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金子厚武のプレイヤー分析

2016年、バンドサウンドはどう変わったか? D.A.N.、雨のパレード、The fin.の新作をもとに検証

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 雨のパレードの『New generation』、The fin.の『Through The Deep』、そして、先月発表されたD.A.N.のファーストアルバム『D.A.N.』。この3枚の作品は、2016年のバンドシーンにおける、ひとつの音の傾向を表しているように思う。それはバンド編成でありながら、日本のメインストリームを形成しているギターを中心としたロックからは距離を置いたサウンドを鳴らしているということ。ここではD.A.N.をメインに、この傾向の成り立ちを考えてみようと思う。

 上記の3バンドのフロントマンにこれまでのキャリアを振り返ってもらうと、ASIAN KUNG-FU GENERATIONやNUMBER GIRLなど、自身が音楽をやる入口は日本のロックバンドだったという。つまり、最初の段階ではKANA-BOONのような同世代のバンドと何ら変わりがなかったわけだが、この後で国内の音楽を掘り進めるか、海外へと目線を向けるのかという違いが、2010年代においてはこれまで以上に大きな差を生んでいる。

 日本における2010年代は、ロックフェスの認知度が一般層にまで浸透した時代であり、これまでのロックバンドの流れを踏襲しつつ、フェスで盛り上がるBPMの速いアグレッシブな楽曲が好まれたわけだが、海外はどちらかというとその逆で、ロックシーンにおける刺激的な動きは少なかった。むしろ、面白かったのは広義の意味でのクラブミュージックで、UKのクラブシーン、LAのビートシーン、さらには近年の一大潮流となったインディR&B、もしくはエレクトロポップ寄りのサイケバンドなどが、より刺激的な動きを見せてきた。

 よって、海外へと目を向けたアーティストにとってのクールなサウンドが、ロックというよりは、クラブミュージック寄りのものになるのはごく自然なことだった言える。ただ、彼らはすでに音楽の入口としてバンドという表現手段を自然に選び取っていたため、バンドという形態でありながら、クラブミュージック的なサウンドを鳴らすことが命題となっていったのである。

 もちろん、バンドとクラブミュージックの融合というのは今に始まった話ではない。しかし、ここで重要なのは、今の若い世代が「打ち込みの導入」に取り組んでいるわけではなく、あくまで生演奏をベースに考えているということで、そこにこそ2016年らしさがある。彼らはシンセやパッドなどの機材を積極的に用い、音源においてはミックスを打ち込みに寄せるなどして、新たなバンドサウンドを打ち出しているのだ。海外の音楽シーンでは、ヒップホップやR&Bで育ったジャズドラマーによるビートの革新が進み、それが徐々に日本にも波及しつつあるが、「生演奏にこだわることによって新たな価値観を生み出す」という流れは、現在様々な場面で起こっていると言っていいだろう。

     
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