小田和正などベテラン勢「オールタイムベスト」ヒット続く “一度整理”されたJPOPが向かう先は?
参考:2016年4月25日~2016年5月01日のCDシングル週間ランキング(2016年5月9日付)(ORICON STYLE)
サブカル?何それ?おいしいの?
一言で説明するならばこんな感じの今週のチャート。2PM・SEVENTEENのK-POP勢、 EXILE SHOKICHI ・3 代目J Soul Brothers from EXILE TRIBEのLDH軍団、GACKT・遊助の「体育会系」感のある男性シンガー、さらには小田和正・氷室京介の大ベテラン組。でんぱ組 .incの最新作と「キンプリ」関連作が「サブカルチャー」の香りをほんのり添えてはいるものの、全体としては「音楽好き」が積極的には話題にしないような(あくまでも感覚的な話なので例外はあると思います)作品がトップ10の大半を占めた。「音楽好き」のファンベースを持ちながらもより広く聴かれるポップスを志向するタイプのミュージシャンは「音楽好きではない人にも届く作品を作りたい」という旨の発言をすることがよくあるが、そのためには今回のチャートに登場しているような「お茶の間レベルで知られている人気者」と同じ土俵で戦わないといけないわけで、なかなか「敵」は手強いということを改めて実感。
さて、今回触れたいのは2位にランクインした小田和正の『あの日 あの時』。前週の初登場1位から今週も2位と好位をキープしたこの作品は、彼にとって「初のALL TIME BEST ALBUM」(公式サイトより)。オフコース時代も含めた43年間のキャリアを完全網羅した3枚組アルバムである。
「3枚組のオールタイムベスト」という構成で思い出すのが、昨年のチャートで圧倒的な強さを誇った『DREAMS COME TRUE THE BEST! 私のドリカム』。こちらも「26年に及ぶ活動を総括するベストアルバム」「彼らが在籍した全てのレーベルの枠を越え、代表曲50曲がぎっしり詰まったコンプリートベストとでも言うべき内容」という触れ込みだった。また、少し遡ると、小田と同じ時期にキャリアを積み重ねている山下達郎も、「キャリア初となるレーベルを越えたオールタイム・ベストアルバム」「ソロデビュー前のシュガー・ベイブ時代から今日まで、山下達郎本人セレクトによるオールタイム・ベスト」というコンセプトで2012年に『OPUS ~ALL TIME BEST 1975-2012~』をリリースしている(通常盤は3枚組、初回盤のみボーナスディスク付きの4枚組)。さらに、DREAMS COME TRUEと同じ2015年には松田聖子が、山下達郎と同じ2012年には松任谷由実がやはり「3枚組のオールタイムベスト」をリリースしている。