宇多田ヒカル、星野源、RADWIMPS、嵐、BABYMETAL…2016年彩った5作をプレイバック

 ブルーノ・マーズ『24K Magic』はフィリーソウル、70年代ファンク、果てはニュー・ジャック・スウィングまで取り入れた“盛り上げるためなら何でもアリ”な作品だが、シングル曲「愛を叫べ」「復活LOVE」「I seek」「Daylight」を収録した嵐の『Are You Happy?』からも同じ匂いを感じる(グルーヴィーなギターカッティングを軸にした「Ups and Downs」はもろに「Up Town Funk」)。現実逃避的なエンターテインメントが流行しがちな日本の音楽シーンには時々うんざりしてしまうが、嵐の音楽には“シリアスな現実を受け止めながら、楽しむときは楽しもう”という諦念にも似たメッセージが感じられて、そこに惹きつけられてしまうのだ。その根底にあるのはもちろん“どんな状況であってもファンを楽しませる”というメンバーの覚悟だと思う。

 2016年7月にフジロックフェスティバルに出演、9月に東京ドーム公演を成功させたBABYMETAL。ヘビィメタルの多様性、様式美を軸にしながら、壮大なストーリー性とメンバー3人のパフォーマンス能力を存分に活かしたBABYMETALの現代的なエンターテインメントは、『METAL RESISTANCE』によってひとつの高みに達したと言っていい。そのクオリティは当たり前のように世界的な評価を獲得、12月にはレッド・ホット・チリ・ペッパーズのロンドン・O2アリーナ公演でオープニングアクトを務めたことも大きなニュースになった。(しかもBABYMETALのライブにチャドが参加、ジューダス・プリーストの楽曲をセッション!)。さらにメタリカの韓国公演、ガンズ・アンド・ローゼズの日本公演のサポートも決定。2016年における、世界でもっとも成功した日本のグループはまちがいなく彼女たちだろう。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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