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ほろ苦いホームドラマの幕開け! 他人の家を覗き見する『あなたには帰る家がある』のスリル

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「帰りたくないんですよ、あの家には!」

 帰る“家”とは、ハウスか、ホームか。金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』(TBS系)が始まった。中谷美紀、玉木宏、ユースケ・サンタマリア、木村多江が2組の夫婦を演じる大人の群像劇。原作は1994年に刊行された、直木賞作家・山本文緒の同名小説だ。

 本作では2018年を生きる夫婦のリアルを描くために、100名以上の既婚女性を取材。そこから見えてきた“夫婦あるある”が脚本に取り入れられているという。番組公式サイトにも視聴者が書き込めるコーナーも。読み進めると、なんだか他人の家を覗き見しているような気分になる。知ってはいけないものを見てしまったような、開けてはいけないドアに手をかけてしまったような……。

 居を構えるというのは、どう暮らしていくかを考えることでもある。2組の夫婦が暮らす家は、そのまま関係性が見て取れる。特に、キッチンは大きな違いを感じる。真弓(中谷)と秀明(玉木)の佐藤家では現代の夫婦らしい対面キッチン。ダイニングテーブルにはウェットティッシュ。シンプルに家事をこなしたい真弓らしいアイテムだ。一方、綾子(木村)と太郎(ユースケ)の茄子田家は、居間との間にガラスの引き戸がある昔ながらの台所だ。座卓には昔ながらの茶菓子入れ、そして太郎の父親の座椅子とその他の家族用の座布団。家長を中心とした前世代の日本家庭を彷彿とさせる。炊事をしながら「ねえ、聞いてる?」と秀明に話しかける真弓と、「はい、ただいま」と自分の食事を後回しに家族に尽くす綾子。ふたりの姿を見ていると、家の動線がそのまま妻のあり方の変化を示しているように思えた。

 夫と妻が対等に言葉を交わすのも、妻が夫を立てるように振る舞うのも、いずれも否定するつもりはない。それはダイニングテーブルで食べるか、座卓で食べるかの違い。どちらがいいか悪いかではなく、どのスタイルが合っているのか、だ。多くの結婚式で耳にする、“笑顔の絶えない明るい家庭”という言葉も、どんな家で、どんな暮らしをしたいのかを話し合えたら、幸せな夫婦生活を実現するヒントになるかもしれない。真弓と秀明が恋人時代、映画の趣味が違うことを楽しめたように。かつてのふたりを思い出のカフェの窓から覗く真弓は、きっと何が変わってしまったのかわからないのだろう。自分では精一杯やっているのに、という余裕のなさこそパートナーへの最大のマウンティングになっている。また秀明は、真弓が何を言っても目を合わせない。不満を言ってもさらに文句が返ってくると予測して反論しない。だが、真弓にとってはその姿が家庭に無関心であるように見えて、より一層「私ばっかり」と余裕をなくしていく。

      

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