結婚願望を打ち砕く本音が炸裂! 『あなたには帰る家がある』で描かれる夫婦のリアル
「結婚願望がさらになくなっていきそうです」。主演の中谷美紀が、『あなたには帰る家がある』特別試写会後のトークイベント挨拶で述べた言葉に、第1話を観たばかりの観客は頷いている様子があった(参考:中谷美紀、主演ドラマ『あなたには帰る家がある』との出会いで変化した“結婚願望”への本音を明かす)。
小さな日々の不満、ささいなすれ違いの積み重ねから生まれた“妻の本音と夫の秘密”によって、2組の夫婦が翻弄されていく模様が描かれる本作は、冒頭からインパクトある不倫現場が映し出された。“不倫ドラマ”を意識して観始めたが、本題はそこではない気がした。
第1話から散りばめられていたのが夫婦の“本音”だ。妻の佐藤真弓(中谷美紀)から見ると、夫・佐藤秀明(玉木宏)は家のことは何もしていない。真弓は、秀明が賞味期限切れの食材を敏感に見つけ出したり、家事の粗探しをすることをとても嫌がった。「先に帰ったら洗濯物取り込んでおこうとか少しもないわけ?」という真弓に、「俺が何もやってないみたいな言い方するなよ」と返す秀明。もしかするとこれは、よくある夫婦の光景なのだろうか。
結婚13年目を迎える佐藤夫婦。カレーショップこまちを営む三浦圭介(駿河太郎)は、2人の良き相談相手だ。しかし、第1話では、真弓と秀明が何度も店を訪れるのだが、いつも1人ずつ。2人はそれぞれ別々に訪れて、互いの愚痴を圭介に聞いてもらっているのだ。
圭介から「夫婦になってよかったこと」をそれぞれ聞かれる2人。文句ならバンバン出てくるものの、なかなか「よかったこと」が出てこない。やっと秀明が発した答えは「精神力が鍛えられる」だった。
高校時代には陸上部で、結婚前に務めていた旅行代理店でもバリバリ働いていた活発な真弓。映画を好む文化系で、身につけるものにはこだわりが強い秀明。2人は好みも性格もまるで正反対とも言える。文句があれば口に出して面と向かって言う真弓に比べ、秀明は思っていても余計なことは言わないでおこう主義。第1話を観ると、真弓が不満を持つ気持ちも分かる一方で「精神力が鍛えられる」と話した日頃の本音を抑えている秀明の気持ちもとても理解できるのだ。