ExWHYZ×Seiho、自由自在な曲作りとステージ表現のシナジー EMPiRE以降の共演歴も振り返る

ExWHYZ×Seiho、共演歴を振り返る

 ExWHYZが3月20日にリリースするニューアルバム『Dress to Kill』は彼女たちにとって初めての「バラエティアルバム」と銘打たれている。新曲はもちろん、カバー(大沢伸一のアンセム「Our Song」)、リミックスなど文字通りバラエティに富んだ楽曲が集まり、スタート以来進化を続けてきたExWHYZがまた新たな顔を見せる一作となっている。

  そんなアルバムに、オープニングトラック「Dresscode」のプロデュースと、自身が提供した楽曲「ANSWER」のリミックスで参加しているのがSeihoだ。ExWHYZとは前身グループ EMPiRE時代の「IZA!!」でプロデュースを務めて以来の仲である彼。今回の「ANSWER」リミックスでもオリジナル以上にExWHYZの新鮮な魅力を力強く引き出している。今回はそんなSeihoと、ExWHYZのmaho、mikinaによる鼎談が実現。3月12日から開催されるスプリットツアー『ExWHYZ presents 'SeihoWHYZ'』を前に、改めてお互いのことを語り合ってもらった。(小川智宏)

EMPiRE「IZA!!」で初プロデュースに至ったきっかけ

――2021年にEMPiRE「IZA!!」をSeihoさんがプロデュースしたのが2組の出会いだったと思うんですが、あれはどういう経緯で実現したんですか?

Seiho:なんか、当時のEMPiREのディレクター(現ExWHYZディレクター)から鍋に誘われて、囲まれながら「(曲を)作るまで帰さない」って言われて……「やりますか」って(笑)。でもその時にEMPiREのボックスセットをいただいて、ライブ映像とかを観て「あ、おもしろいな」って思ったんです。クラブミュージックのDJやってる子で、(EMPiREを)好きな子が何人かいて、名前はチラホラ聞いたりしてたんですよ。イベントのセカンドルームの最後らへんで(EMPiREが)かかったりしてて。

mikina:へえ!

――逆にお二人はSeihoさんのことは知っていました?

mikina:存じておりました。でも、まさか一緒にお仕事をできる世界線の人だと思ってなかったから。

maho:それまで外部の方にプロデュースしていただいたことがなくて、Seihoさんが初めてだったんです。“初めて”をお願いしました(笑)。

mikina:曲をもらったときはめっちゃ興奮しましたね。新しい扉を開いた感がすごくあって。こういう道もこの先あるんだって、視野が広がるきっかけをくださったなと思います。

――「IZA!!」について、当時EMPiRE側から何かオーダーはあったんですか?

Seiho:なんか「全然寄せなくて大丈夫です」みたいな感じでした。でもダンスミュージックにしたいっていう話をしてて、どの感じがバランスいいんやろな、みたいなことをいろいろ考えて。それでEMPiREの曲をいろいろ聴いて、それまでのロックっぽいサウンドとのギリギリのラインはどこなんかなっていうので、あのトラックになった感じですかね。

maho:だからエージェント(EMPiREファンの総称)もすごいスッと聴いてくれて。今のマスター(ExWHYZファンの総称)もずっと好きでいてくれてるから、Seihoさんがいろいろ考えてくれたのがつながってるんだなって思います。

EMPiRE / IZA!! [OFFiCiAL ViDEO]

――その後EMPiREはExWHYZに変わり、昨年の「ANSWER」でまたタッグを組むことになるんですけど、グループが変わるというのはSeihoさんから見てどんなふうに映ってました?

