中島裕翔、中島健人、山田涼介……ジャニーズの“ラブシーン”はどう描かれてきたか?

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(C)タナカケンイチ

 ジャニーズの俳優にとって、さわやかさや可愛らしさ、あるいは瑞々しさといったイメージと同じくらい重要なのが“色気”だ。それは歌声や歌詞の内容、佇まいなどにも表れるが、時にはコンサートでセクシーな衣装を身に纏ったり、グラビアで裸体を披露したりといった直接的な表現もなされ、ファンたちを刺激的に挑発する。そして、映画やドラマなどでは“ラブシーン”を披露することもある。しかしながら、アイドルは清純さや貞潔さも同時に求められるため、その表現には絶妙なさじ加減も必要かもしれない。そこで本稿では、今年1月に公開された映画『ピンクとグレー』を中心に、ジャニーズのラブシーンの描かれ方を掘り下げたい。

 二人の役者の数奇な運命を描いた映画『ピンクとグレー』では、役者として人気を博しながら人生に苦悩する主人公・白木蓮吾をHey!Say!JUMPの中島裕翔が演じ、主人公の幼なじみサリーを演じる夏帆と濃厚なベッドシーンに挑戦した。原作は、ジャニーズ唯一の小説家として活動しているNEWSの加藤シゲアキ。加藤の初めての映像化作品であることと、公開前から中島裕翔のラブシーンがあると噂されていたため、ジャニーズファンの間でも大きな反響を呼んだ。女優・杏と共演した『デート ~恋とはどんなものかしら~』(フジテレビ)でキスシーンを経験していた中島だが、夏帆とのベッドシーンについてはファンから賛否両論の声が上がったようだ。

 『ピンクとグレー』の原作にもラブシーンを想起させる描写があり、それが映画でもそのまま再現されている。本作のラブシーンは、白木蓮吾が抱える孤独ややり場のない気持ちがピークに達していることを表現するための演出だった。中島と夏帆の匂い立つような生々しいラブシーンは、原作の持つ情念や焦燥感を伝えるうえで非常に効果的だった。加藤シゲアキは、4作目の著書『傘を持たない蟻たちは』で『ピンクとグレー』よりさらに過激な性描写をしている。2015年6月1日に放送された『NEWS ZERO』(日本テレビ)で、嵐の櫻井翔に性描写の必要性を問われた加藤は「書きたい物語に必要だっただけ」と回答し、「ジャニーズだからこその制限は必要ない」とも語っていた。ファンにとっては刺激が強すぎる面もあったようだが、その作品を描くうえで必要不可欠な要素であれば、過激なラブシーンも厭わないというジャニーズの姿勢が垣間見れる回答であり、彼らがドラマや映画といった作品に対して一俳優として真摯に向き合っていることが伺える。

 ティーンに人気の学園恋愛漫画を実写化した『黒崎くんの言いなりになんてならない』では、SexyZoneの中島健人がドSの腹黒王子・黒崎晴人を演じ、小松菜奈扮する赤羽由宇を相手に”エロキュン”と称したラブシーンを披露している。中島はすでにキャバクラを舞台にした連続ドラマ『黒服物語』(テレビ朝日)で、ヒロインである佐々木希とのベッドシーンに挑戦しているため、比較的コミカルな雰囲気だった本作のラブシーンは好意的に見られているようだ。ファンの多くが10代ということもあり、やはりファンタジーを感じさせる可愛らしいラブシーンの方が、彼らとの相性は良いのかもしれない。

 3月25日に公開される『暗殺教室~卒業編~』では、主人公の潮田渚を演じるHey!Say!JUMPの山田涼介が初めてキスシーンに臨んでいるようだ。『QLAP!』2016年3月号(音楽と人)のインタビューで山田は「茅野(山本舞香)とのアレは、ストーリー上、無の境地というか。そういう気持ちで演技をしたシーンでもないし……」と発言しているが、それは照れ隠しだけでなく、ファンへの配慮があったのかもしれない。初めてのラブシーンはやはり、慎重にならざるを得ないのだろう。

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