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PassCodeの“良質でラウド”な音楽性はなぜ成立? エンジニア、バンドメンバーなどから紐解く

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 大阪出身の女性アイドルグループPassCodeが、8月2日にメジャー1stアルバム『ZENITH』をリリースする。南菜生(みなみ なお)、高嶋楓(たかしま かえで)、今田夢菜(いまだ ゆな)、大上陽奈子(おおがみ ひなこ)の4人からなる彼女たちは昨年10月にシングル『MISS UNLIMITED』でメジャーデビューを果たしたが、その歴史は2013年結成とすでに活動歴4年を超える。

 彼女たちはスタートこそ他のアイドルグループと同じような道筋をたどっていたのかもしれないが、今やその活動範囲はアイドルの枠を超え、ロックバンドとの共演は当たり前。春にはFear, and Loathing in Las Vegas主催フェス『MEGA VEGAS 2017』(4月1日、神戸ワールド記念ホール)に出演して大反響を呼んだばかりだ。また、6月から7月にかけて開催中の対バンツアー『PassCode “bite the bullet” Short Tour 2017』では東京公演でMOROHAとSIX LOUNGE、名古屋公演でAnother StoryとENTH、大阪公演ではFABLED NUMBERとXmas Eileenと共演。この夏もすでに終了済みの『JOIN ALIVE』を筆頭に、『SUMMER SONIC 2017』東京・大阪両公演、『夏の魔物2017 in KAWASAKI』への参加も控えている。

 「彼女たちの何がそんなにすごいのか?」「単なるアイドルグループと違うのか?」……いろんな声があるだろう。だが、まずは彼女たちの楽曲に触れてほしい。きっと昨今のラウドロックシーンに精通しているリスナーなら、そのアンテナに引っかかるはずだ(そんなリスナーならすでに彼女たちの説明はいらないだろうが)。

PassCode – MISS UNLIMITED (Full Size)

 彼女たちの楽曲のベースになっているのは、ラウドロックやスクリーモ、“ピコリーモ”などと呼ばれるエレクトニコアという、およそアイドルとは結びつかないジャンルだ。アレンジはバンドサウンドが軸となり、そこにおもちゃ箱をひっくり返したかのようにEDMチックなエレクトロサウンドが散りばめられていく。曲展開もめまぐるしいものがあり、1曲の中にラウドロックやスクリーモ、アイドルポップ、EDMなど複数の要素が詰め込まれ、先の展開が読めないほど緩急自在のアレンジが繰り広げられている。バックトラックだけ聴けば、国内外の同系統バンドと引けを取らない、最高にカッコイイものばかりだ。

 では、そこにいわゆる“アイドル声”が乗るのかと思えば、それもちょっと違う。確かに彼女たちはアイドルグループだし、平歌からはそういった傾向も伺える。だが、そこにボコーダーやオートチューンを用いた“味付け”に加え、メンバーの今田によるスクリームやシャウトが被せられていくのだ。

 こういった楽曲を、彼女たちはライブではバンド編成で披露することも多く、昨年の全国ツアーではKid’z(MY FIRST STORY)、VAVA(キバオブアキバ)、Toshihiro(元my-Butterfly)、KENT(元LOTH)などそうそうたる面々がバンドメンバーとして参加。すでに赤坂BLITZやZepp DiverCity TOKYO、新木場STUDIO COASTなど大型ライブハウスでの単独公演も経験済みで、激しい演奏にあわせて華麗にダンスするメンバー4人の姿も見応えたっぷり。それに呼応するように、観客(彼女たちのファンは“ハッカー”と呼ばれる)の熱狂ぶりも目を見張るものがある。

 また、彼女たちの活動は国内にとどまらない。今年3月25日には台湾の大型ロックフェス『Megaport Festival』に初出演。海龍王ステージで800人を超える超満員の動員を記録した。彼女たちの海外公演はこれが初めてだったが、事前のプロモーション展開がなかったにもかかわらずこれだけの反響を呼んだのだ。同様に、彼女たちの楽曲は海外のiTunesチャートでも好成績を残しており、メジャー2ndシングル『bite the bullet』がホンジュラスの総合チャート1位、タイ、台湾、シンガポールのロックチャート2位を獲得する、ある種異様な現象が起こり始めている。

PassCode – bite the bullet (Full Size)

 そんな中、ついに発表されるこのメジャー1stアルバム『ZENITH』で、PassCodeはまた新たな現象を引き起こすことになりそうだ。本作には「MISS UNLIMITED」「bite the bullet」といったメジャーから発表されたシングル曲を含む全12曲を収録。彼女たちはインディーズ時代にも2枚のアルバム(2014年の1st『ALL is VANITY』、2016年の2nd『VIRTUAL』)を発表済みだが、今作はより焦点が絞られた、それでいてさまざまな要素が散りばめられた強烈な1枚に仕上がっている。

 まるでプログレッシブロックのように、1曲の中で何度も繰り返される転調/展開はとても情報量が多く、一度聴いただけでは解釈しきれない重厚なものばかり。そこにPassCodeの面々が時にエモーショナルに、そして時にはボーカロイドのように無機質な歌声を響かせる。かと思えば、今田のスクリームが飛び込んでくるのだから、きっと「今、自分はアイドルグループのアルバムを聴いている」とは思えなくなるはずだ。

      

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