Seiho:名前は変わったけど引き継がれてるとは思うんで、変わったからどうこうっていうことはあんまりなかったかな。でも楽曲の方向性は大きく変わったと思う。とはいえ、今のリスナーの人たちもみんな何でも聴いてるから、そこまで大きく変わったっていうイメージもあんまり受けないんじゃないかなとは思うんですけど。

ExWHYZのライブの空気感がトラックに与える影響

――「IZA!!」でSeihoさんと一緒にやったときはそれが初めての外部プロデューサーだったわけですけど、ExWHYZになってからは本当にさまざまなクリエイター、トラックメイカーが曲を作るようになって。そういう環境の変化というのは二人にとってはどうでしたか?

mikina:毎回新鮮な気持ちで。自分の感じたことない楽しいところを、毎回引き出される感じ。知らない感覚を知ることができて、すごく貴重な1曲1曲だなって思いながらやってます。でもやっぱりライブでは、芯にある楽しさは変わらず提供したいから、アプローチの仕方が結構難しかったりして。そういうのは挑戦だなって思ってます。

maho:毎回冒険している気持ちですね。その道筋をクリエイターの皆さんに作ってもらって。

ExWHYZ / ANSWER [Music Video]

――そういう意味で「ANSWER」なんて本当に新しいですよね。あの曲の最初の印象はどんな感じでした?

mikina:こんなリアルなクラブトラックをやるのすご! って、勝った気持ちになりました(笑)。

maho:今はもう、イントロが流れただけで、みんな大喜びですからね。

Seiho:あの曲は結構早いタイミングで送ったんですよ。なんか、ファミレスで作った覚えがある。

――ファミレスで曲作ってるんですか?

Seiho:僕、自宅で作るっていうより、ウロウロしながら作ってるんです。それで、ボーカルのチョップとかあのドロップの感じとか、最初のデモみたいなトラックをファミレスでバーっと作って、「これ、すげえいい曲になりそう」みたいな。

mikina:でも、その最初のデモから結構変わってないですか? 完成までに。

Seiho:「IZA!!」の時もそうでしたけど、結構変わるんですよ。申し訳ない(笑)。

maho:Seihoさんって、最初のデモと完成形が全然違うんです。

Seiho:そうなんですよね。デモを送って、仮歌入れた段階で「こういうのがいいな」って変えるじゃないですか。で、みんなに録ってもらって、そのボーカルトラックを持ち帰って作ってたら、原型が微塵も残らない形になる。

maho:だからそういうのを楽しんで、ずっと考えてくださってるっていう。

――メンバーのボーカルを受けて、またインスピレーションが変わっていくと。

mikina

Seiho:そうですね。歌ってるときの雰囲気とか、ライブの雰囲気とかが、ちょっとずつ僕の中でわかっていった感じがするんですよ。こないだのツアーで観て、また発見したこともあるし。「このくらいの距離で盛り上がってるんだ」とかを観て、「ライブのときにこういう盛り上がり方をしてほしいな」とか、「こういう画になってほしいな」みたいなので、細かくトラックを調整してる感じですね。

mikina:このアルバムの1曲目「Dresscode」もライブ(のSE)で使ってるんですけど、そこからまた変わりました。だから、人をドキドキワクワクさせる方だなと思って、リスペクトです。

――「Dresscode」にはボーカルも入ってないから、勝手に変わったと(笑)。Seihoさんが曲を作るときはいつもそういう感じなんですか?

Seiho:だいたい変えちゃいますね。MV撮ってから変えたりして、めちゃ怒られることもありますから。

maho・mikina:おもしろい(笑)。

Seiho:今回の「ANSWER」のリミックスもそうなんですけど、ボーカルができ上がったときに、そのボーカルに対して5〜6曲作るんですよ。その中から「ここのパートはこれがいいな」って感じでバズルをはめていったりするから、どんどん数ができていっちゃうんです。

