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『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』マイケル・ムーア監督インタビュー

「まだまだやることはある」 マイケル・ムーア監督が語る、新作撮影秘話とアメリカ社会の変化

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 銃規制、対テロ戦争、医療制度、資本主義など、アメリカの社会問題を取り上げ、ドキュメンタリー映画として世界に発信をし続けてきたマイケル・ムーア監督の最新作『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』が現在公開中だ。本作では、年間8週間も有給があるイタリア、麻薬使用が犯罪にならないポルトガル、給食がフレンチフルコースのフランスなど、ムーア監督が様々な国を訪れ、その国のジョーシキをアメリカに持ち帰る模様が描かれている。リアルサウンド映画部では、マイケル・ムーア監督にインタビューを行い、本作を手がけることになった経緯や、現在のアメリカ社会について、話を訊いた。

「今回の作品は、これまでの僕の作品の中で、最も準備をしていない作品なんだ」

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ーー前作『キャピタリズム〜マネーは踊る〜』で来日された際、あなたは「これが引退作になるかもしれない」という旨の発言をされていましたよね。

マイケル・ムーア監督(以下、ムーア):「これが僕の最後の作品になるかもしれない」と言ったその意図は、これ以上アメリカ人が何もしないのであれば、もう僕は少数派としてひとりで声高に訴え続けるつもりはないということだったんだ。ただ、それから2年経って、ウォール街のOccupy Wall Street(訳:ウォール街を占拠せよ)や、黒人によるBlack Lives Matter(訳:黒人の命は大切だ)など、たくさんのデモ活動が行われ、何万人もの人が行動を起こした。つまり、僕はもはや少数派ではなく、多数派なんだと。僕はそれが非常に嬉しくて、多数派の一員としてもう一度行動を起こす必要があると思って、この映画を作るに至ったんだ。

ーーそこで“世界侵略”をテーマにしたのはなぜでしょう?

ムーア:これまでの作品では、批評家たちに「君の作品は問題提起ばかりで、解決策については何も言っていない」と言われてきた。だから、解決策だけを描いた2時間の映画を作ってやろうと思ったんだ。外国を“侵略”することで、アメリカに解決策をもたらす。でもこれは、アメリカ人だけでなく、日本人にとっても学ぶことがたくさんあると思うよ。例えば、日本の皆さんは勤勉だから、少しは休んだほうがいいという教訓にもなるんじゃないかな。

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ーー確かに、年間8週間も有給があるというイタリアのジョーシキには驚かされました。イタリア以外にも、フランス、フィンランド、ノルウェーなどを訪れていますが、取材対象の国は事前に決めていたんですか?

ムーア:あらかじめ決めていた国もあれば、数時間前に思い立っていきなり訪れた国もある。例えば、ヘルシンキで撮影をしていた時に、取材対象者がエストニアの話をし始めたんだ。そこで僕は、エストニアはヘルシンキからフェリーで行けることに気づいた。もともとはヘルシンキからアイスランドへ直行する予定だったんだが、フライトをキャンセルして、そのままフェリーに乗ってエストニアに行ったんだ。残念ながらエストニアで撮影したものは本編では使っていないが、いろんな国をランダムに観光した。ほかにも、16歳で投票権を得られるオーストリアや、選挙期間がわずか8週間というカナダでも取材を行ったけど、いろんな事情があってカットしたよ。

ーーなるほど。あなたのこれまでの作品は“突撃取材”が代名詞でもありましたよね。今回の作品は“突撃取材”というよりも、事前にしっかり準備をされていたようにも感じましたが、今の話を聞く限り、今回もある意味では“突撃取材”だったと。

ムーア:そうだね。実は今回の作品は、これまでの僕の作品の中で、最も準備をしていない作品なんだ。あらかじめ想定した答えがあったわけではなくて、とにかく発見の旅にしようと思っていた。だから、取材対象者がこう言うだろうみたいな想定も、僕の中には全くなかった。実際、イタリアで撮影に応じてくれたカップルも、僕が現場入りする2日前にプロデューサーがたまたま出会って、出演してくれることになったんだ。街中で声をかけたり、いきなり電話をしてみたり、家に行ってもいいかという交渉をしたりというように、かなり突撃取材ではあった。ドイツのスパのシーンで出てくる女性たちもあらかじめアポを取っていたわけではなかったから、彼女たちが何を言うかもわからないまま、カメラを向けているんだよね。

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ーー今回の作品は、女性の社会進出も大きなテーマになっていますよね。

ムーア:それも最初から考えていたわけではなくて、撮影を進めていくうちにそういうことにフォーカスするようになった。というのは、いろんな国を訪れていくうちに、あるひとつの法則を見出せるようになったんだ。それは、女性が権力を持つと、老若男女にとって、よりより社会が構築できるようになるということ。もちろん、シンボルとして女性が立っているのではなく、本当に女性が権力を持っていることが重要だ。社会学的な理由や、生物学的な理由が何かあるのかもしれないけど、なぜだかは僕もわからない。ただ、やはり何事も男女混合でやったほうが楽しいはずだ。ホモセクシャルやヘテロセクシャルに関わらず、男性はみんな女性が好きなわけだからね。

      

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