中田ヤスタカの最新形ここにあり CAPSULE新作が海外でチャート好調の理由とは?

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 中田ヤスタカとこしじまとしこによるユニット・CAPSULEの15枚目となる最新アルバム『WAVE RUNNER』(2015年2月18日発売)が好調だ。結成18年目とは思えないフレッシュさ溢れる謎めいた存在感も気になるところだが、先日ニコ生初降臨となった「『WAVE RUNNER』完成記念打ち上げ~屋形船から生中継 “ナカタブネ”スペシャル~」での二人は、ゆるさ溢れるトークで15万人のオーディエンスを魅了していたことが忘れられない。

 最新アルバム『WAVE RUNNER』は、国内オリコン・ウィークリーチャートTOP5にランクインはもちろん、世界各国のiTunes(R)Store ダンスチャートを席巻していることで話題だ。総合チャートでも2位を記録した日本を始め、香港で1位、エストニアで1位、アメリカで3位、フランスで4位、台湾で4位という快挙となっている。

 ワーナーへの移籍第一弾となった前作アルバム『CAPS LOCK』(2013年10月23日発売)が、コンセプチュアルでミニマルなリスニング・アルバムであったことから一変、最新作『WAVE RUNNER』はド直球に踊れるダンサブルな楽曲集に仕上がっている。しかも、ダンスミュージックながら分数が4分前後に押さえられたポップス・フォーマットなのも気になるポイントだ。EDMといった世界的なトレンドとのリンクにこだわることなく、それら理由を前作と比べ、“作品性の違いではなく音楽の機能性の違い”と語っているところが、中田ヤスタカらしさだ。本人が語っていた逸話だが、CAPSULEのアルバム作品は、例えば漫画作品としてとらえた方が理解しやすいかもしれない。絶対作品主義。アーティストとして讃えられることよりも、純粋に作品としての評価を望んでいるのだろう。ゆえに、メディアにはほとんど登場しないが、会いたいと思えばクラブ・イベントで、普通にグラス片手にメンバーは呑んでいたりするのだ。

 筆者は12年前、2003年から中田ヤスタカにインタビューをしてきた。その経験から得たCAPSULEのクリエイティヴの本質とは“中田ヤスタカ自身が一番作りたい音を具現化するステージ”というのが答えだ。途中、Perfume、きゃりーぱみゅぱみゅでの大ブレイクがありながらも、CAPSULEでの活動ではストイックなまでにやりたいことを貫き通してきた。軸となるキーワードは、中田ヤスタカの嗜好性である未来感でありSF的なテイスト。中田ヤスタカはCAPSULEでの制作においてデモ音源を一切作らない。楽曲キープもない。作りたいイメージを〆切ギリギリまでひとりでいじり倒して構築しているこだわりに着目したい。中田ヤスタカの頭で鳴り響く最旬な音の成果がCAPSULEなのだ。

 スピード感ある制作スタイルということもあり、CAPSULEの場合、これまでプロモーション・ツールとしてMV制作が追いつかないことが多かった。しかし、最新作『WAVE RUNNER』ではPerfumeやサカナクション、OK Goなどでお馴染みの関和亮監督を迎えて制作したMV「Another World」の存在が興味深い。映像テーマは、近未来である2020年、エクストリーム・スポーツとしてドローン・レースが日常で一般化した様を描いている。“CAPSULE=近未来のライフスタイルを音楽として表現する”というコンセプトのあらわれだ。映画『AKIRA』や『攻殻機動隊』など海外での成功によって、日本文化は、近未来ライフスタイルの映像的なヴィジョンを求められている。中田ヤスタカは自らの嗜好性と相まって、これらSF的な期待に『WAVE RUNNER』で図らずも答えたことが、海外からのコメントが多数寄せられているように、海外でも好調なチャートアクションを裏付けているのだと思う。

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