――使われなかったトラックがちょっともったいないですね(笑)。

mikina:確かに、全部欲しいです(笑)。

――でも確かに、「IZA!!」のときよりも「ANSWER」の方が、そしてオリジナルの「ANSWER」よりも今回のリミックスのほうが、ExWHYZに対する理解度が上がってきている感じはしますよね。よりメンバーが活きる形になるっていうか。それはSeihoさんだけでなく、参加している他の方もそうなんですけど。

maho:そうかもしれない。

Seihoがmikinaへ伝授するDJの極意

――で、「ANSWER」の収録された2ndアルバム『xANADU』を経て、昨年の『ExWHYZ TOUR 2023 'eLATION' part.2:with Special Guest Series』ではSeihoさんとも2マンライブをやりました。あのライブはどうでしたか。

maho:3組のゲストの皆さんとやらせていただいたんですけど、Seihoさんが1日目の名古屋で。そこで一緒にやれてよかったなって思いました。Seihoさんが、マスターにもすごく寄り添って盛り上げてくださって。だから、私たちも緊張してたんですけど、肩の力を抜いて飛び込めたというか。その1日目があったからツアーを回れたなって思ったので、1日目がSeihoさんでよかった。

mikina:マスターも私たちも緊張してたんですよ。

Seiho:いや、俺が一番緊張してたよ、どう考えても!

mikina:今まであまりない機会だったから、マスター自身も「Seihoさんっていう音楽界で有名な方の曲を楽しめるのか」とか、「どういうのが来るのかな」みたいな想像があったと思うんです。でも、私は外でSeihoさんのことを「人を楽しませる天才」ってよく言ってるんですけど、本当にそうなんですよ。私たちよりも(マスターから)名前呼ばれてたよね、Seihoさん。

maho:なんかコールされてましたよね。本当に、1日目が終わった後のX(旧Twitter)とか、「Seihoさん、Seihoさん」って感じで。

Seiho:(笑)。

maho:そのくらいマスターの心を溶かしてくれた感じだったから、それが先につながったなって。

Seiho

――Seihoさんはそういう手応えはありましたか?

Seiho:いや、もう媚びて、媚びてですよ。緊張して前日寝れなかったですから(笑)。ブーイングされて、瓶ビールとか投げられるかもしれないじゃないですか。

maho:治安悪っ! そんなことしないですよ(笑)。

Seiho:もう「どうしようかな」と思って。あの日はDJセットでしたけど、知らない曲を知ってるように聴かせて、知ってる曲を知らないように聴かせるのがDJにとって一番大事だと思ってるんですよ。だからどうやって、ExWHYZの曲を知らないように聴かせて、逆に知らない曲でも知ってるみたいな感じにするかみたいなことは、前日すごく考えました。全曲アカペラのトラックをいただいたので、それを全部はめていってマッシュアップを作ったり、自分のオリジナルでもう1回作り直したりして。そうやって媚びて仕込んでよかったなっていう(笑)。

mikina:それができるのがすごいですよね……。

――mikinaさん、今SeihoさんがサラッとDJの極意を教えてくれましたよ。

maho:今なんか、食らってたよね(笑)。

mikina:いや、ああ……。

――昨年のツアーでmikinaさんはDJもやりましたから。

Seiho:どうでした、DJは?

mikina:すっごい難しかったんですよ、やっぱり。ファンの人は音楽を楽しみに来てるっていうよりは、私がDJすることを楽しみに来てる人が大多数だったと思うんですけど、そういうなかで、ライブをする人としていい波を作らなきゃいけないっていう意識がちょっと抜けてたんです。最初は「自分の好きな音楽やってみちゃおうかな」って思ってたら大打撃を受けて。理想の反応とのギャップがあったんですよね。たぶんみんな楽しんでくれたけど、自分の気持ちが乗らなかったんですよ。だからそこ(福岡公演)でちょっと落ち込んで、次の公演までにセットリストを全部バーって変えて。

maho:落ち込んでたよね。一生分励ましたもんね、みんなで。

mikina:そういう落ち込みとかをライブに持ち込むのは嫌だって思ってるタイプなんですけど、本当に引きずっちゃって。でもすごく勉強になりました。DJとして出ようと、結局芯にある大事な気持ちはライブと一緒なんだなって思って。学びがありました。

――そうなると次が楽しみですね。

mikina:はい……頑張ります。でも本当に練習通りにいかないんです、絶対に。1回も完璧なことがなくて。

Seiho:(ボタンを)押すだけやん。

mikina:その押すのもうまくいかないんですよ(笑)!

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