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国民的グループからミスiD、そして世界の“今”を取り入れた歌手へ kyokaが目指す新たな表現とは

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 2018年も2月になり、様々なシーンやメディアでネクストブレイク候補が挙げられているが、そのなかでもkyokaというシンガーは“異端”であり、規格外のポテンシャルと可能性を秘めたアーティストだと思う。

 kyoka=武田杏香の名前を知ったのは、まだ彼女がE-girlsに所属していたときのこと。当時はパフォーマーとしてそのダンス力を武器に戦っていたが、2014年に脱退し、以降は女優活動に専念した。本人に話を聞くと、幼い頃からの夢は「歌手」と「役者」の2つで、グループのオーディションも当初はボーカル志望で受けていた。音楽の道を一度退いて選んだルートが、もう一つの夢である役者だった、ということらしい。

 そんなkyokaは、女優としても映画『私たちのハァハァ』に出演するなど活動の幅を広げていた最中、2017年に講談社が主催する女性アイドルオーディション『ミスiD2017』に応募。小林司や大森靖子、根本宗子などの審査員を虜にし、見事満場一致でグランプリに輝いた。

 その後のkyokaは、乃木坂46や欅坂46などの楽曲を手掛ける「波乗り作詞作曲家」でありながら、APAZZIとのユニット・THE SIGNALIGHTSやバンド・HighsidEのメンバーとしても活躍するAkira Sunsetが代表を務める作家事務所・HOVERBOARDに所属。THE SIGNALIGHTSのプロデュースを受けてソロ歌手としてのキャリアをスタートさせた。そして、19歳の誕生日を迎えるにあたって、昨年末にスタートしたライブにまつわるクラウドファンディング企画には、目標金額の約4倍もの支援が殺到した。

kyoka / if I’m not (Full Version)

 このタイミングで音楽活動を再び始めたことについて、kyokaは「話すことがあまり得意ではなくて、言葉を上手く伝えられないことが多く、大好きな音楽とその中の歌詞を通してならたくさんの人に伝えられるかもしれないと思った」からだと答える。そして「完全な武田杏香になる」という自身の夢を叶えるため、音楽活動だけではなく多方面に活躍していきたいとも話してくれた。

 その言葉の真意を知ることができたのは、1月20日に六本木morphで行われたライブでのパフォーマンスを見たときだった。ゆっくりと引き込まれていく朗読から、優しくて切ないボーカルが響き渡るバラードへとスムーズに移り変わる。かと思えばメロウなR&Bとジャジーヒップホップを取り入れたミドルテンポなナンバー、トロピカルハウスとゴスペルを取り入れた低体温でダンサブルな楽曲と、イノセントさと妖艶さ、大人っぽさと子供っぽさが同居した絶妙な“18歳の表現”が続く。

 ライブの後半も、トラップ的なビートに三連符のフロウも乗った曲で新たな一面を見せるなど全5曲を披露し、最後は朗読で締めくくったkyoka。その間MCは一切なし。ストイックに演技・歌・ダンスのすべてを高次元に両立させたパフォーマンスは、彼女の「これまで」がひとつも無駄ではなかったことの何よりの証左だろう。

 終演後、kyokaとAkira Sunsetに話を聞くと、2人は「演じきること」を重要視し、今回のライブパフォーマンスを組み上げたと語ってくれた。また、各楽曲に共通するアーバンなサウンドについて、Akiraは「kyokaの書く魅力的な歌詞に引っ張られて『都会的な孤独』というテーマが立ち上がってきた」と話す。kyokaも「普段から考える時間が1日のほとんどを占めていて、それを話したいわけじゃないけど、文章になっていたら面白いかも」と考えるようになってから、作詞に目覚めていったことを明かした。

 今後の活動については、Akiraが「聴く側をふるいにかけていきたい。誰でも聴けるkyokaじゃなくて、好きな人が聴きたいkyokaであってほしい。サウンドもUSや世界の『今』を、マスタリングエンジニア、ミックスエンジニアとAPAZZIと僕で研究して作っている」と大胆な発言が飛び出したり、kyoka自身も「もっと自分の武器をたくさん作っていきたい。ジャンル感が全く違っても『kyokaってこういう感じ』というイメージが定着したら一つの成功」と語るなど、幅を広げながら間口を狭めていくという難しい方向へ踏み出している。難関もあるだろうが、その波を乗りこなせば間違いなく、日本の音楽シーンに風穴を開けるポップシンガーになっていけるだろう。

(文=中村拓海)

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