岡島紳士が語る「ポスト戦国時代のアイドル」(後編)
恋をしても許されたアイドル AKB48指原莉乃はなぜ支持を失わないのか
――かつてのアイドルのように、メディア発信型の、他人によって作られた理想像を演じるのではなく、今のアイドルは自ら価値を発信する存在でもあるわけですね。
岡島 アイドルの魅力の本質は、突き詰めると「そのアイドル自身」にあるといえるかもしれません。そして、バラエティ番組はアイドル自身の素の魅力、本質の部分を大きく発揮できる場で、自らのキャラクターもコントロールしやすい。だからこそ自己プロデュース能力の高い彼女はバラエティ番組でタレントとしての実力をアピールでき、結果として露出が増え、人気を維持できているという部分もあるのではないでしょうか。
――なるほど、指原さんは新しいアイドルの在り方を示しているんですね。
岡島 自己プロデュース能力は売れているタレントなら昔から当たり前に持っているものです。ネットサービスの進化と浸透によって、上手く才能をアピールできたのが、指原さんなんだと思います。
――最後に、今後のアイドル業界はどのように変わっていくと思いますか?
岡島 アイドリング!!!のプロデューサーであるフジテレビの門澤清太さんは、TOKYO IDOL FESTIVALという、100組以上の女性アイドルが参加するイベントのプロデューサーをつとめています。繰り返しになりますが、今後は門澤さんが掲げている「アイドルの多様性」が定着へと向かうのではと思います。どこか1組のアイドルだけが面白い、ということではなく、アイドルカルチャー全体が面白いんだという風になっていってほしいと、僕は思っていますし、実際にそういう風になっていくのではないかと思います。
(取材・文=マツタヒロノリ)