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兵庫慎司「ロックの余談Z」 第3回

ライブハウスには昔、テーブルとイスが当たり前にあったーー兵庫慎司が振り返るバンドと客の30年

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兵庫慎司
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 昔、ライブハウスのフロアには、テーブルとイスが出ていた。

 ちょっとびっくりする事実だ。伝聞ではなく実体験として知っているのに、今になると信じられない、いくら30年も前のこととはいえ。

 スマホやインターネットと同じでしょ、昔はそんなものが普及するなんて考えたこともなかったでしょ、と言われそうだが、それらは世の中の技術とかが進んだからそうなったわけであって、昔はそうではなかったことにも、今はそうであることにも、納得がいく。

 しかしこの「ライブハウスにテーブルとイス」は違う。なんで昔はわざわざテーブルとイスを置いてたんだ? どう考えても非効率的なのに。

 今のライブハウスでも、ライブ終わってお客がハケたあと、テーブルとイスを出してバー営業している店、ありますよね。つまり昔は、ライブ中もあの状態で、お客はそれぞれテーブルについて、飲みながらステージを観ていたわけです。ジャズの生演奏が売りのバーのように。

 広島の高校生だった僕が地元のライブハウスに通い始めたのは1984年頃であり、当時地元でもっとも有名だったウッディストリートというハコによく行っていたのだが、店内には普通にテーブルとイスがあり、お客は相席状態でライブを観るのが普通だった。その状態で、地元の人気アマチュアバンド(奥田民生が歌っていたREADYとか、現在大物プロデューサーの島田“CHOKKAKU”直がリーダーだったNUTSとか)を観た記憶があります。

 東京のライブハウスはどうだったのか、正確なところは知らないが、当時愛読していた宝島やDollといった音楽誌の誌面から察するに、既にオールスタンディングでライブをやっていたのではないかと思う。

 ただ、広島はそういう状況だった。東京からプロのバンドがツアーで来る時は、テーブルはとっぱらわれたが、イスはあった。イスが列状に並べられ、お客さんは……席は指定だったっけ、並んだ順だったっけ、並んだ順だった気がするが、とにかくひとり1席で、そこで立ってライブを観た。要はホールと同じ。そんなふうにして、爆風スランプや有頂天を観た記憶があります。

 なお、ヤマハの最上階なんかにあるような小さなホールの場合、常にそういう状態で、予めホールにイスが整然と並べてあり、お客はそこに座って観る、というのが普通だった。

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