに求めるものもどんどんシンプルになっていくし、打ち込み音源をドラムトリガーで鳴らすのもやってみたい。かといってそれだけじゃ嫌で、ガツガツ叩いて欲しい曲もあるので、次の音源が楽しみです。

砂川:僕はチェコをやる前は全然違うタイプのバンドをやっていました。高校のときにNirvanaとかSonic Youthに出会って、UKな音楽にはまっていって、最終的にはBattlesとか聴いてました。より複雑なものを、と聴いていたんですけれど、The Drumsに出会ったときに思わず笑ってしまって(笑)。最初は「何だこの音?」と思ったんですけれど、The Drumsのシンプルさやポップさに引き算を学んで、それが自分にとってターニングポイントでした。

――日本の洋楽好きのバンドはUKギターバンドに影響を受けていることが多い印象がありますけど、チェコはどちらかというとUS、それも東の方ですね?

武井:最初は全然狙っていなくて、(CDショップの)ポップの紹介で「USインディー直系のバンド現る!」みたいに書かれていて初めて「USインディー」って言葉を知りました。今思うとそういうのも聴いてはいたんですけれど、わりとUKばっかり聴いている時期もあったんですよ。ただ、たまたま作った曲と、当時のUSインディーの手法が丸かぶりだったので、そう言われるようになったんでしょうね。……でも、UKの音楽ってかっこいいですよね。見た目もかっこいいし、歌も上手い人が多い。それに比べてUSってちょっとアホっぽい感じで、歌もヘナヘナだったりして。きっとそっちの方が、自分たちにとって居心地が良かったんでしょうね(笑)。

――最後に、今後の活動への意気込みを。

武井:やっぱり、より多くの方に聴いてもらって気に入られないと駄目だと思うので、そこは頑張りたいです。でも、“らしさ”もなくしたくないし、音楽的な探究心がどんどん増えてきているので、いろいろなことに手を出したいと思っています。とはいえオナニーにだけはなりたくない(笑)。多くの人が聴いて「いいね」と思ってくれることが一番いい。難しいところではあると思いますけれど、成功しないことには続かないので、結果を出していきたいです。

砂川:僕も同じように、多くの人に届けたいと思います。ただ自由度は保ちたいので、「こういうことはうちのバンドでは無理だよね」と決めずに、いろいろと試したい。そういうチャレンジを通して、チェコ・ノー・リパブリックの音楽を確立させていきたいですね。

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