欅坂46はなぜ“検索”される? アイドルファン以外にもリーチした2017年の活動から考える

 欅坂46が、「Yahoo!検索大賞2017」のアイドル部門賞に2年連続で選出された。

欅坂46『風に吹かれても』

 「Yahoo!検索大賞」は、検索サービス「Yahoo!検索」のデータをもとに、前年と比べて検索数が最も急上昇した人物、作品、製品を選出して表彰するイベント。欅坂46は、2016年よりもさらに検索数を伸ばしたことになる。メンバーを代表してキャプテンの菅井友香は、ドラマ『残酷な観客達』主題歌の「エキセントリック」、けやき坂46に新メンバーが加入したことが要因にあると述べた。もちろん、新曲やメンバーの加入も検索数上昇の理由にはあるが、一番は欅坂46が常にマスに向けてトピックを用意し続けたことにある。

 「笑わないアイドル」ーー今年、このキャッチコピーを何度目にしただろうか。2016年の大晦日、「サイレントマジョリティー」で『NHK紅白歌合戦』(NHK総合)に初登場し、そのパフォーマンスは世代を問わず、多くの視聴者を虜に。その後、止まることを知らないグループ人気を朝のワイドショーや音楽番組、普段アイドルを取り上げないような週刊誌も欅坂46を掲載した。この「笑わないアイドル」は、ファンであればすぐにその矛盾に気づくだろう。例えば、グループ創設と同時にスタートした冠番組『欅って、書けない?』(テレビ東京系)は、むしろメンバーが笑っている時間の方が多いバラエティ番組である。表題曲の「二人セゾン」にも、グループ初期からのライブ定番曲「手を繋いで帰ろうか」にも常に“笑顔”はあった。しかし、普段音楽を聴かない、アイドルに興味がない層の関心を引くには、強烈な謳い文句が必要だ。「風に吹かれても」のテレビ出演の際に多く見られた「笑わないアイドルが笑った」というキャッチコピーも、マスメディアが作り上げた「笑わないアイドル」というイメージが多くの人に先入観として息づいていることを感じさせる。

 欅坂46が潜在的なアイドルファン以外の層を取り込むことに成功した、と感じた瞬間があった。それは、今夏開催された初の全国アリーナツアー『真っ白なものは汚したくなる』でのこと。筆者は、宮城公演に足を運んだのだが、会場に入って驚いたのがその異様な客層だった。ペンライトを初めて持つ、開演前のファンのコールに驚くなど、見るからに「アイドルのコンサートに初めて来た」という層がかなりの割合を占めていた。さらに、宮城では『欅って、書けない?』は放送されていない。そのことから考えても、やはり先述したようなマスメディアの影響は大きく、これが宮城だけでなく、全国で一つの現象として起きていたと考えると、欅坂46ファンの裾野の広さを窺い知ることができる。

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