リリー・フランキーが語る「ザンジバルナイトと音楽カルチャー」(第1回)
「フェスはただの音楽鑑賞会じゃない」リリー・フランキーが考える“理想のフェス”とは?
――ステージごとの特色は?
リリー:メインステージは今の音楽をやっているミュージシャンだと思う。小室哲哉さんにしてもそうだし、OKAMOTO'Sもそうだし、でんぱ組.incもそう。みんな、少なくとも前時代的なサウンドではない。たとえば小室さんの作品って、多くの人がイメージするのは今まで小室さんが作ったヒット曲だったりして、懐かしい印象を覚える人もいると思う。でも彼は常にその時々で“今の音楽”をやってきた人なんだよね、安室奈美恵の曲にしてもTRFの曲にしても。その時代の音楽を、小室さんの中できちんと消化している。で、最近の小室さんのソロなんだけど、すごくいいんだよね。そして、それを俺が観たいという(笑)。こないだのサマーソニック、観に行けなかったしね。
プールステージには様々なアーティストが出てくる。テントステージはトークや弾き語りなんかがメインだね。だから、メインステージはミュージシャンに頼りっきりだけど、それ以外のところ、テントステージやフードコートをどう充実させるかっていうのが、俺たちみたいなキャストの役割だと思う。メインステージではないところの面白さが「遊びに来てよかった」って感覚を作るものだと思うからね。今回は、遊びに来なかったひとに「あー、行けば良かった」って後悔させるくらい気合いを入れているよ。もう、来年はこのテンションになれる自信はないよね。
――今回はなぜそんなにやる気に?
リリー:せっかく3ステージでできるんだから、もう一回フェスっていうものを、ただの音楽鑑賞会じゃないところに戻したかったという気持ちが大きいかな。単純に遊びたい。たとえばライジングサンとかに行っても、バックヤードでミュージシャンとジンギスカン食べてたりするのが面白かったりするんだよね。その感覚を表に出したいというか、お客さんとバックヤードを共有したいというか。
――フードコートではどんなメニューを?
ここもいろいろ考えているんだけど、今の段階ですでに、食中毒が出そうな企画ばっかりなんだよね(笑)。会田誠さんの土人BBQとか(笑)最高でしょ。スチャダラパーのビニールに入ったわたあめ作ったりね。お客さんが「うわーいらねー」って思うものを売りたい。くだらないことに手間暇をかけられるのも、東京でフェスをやる意味だと思うしね。
――音楽じゃないところにも、力を入れている。
リリー:文化って音楽なら音楽、お笑いならお笑いっていう風に、孤立しているものじゃないと思う。いろんなものが共存しているもの。今回は音楽というものから派生している文化、たとえばミッツ・マングローブは、タレントとして認識しているひとが多いと思うんだけど、あの人がやっている歌謡ユニットの星屑スキャットは、実はすごく渋い音楽なんだよね。ほかに音楽芸人として、どぶろっくやマキタスポーツ。彼らは面白いだけじゃなくて、楽曲的にも素晴らしい。そういった感じで、文化のいろんな側面を楽しめる空間にしたいんだよね。今回のザンジバルは、もしその3つのステージに全然お気に入りの人がいなかったとしても、その空間にいるだけで楽しいイベントになっているんじゃないかな。
第2回:初期ビートルズ、藤圭子、パンク……リリー・フランキー流の“音楽の楽しみ方”とは?に続く
2013年9月21日(土)
東京都 新木場STUDIO COAST
OPEN 14:00 / START 15:00
出演者
アリーナ・ステージ(ライブ)
小室哲哉 / スチャダラパー / OKAMOTO’S / でんぱ組.inc / and more
テント・ステージ(トーク&ライブ)
みうらじゅん&リリー・フランキー / 吉田豪&杉作J太郎 / どぶろっく / マキタスポーツ / 渡辺大知(黒猫チェルシー) / 星屑スキャット(ミッツ・マングローブ、ギャランティーク和恵、メイリー・ムー)
プール・ステージ(ライブ&DJ)
Negicco / ウクレレえいじ / Charisma.com / 掟ポルシェ / ピエール中野(凛として時雨) / and more
テレビ・ステージ(トーク)
大根仁 / and more
フードコート
Coming Soon
(取材・文=マツタヒロノリ、写真=金子山)