彼女 IN THE DISPLAYは何物にも縛られないーー万感の想いで迎えたツアーファイナル公演レポ

彼女 IN THE DISPLAYは何物にも縛られない

 彼女 IN THE DISPLAYが11月25日、『GOLD EXPERIENCE REQUIEM TOUR』ファイナル公演を渋谷 TSUTAYA O-Crestで開催した。

彼女 IN THE DISPLAY

 彼女 IN THE DISPLAYは、RYOSUKE(Vo)、海 THE KID(Dr)、吉田弘輝(Gt)、松永健太(Ba)、逸見豪一(Key)からなる福岡発の5人組ロックバンド。今回の公演は、全11公演に及ぶリリースツアーのファイナル、そしてメジャーデビューを発表するタイミングでもあった。

 彼女 IN THE DISPLAYの真価はライブにこそある、そう言わしめんばかりの盛り上がりで同公演はスタートを切った。登場と同時に観客を煽るRYOSUKE。彼の動きにあわせてオーディエンスも続々とハンズアップし、1曲目の「GOLD EXPERIENCE」からバンドと一緒になってフロアを揺らした。公式サイトで「メタルでもラウドでもハードコアでもスクリーモでもエモでもない、J-ROCKの新機軸」と謳われている彼らのサウンドは、ロックバンド然としたハードな音を響かせながらも、逸見のキーボードが加わることによって切なさを帯びる。そんな相反する感情の融合がライブではより鮮明になっている。ライブバンドとしてのインパクトはもちろん、「[1959]」や「Unlimited」と続けて演奏する中で、音源からは見えてこない彼女 IN THE DISPLAYのエモーショナルな一面を示していた。

RYOSUKE

 同バンドの主役といっても過言ではないのが、RYOSUKEのボーカルだ。メンバーが100パーセントの力をぶつける演奏にも、揺らぐことのない力強い歌声。これでもかと激しさを増していくバンドメンバーの演奏からはRYOSUKEの歌声への信頼を窺うことができ、そしてそれに応えるかの如くボーカルの熱量も増していく。その相乗効果がバンド全体としてのダイナミズムへと繋がっていた。なにより彼女 IN THE DISPLAYのメッセージ性の強い歌詞は、常に前を向き、観客ひとりひとりを鼓舞するかのように歌うRYOSUKEだからこそ説得力があるのだ。フロントマンとして場を盛り上げるカリスマ性、立て続けにハイテンポの曲を続けても枯れることのない歌声に、筆者は思わず息を飲んだ。「Black Hawk Down act.3」からライブはさらに激しさを増していき、メタルミュージックを想起させる海 THE KIDのドラムと逸見のデスボイスと呼応するようにオーディエンスがヘッドバンキングを見せた。さらに「The straight edge dance party」では観客も一斉に声をあげるなど、バンドとフロアの一体感もさらに高まっていく。そして「LET IT DIE -Hail 2 U-」ではサークルモッシュまで起こり、会場は楽しげな声援と熱気で溢れかえった。

 10月にリリースされた最新アルバムのタイトルは、2013年にリリースした1stフルアルバム『GOLD EXPERIENCE』からさらに進化したことを示すために、『GOLD EXPERIENCE REQUIEM』と命名されたという。ちなみに、同タイトルは漫画『ジョジョの奇妙な冒険』から取られたもの。同漫画は“人間賛歌”が大きなテーマになっており、同バンドのカラーにも通じているように思う。ドラマチックな展開を見せる「NEVER SAY NEVER」や過去のディスコグラフィーとは趣向を変えたダンスナンバー「Let's get the party」など、今まで以上に彼らの音楽性の幅を広めたと言える『GOLD EXPERIENCE REQUIEM』。その楽曲の振れ幅がライブにも影響を及ぼしているのは間違いなく、「JUSITICE」「Let's get the party」「COLOR」と、それぞれまったく毛色の違う楽曲を続ける場面ではバンドの多面性をしっかりアピールできていた。

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