白濱亜嵐、ゼロから役作りで少女漫画の世界にーー『ひるなかの流星』で示した、役者としての可能性

白濱亜嵐、役者としての可能性

 すずめを好きになっていく馬村だが、すずめが獅子尾に惹かれていることにも気づいている。自分とは違う相手を好きな子を想い続ける……。切なさMAXのシチュエーションであり、まさにこの馬村の恋心こそ、少女コミックの軸になりうる。ちなみにこうした気持ちは、白濱自身、とても共感できると語っており、馬村のまっすぐさや、どうしても感じてしまうフラストレーションとの葛藤を、素直に、決して大げさではない表情の変化やセリフの言い回しで見せていった。大きな動きのない役柄だったからこそ、瞳の奥に感情を湛えた演技が引き出されたと言っていい。

20170324-hirunaka-s5-th.jpg

 

 すずめに告白したり、手をつないで帰ったり、獅子尾と衝突したり。『ひるなかの流星』の世界観に、ぴったりとはまって見せた白濱。これまでとは違うアプローチによって、グループのひとりとしてではなく、ひとりの役者としての扉を開いた。本人も「ひとりの俳優としてもやっていきたい」と口にしており、今後は、イケることを証明した少女コミックものの実写化だけでなく、こちらも続くだろう小説の原作ものや、完全オリジナル脚本による作品など、ジャンルを問わずに果敢に挑んでほしい。挑戦こそが、役者としての糧になり、ひいては日本映画の作品の空気も循環していく。

■望月ふみ
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。

■公開情報
『ひるなかの流星』
公開中
出演:永野芽郁、三浦翔平、白濱亜嵐ほか
監督:新城毅彦
脚本:安達奈緒子
原作:「ひるなかの流星」やまもり三香(集英社マーガレットコミックス刊)
企画・製作:フジテレビ
制作プロダクション:C&Iエンタテインメント
配給:東宝
(c)2017 映画「ひるなかの流星」製作委員会 (c)やまもり三香/集英社
公式サイト:hirunaka.jp

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アクター分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる