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矢野利裕のジャニーズ批評

A.B.C-Zが紡ぎだす、ジャニーズの音楽史ーー新作に引き継がれた“50年前の夢”とは?

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矢野利裕
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 A.B.C-Zのシングル『Moonlight walker』が、カップリングも含めて、とても良い。そして、とても興味深い。

 表題曲「Moonlight walker」は、太いベースと打ち込みのビートを背後に、トランペットストリングス、ティンバレスが派手に鳴り響く、現代版ラテン・ディスコである。随所に挿入されるカッティング・ギターや高いシンセ音など、さすがの細やかさだ。まず指摘すべきは、本作が、KAT-TUN「KISS KISS KISS」に続いて、Kinki Kids「硝子の少年」的な、哀愁漂うジャニーズ・ラテン・ディスコの系譜に加えるべき一曲だということだ。「KISS KISS KISS」についての記事にも書いたが、日本のポピュラー音楽にはある時期まで、ラテンの風味というものが色濃くあった。「Moonlight walker」が、ダンス・ミュージックであるとともに、そのような歌謡曲のラインにつながっていることは強調してもしすぎることはない。それこそが、ジャニーズの魅力だと思うからだ。クレジットにはやはり、馬飼野康二(作曲)と船山基紀(編曲)という納得の名前が並んでいる。一方、カップリングの「Smiling Again」は、カッティング・ギターとストリングスに彩られたディスコティックな曲である。とは言え、こちらは、短いあいだで細かくビートのパターンが変わり、サビでたたみかけるように4つ打ちになる、といった展開に、同時代のダンス・ミュージックのマナーが強く意識されていると感じる。間奏で飛散するシンセサイザーも、エレクトロ・ハウス以降のセンスか。これはこれで、とても練られたバランスである。

 以前も書いたように(参考:A.B.C-Zは少年隊の正統後継者となるか? ディスコティックな2ndアルバムの狙いを読む)、筆者は勝手に、A.B.C-Zに少年隊の影を見ている。ディスコ・サウンドを過去に未来につなげようとする本作を聴くと、その思いはいっそう強くなる。ステージ・パフォーマンスも含め、しっかりとショーアップされた舞台に対応できる存在として、A.B.C-Zに注目している。そのような立場からすると、「A.B.C-Z Title Songs Medley」は興味深い。というか、感慨深いとすら言える。ミュージカルを意識して「Medley」と銘打っているものの、ディスコティックな曲が並べば、獲得される響きは必然、DJミックス的になる。とくに、本曲における「SPACE TRAVELERS」のイントロは、DJをする筆者の印象では、あきらかにDJミックス的な気持ち良さを獲得している。

     
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