w-inds.の新作は“時代性”を超えたサウンドに ニュージャックスウィング志向でチャート健闘

 さらに、初回盤Aのカップリング「Smile Smile Smile」もまたニュージャックスウィング路線で、ラップパートも挿入される構成。ニュージャックスウィングのリアルタイム体験世代には初回盤Aがおすすめです。

 初回盤Bのカップリングは、初期w-inds.に楽曲を提供していた葉山拓亮が作詞作曲編曲した「ヒマワリ」。w-inds.のボーカルのしなやかさを引き立たせるミディアム・ナンバーです。

 そして、通常盤のカップリング「FUNTIME」にも驚きました。大雑把なCDショップ店員なら、あっさりシティ・ポップのコーナーに置いてしまいそうなアーバンなソウル・ナンバーです。表題曲である「Boom Word Up」はもちろん、カップリング全曲を聴いても、「Boom Word Up」はかなりブラックミュージック色の濃いシングルです。

 音楽を聴くスタイルが、YouTubeの登場以降は時代性を超えてランダムにアクセスするスタイルに変わったことはすでに多くの人が指摘しています。そして、Apple Musicのようなサブスクリプションサービスはそれに拍車をかけていくことでしょう。どこのサブスクリプションサービスにも満足できず、CDやアナログレコードを買い続けている保守的な私にはいささか寂しい変化です。

 w-inds.がどういう経緯でニュージャックスウィングを志向したのかは、資料を見ても把握できません。しかし、仮にw-inds.「Boom Word Up」のような作品が若い層から生み出されるのなら、前述したような時代の変化も悪くないかもしれません。そう感じさせられたのがw-inds.「Boom Word Up」でした。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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