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LOVEBITESが鳴らしたピュアで濃厚なヘヴィメタルスピリッツ 世界に羽ばたくバンドの今を見た

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 女性5人組ヘヴィメタルバンドLOVEBITESが2月23日、東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで単独ライブ『RE-AWAKENING FROM ABYSS LIVE 2018』を開催した。彼女たちは昨年10月に1stフルアルバム『AWAKENING FROM ABYSS』を発表し、同年11〜12月に東京&大阪で初の単独ツアー『AWAKENING FROM ABYSS TOUR 2017』を大成功のうちに終えたばかり。しかもその合間には初のイギリス公演も敢行し、早くも世界に向けて羽ばたき始めたばかりだ。

 2018年最初のライブとなった今回の渋谷duo MUSIC EXCHANGEもソールドアウトを記録し、会場には幅広い年代のメタルファンが集結。定刻どおりにフロアが暗転すると、アルバム『AWAKENING FROM ABYSS』のオープニングSE「THE AWAKENING」に乗せてメンバーがひとり、またひとりとステージに登場する。最後にasami(Vo)がステージ中央に立ち、そのままライブがスタート……するはずだったが、ここでちょっとしたトラブルが発生。なかなかオープニングナンバーを披露できずにいると、オーディエンスの熱気が一気に高まっていくことに。今か今かと焦らされる中、トラブルも解消され、ついにライブは「THE APOCALYPSE」からスタートした。昨年末のワンマンツアーはアルバム『AWAKENING FROM ABYSS』収録曲をそのまま完全再現してみせたが、持ち曲がアルバム1枚分しかないとはいえ今回は工夫を凝らしたセットリストで、前回以上にバンドらしさを強くアピールしてみせた。

 昨年の単独公演を観た際にも感じたことだが、改めてこのバンドは個々の演奏力がズバ抜けている。asamiは圧倒的なハイトーンボイスで会場の空気を一瞬にして掌握してしまうし、バンドの屋台骨を支えるharuna(Dr)はその小さな体からは想像できないほどパワフルなドラムサウンドを会場に響かせる。miho(Ba)はバンドのボトムを支えつつ、個性的なプレイで存在感をアピールし、midori(Gt)も力強いギターリフとテクニカルなソロプレイで観客を魅了する。そしてmi-ya(Gt, Key)はmidoriとは異なるプレイスタイルで自身のカラーを提示しつつ、曲によってはキーボードを弾いてみせたり、また右手でキーボードを弾きながら左手でギターの指板を押さえてパワーコードを同時に鳴らすなど、その多才ぶりで観る者を驚かせた。そして、5人はただ技術的に優れているだけでなくその表現力にも目を見張るものがあり、単なるテクニック至上主義では終わらない、血の通った歌と演奏で観る者を楽しませ、そして感動させてくれた。

 ライブ序盤、asamiは「We are LOVEBITES, and we play heavy metal!」と叫ぶ場面があったが、これはMotörheadのレミー(Vo, Ba)がライブを始める際に口にするセリフ「We are Motörhead, and we play rock’n’roll!」にちなんだものだろう。LOVEBITESとMotörheadでは、そのサウンドにあまり共通点は感じられないかもしれないが、ともに純度の高いヘヴィメタル、純度の高いロックンロールを追求し続けるという点においては、その精神性は同じなのかもしれない。この日のライブを観ながら、そう感じさせられた。それくらいLOVEBITESが奏でるサウンド、作り上げる楽曲の数々からはピュアで濃厚なヘヴィメタルスピリッツに満ち溢れており、演者側の「メタルが演奏できて楽しい!」という純粋な気持ちは観る側にもダイレクトに伝わってきた。

 この日は観客へのサプライズとして、6月6日に『BATTLE AGAINST DAMNATION』と題したミニアルバムがリリースされることをアナウンスし、同作から早くも新曲「THE CRUSADE」をプレイ。この曲は『AWAKENING FROM ABYSS』の延長線上にある、非常にLOVEBITESらしいストレートなヘヴィメタルナンバーで、オーディエンスは最高の盛り上がりでこの新曲を受け止めた。

 ライブ終盤はアルバムの実質オープニング曲「THE HAMMER OF WRATH」に続き、「DON’T BITE THE DUST」「EDGE OF THE WORLD」「BRAVEHEARTED」とアルバムと同じ曲順でライブ本編を締めくくり。中でも静かに始まり徐々に盛り上がっていくドラマチックなアレンジの「EDGE OF THE WORLD」は圧巻の一言で、ライブのクライマックスにふさわしい好演だったことは特筆しておきたい。

 ライブ本編でアルバム収録曲すべてを披露したLOVEBITESだが、アンコールでは昨年のツアー同様にカバー大会に突入。昨年はバンド名の由来となったHALESTORMの「LOVE BITES (SO DO I)」を演奏したが、今回はライブ序盤にasamiが放ったセリフ「We are LOVEBITES, and we play heavy metal!」にちなんで、Motörheadの名曲「OVERKILL」をカバーしてみせた。先ほどLOVEBITESとMotörheadは音楽的になかなか結びつきにくいと書いたばかりだが、吐き捨てるように歌うレミーとは異なり、力強さと繊細さを兼ね備えたasamiの歌声で表現される「OVERKILL」も悪くない。いや、メタリックなプレイでカバーされたLOVEBITESバージョンは「OVERKILL」というHR/HMのスタンダートダンバーに新たな生命を吹き込むことで、ちょっとした新曲感覚で楽しむことができたのではないだろうか。

haruna

 終わったと思いきや、何度も演奏が再開する「OVERKILL」における“お約束”もそのまま再現され、大盛り上がりでエンディングを迎えたかと思うと、バンドはそのままラストナンバー「EAGLE FLY FREE」へと突入。このHelloweenの名曲は昨年のライブでもカバーされていたが、メンバー個々の見せ場が豊富で難易度の高いこの曲を難なく演奏してみせ、改めて圧倒させられた。

 こうして90分にわたる2018年最初のライブは幕を下ろした。LOVEBITESは6月のミニアルバムリリース後、6月28日には東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで単独公演を開催するほか、7月にはANTHEMの東名阪ライブイベント『HEADSTRONG FES.18』に出演。また、4月1日には千葉・幕張メッセで開催されるストリートミュージックの祭典『Vans Warped Tour Japan 2018 Presented by XFLAG』、そして8月にはドイツで開催される世界最大級のメタルフェス『Wacken Open Air 2018』に初参加することも決定している。特に、『Wacken Open Air』に日本人女性だけで構成されたメタルバンドが出演するのはこれが初めてのこと。新作の仕上がりも今から楽しみなところだが、この『Wacken Open Air』出演を機に彼女たちの真価が世界で問われることになりそうだ。

(写真=Yoshika Horita)

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

■セットリスト
LOVEBITES『RE-AWAKENING FROM ABYSS LIVE 2018』
2018年2月23日 渋谷duo MUSIC EXCHANGE
01. THE AWAKENING (INTRO)
02. THE APOCALYPSE
03. BURDEN OF TIME
04. SHADOWMAKER
05. SCREAM FOR ME
06. INSPIRE
07. WARNING SHOT
08. LIAR
09. THE CRUSADE(新曲)
10. THE HAMMER OF WRATH
11. DON’T BITE THE DUST
12. EDGE OF THE WORLD
13. BRAVEHEARTED
<アンコール>
14. OVERKILL(Motorheadカバー)
15. EAGLE FLY FREE(Helloweenカバー)

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