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『TRUSTRICK TRICK TOUR 2016』最終公演レポート

TRUSTRICK、活動休止前ラストライブで見せた「信頼という名のトリック」

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杉山仁
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  「TRUSTRICKを見つけてくれて、本当にありがとう」――。MCで神田沙也加とBillyが共に語ったこの言葉に、すべてが詰まっていたように思える。今年10月に3部作の完結編となる3作目『TRICK』を発表し、全国5大都市ツアー『TRUSTRICK TRICK TOUR 2016』を最後に活動休止に入ったTRUSTRICK。休止前最後のライブとなった中野サンプラザ公演は、約2年8カ月をハイペースで駆け抜けた2人が辿り着いた自身最大キャパのステージであり、2人の音楽の魅力が改めて伝わってくる瞬間の連続だった。

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photo by Arata Kato

 新作『TRICK』のジャケットの世界観にも似たベージュ&赤の弾幕が開くと、ステージ内にも同じテイストのだまし絵のようなセットが組まれ、天井には大小5つのシャンデリアが設置されている。そこにお馴染みのサポート・メンバーと共にBillyが現われ、続いてセット中央の階段から神田沙也加が登場。最新作の1曲目「TRICK」でライブをスタートさせると、以降はアニメ『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園- 未来編』のエンディング曲「Recall THE END」、『未来形Answer E.P.』のカップリング曲「highness」など、これまでの活動を通じて手にした豊かな音楽性の広がりを表現していく。この序盤の雰囲気はまるでアルバム『TRICK』の世界観に聴き手を誘うような雰囲気で、ギターを主体にしたポップ・ソングからエレクトロ、ハード・ロック、バラードまで、音楽性は曲ごとに様々。中でもジャジーなモダン・ソウル/R&B「blur blur」の成熟を感じさせるサウンドから、エレクトロをブレンドしたUSポップス風の「pixie」で一気に弾けていく振り幅の広さは、まさにTRUSTRICKの個性を象徴するようだった。

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photo by Arata Kato

 とはいえ、この日最も印象的だったのは、いわゆるラストライブのものとは異なる、普段通りの雰囲気がステージに持ち込まれていたことだろう。その結果、会場には祝祭感すら感じられるムードが生まれ、「今この瞬間の楽しさ」が大切に共有されていく。これは9月に行なわれた『TRUSTRICK PREMIUM LIVE UNION 2016』でも感じたことだが、現在のTRUSTRICKはライブにおいてもメンバーの化学反応がダイレクトに反映され、キャリアの充実期とも言える演奏力を手に入れている。だからこそ、2人には「今の自分たちの音をしっかり伝えたい」という気持ちがあったのではないだろうか。そしてMCでは、実はこの東京公演で活動休止を発表する予定だったものの、5大都市ツアーですべての観客に感謝を伝えたいという思いから事前に活動休止を発表したこと――。つまり、TRUSTRICKの活動における最大のトリックが、ギリギリになって実行されなかったことが明かされる。この2人らしい決断を受けて会場はより親密な空気になり、現在の逞しい演奏力/歌と相まって、ホールでありながらライブハウスにいるかのような一体感が生まれていった。

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photo by Ayaka Horiuchi

 中盤にはEGOISTの楽曲「Euterpe」をカバー。「If -君が行くセカイ-」を経て、「kissing」では2人がステージを降り両サイドから客席1階の中腹まで走り抜け、会場を広く使って盛り上がる。その様子はTRUSTRICKが2人にとって居心地のいいホームになっていたことを感じさせるようだ。以降は「from where to where -ため息の理由-」「未来形Answer」と続き、本編のラストは新作『TRICK』にようやく収録された「Proud」。神田沙也加がファンに向けて書いた<あと少しだけ 形を残して/君の記憶に居させて/突然、『最後』って言われてもいいように>という歌いだしの歌詞と呼応するように、静謐な序盤からドラムが加わり、<私が誇れるものは ひとつ/君なんだよ>と歌われるラストに向けてバンドの演奏が一気に高揚していく。ああ、もしかしたらこの曲は、この日のために作られた曲だったのかもしれない――。そう思いながらステージを見ると、そこには真っすぐに観客と向き合う2人の姿があった。アンコールはスタジオ音源にバイオリンでSUGIZOが参加した「I wish you were here.」で始めると、サビと共に照明が輝きクライマックスを迎えた初期の代表曲「ATLAS」や新作の「innocent promise」、会場一体となってタオルを回した「Honey Complex」を披露。3回にも及ぶアンコールの最後を「いつかの果て」で締めくくった。

     
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