ジャニヲタ2万人参加『ジャニーズ楽曲大賞』上位曲を解説 あの曲が人気高い理由とは?

 2016年に発表されたジャニーズ事務所所属アーティストの楽曲を対象とした、WEB上のアワード企画「ジャニーズ楽曲大賞2016」(http://j-m-a.info/award2016/)の投票結果が1月23日に開示された。「ジャニーズ楽曲大賞」とは、一般の主催者が「ハロプロ楽曲大賞」へのオマージュとして2006年にスタートさせた企画。非公式ながらネットを活用するジャニヲタを中心に年々投票規模が拡大し、11回目の開催となる今年は史上最多の20431人が参加した。なお、このアワードは順位を決めることが目的ではなく、ジャニーズの楽曲を通して各々がその年を振り返ってみようという趣向の企画だと主催者は説明している。本稿でも投票結果をもとに、人気の高かった2016年のジャニーズ楽曲を掘り下げていこう。

 アワードの目玉である「楽曲部門」の上位5曲について見ていくと、5位を獲得したのはHey! Say! JUMPの10月発表のシングル曲「Fantastic Time」。9人の速く複雑なフォーメーションダンスが見どころのエレクトリックなナンバーだ。2014年からかわいくてポップなシングルが続いていた彼らは、この曲でダンスグループとしての真価を見せる新たな方向に舵を切り、2カ月後に同じくクールな路線の「Give Me Love」をリリース。ファンにはこの方向転換が大いに受け入れられ、「Give Me Love」も楽曲部門7位にランクインした。曲中の言葉で表すならば、Hey! Say! JUMPが<革命前夜の決意を持って>放った曲、それが「Fantastic Time」なのかもしれない。

 4位の関ジャニ∞「罪と夏」は、ORANGE RANGE「ロコローション」や湘南乃風「睡蓮花」といった往年の夏ソングにも通ずる、難しいことを考えずに楽しめる快活なアッパーチューン。早口混じりのキャッチーなメロディ、「フッフー!」という合いの手、マネしやすいサビの振付、タオル回しと、親しみやすい要素がふんだんに盛り込まれている。リスナーの間では<君の八月の全てくれないか?>という歌詞が今年一番のキラーフレーズだと話題に。

 3位には、NEWS「恋を知らない君へ」がランクイン。加藤シゲアキが出演し、後輩・菊池風磨(Sexy Zone)の好演も光ったドラマ『時をかける少女』(日本テレビ系)のエンディングテーマとして発表され、「ひと夏の最高に切ないラブ・バラード」というキャッチコピーのもと、NEWSのシングルでは初の本格的なバラード作となった。作詞・作曲・編曲にはグループなじみの作家・ヒロイズムが名を連ねているので盤石の仕上がりだが、『時かけ』の世界観を際立たせる儚い詞と、バラードで冴え渡るメンバー4人の歌声に、ファン以外の人も耳を奪われた。

 続いて多くの票を得た曲は、KinKi Kidsのシングル「薔薇と太陽」。デビュー20周年イヤーの幕開けを飾ったこの曲は、吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)が作詞・作曲を手がけるということでリリース前から大きな話題を呼んでいた。蓋を開けてみれば、編曲に船山基紀を配したラテン歌謡風の曲に乗せて、堂本剛がギターを弾き、堂本光一がダンサーと踊り、2人が信頼を寄せる堂島孝平も吉田建もバンドにいるという、過去最高にKinKi Kidsらしい斬新なステージングが実現した。大人になった「硝子の少年」は、確固たる意志を築き上げながらも、変わらず危うく繊細で孤高。そんなKinKi Kidsの“ftr”にしか成し得ない世界観をぜひ覗いてみては。

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