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乃木坂46『じょしらく弐』徹底レビュー:アイドル×演劇が表現する“いつか終わる生の愛おしさ”

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香月孝史
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 昨年、『じょしらく』『すべての犬は天国へ行く』の二つの舞台作品を経て、舞台演劇を自らの武器にする姿勢を一段深化させた乃木坂46。その志向を継続させるべく企画された昨年からの続編『じょしらく弐~時かけそば~』が、5月12~22日にかけて、渋谷・AiiA 2.5 Theater Tokyoで上演された。昨年の『じょしらく』に比してまず目を引くのは、トリプルキャストで上演された3チームそれぞれの、集団としての凝集力の高さだった。前回の『じょしらく』も川尻恵太の優れた脚本・演出によって、「アイドルが演じる」ことでしか成し得ない問いかけを示したが、グループとして本格的な舞台企画に進出した初年ということもあり、キャストとしてのメンバーたちは、まだいくぶん試行段階でもあった。

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 しかし、昨年の出演メンバーたちが残した成果を着実に糧にした今年、グループとして『じょしらく』を成立させようとする意識が格段に増しているように見えた。もちろん、桜井玲香や若月佑美など芝居巧者が加わったことで生まれる厚みもあったし、昨年の『すべての犬は天国へ行く』に出演した生駒里奈にもキャストとしての堅実さがうかがえるなど、参加メンバーの舞台経験が『じょしらく』に持ち込まれたことも大きい。ただしまた、各チームで波浪浮亭木胡桃を演じた鈴木絢音、渡辺みり愛、北野日奈子ら2期生メンバーや、まだ舞台経験の少ないはずの初参加組を含め、各チームがもはや「舞台に挑戦」ではなく、作品の成熟度を上げるための準備を整えているように感じられた。それは、舞台『じょしらく』が完全に乃木坂46のものになったということなのだろう。

 昨年同様、原作漫画版のエピソードを細やかに踏まえ、原作に準じて「女の子の可愛さをお楽しみ頂くため邪魔にならない程度の差し障りの無い会話をお楽しみいただく」作品であることが示されつつ、時事的な小ネタを織り込むコメディのスタイルで舞台は進行する。そして、そうした形式を装いながら、アイドルとしての身体によってこそ表現できる切実さを作品の主たるテーマにしていることもまた、昨年同様だ。そこにこそ、乃木坂46×川尻恵太演出による『じょしらく』の重要性はある。

     
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