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嵐『THE DIGITALIAN』を柴那典が全曲レビュー 作曲者の顔ぶれと音楽性から読み解く

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20140214-arashi.jpgデビュー15周年を迎え、人気絶頂の嵐。

 初週で66万枚を超え、今なおセールスを重ねる嵐のニューアルバム『THE DIGITALIAN』。10月にリリースされたこのアルバムは、おそらく今年最大のヒットとなるだろう。

 批評家の矢野利裕氏が指摘するように、デジタル/エレクトロ方面に大きく舵を切ったこのアルバム(参照:嵐『THE DIGITALIAN』が示した新潮流 日本のポップスは“メロディ信仰”から“リズム改革”へ)。そんな一枚を、楽曲ごとの音楽性と作曲クレジットから読み解いていくのがこの記事だ。

 興味深いのは、嵐のアルバムは、現役で活動するミュージシャンではなく専業の職業作曲家に絞って楽曲提供が成されていること。MIYAVIや中田ヤスタカ、津野米咲(赤い公園)などを積極的に起用しているSMAP、山下智久や関ジャニ∞などとの大きな違いはそこにある。

 そして、(今作に限ったことではないが)コンポーザーの陣容はかなり多国籍なメンツになっている。日本だけでなく、ストックホルム、ロンドン、ベルリン、LAなど世界各地のクリエイターが集結した内容だ。様々な作風が入り混じっているが、全体的にはヨーロッパのダンスポップをJ-POP流に翻訳するようなテイストが軸。先鋭性と親しみやすさが絶妙に同居する仕上がりとなっている。

 多少マニアックな見方になるが、こういった視点から全16曲を分析していこう。

1.ZERO-G

作詞:梶ヶ谷翔太、eltvo  作曲:Takuya Harada 編曲:石塚知生

 アップテンポなダンスビートを導入したパーティー・チューンで、「デジタルとヒューマンの融合」がキーワードだというアルバム『THE DIGITALIAN』全体の方向性を象徴するようなリード曲。そして、目まぐるしい展開が特徴の曲でもある。技アリなところはサビの力技な転調だ。Bメロの「♪奪い去って Crazy heart〜」から、ブレイクを挟んで、サビの「♪Oh Shake it〜」でガラリとメロディの雰囲気を変える。そのままAメロに戻って2番に行くかと思いきや、テンポを半分に落としたブリッジで一度曲調を落ち着かせる。聴き手を飽きさせない工夫が至るところに見られる曲だ。

 作曲者はTakuya Harada。「Breathless」や「誰も知らない」などでもスウェーデンの作曲家チームと共作を手掛ける彼は、嵐のヨーロピアン・ダンスポップ的な作風を推し進めるキーとなっている人物かもしれない。

2.Wonderful

作詞:ASIL・Masa Fujise・John World・SQUAREF、作曲:James Winchester・Peter Boyes・Christopher Wortley、編曲:Slice of Life

 ドラムンベースのリズムを大々的に導入した楽曲。90年代のロンドンで生まれたこのビートスタイルはブレイクコアやリキッドファンクなど数々のサブジャンルを生みつつ「荒々しくてアンダーグラウンド」「洗練&上品」な二方向の進化を遂げてきたのだが、この曲は後者。ホーンセクションをフィーチャーしたファンキーな曲調に、4Heroあたりも想起させるオシャレ度の高いハーモニーが聴き所。作曲を手掛けたJames Winchester・Peter Boyes・Christopher Wortleyは、ロンドンの作曲プロダクション「No Prisoners Records」を中心にしたチーム。

3. Tell me why

作詞:SQUAREF・mfmsiQ・John World、Rap詞:櫻井翔、作曲:Andreas Johansson・STEVEN LEE、編曲:A.K.Janeway

 ネリーあたりを想起させるR&B調のバラード曲。BPM70ほどのスローテンポな曲調なのだが、後半の櫻井翔のラップから倍速の四つ打ちにスピードアップするところが面白い。作曲を手掛けるAndreas Johanssonはスウェーデンの作曲家、STEVEN LEEは数々のK-POPやJ-POPのヒットソングを手掛けてきたLA在住の韓国系アメリカ人作曲家。ヨーロッパ的なアルバムの中ではアメリカ寄りな印象。

4. Asterisk

作詞・作曲・編曲:100+、Rap詞:櫻井翔

 トランス調のエレクトロビートにオートチューン系のエフェクトを多用したダンスポップ。Bメロへとサビへ爽快に駆け上がっていく展開、ハーフテンポに落とした中間部からの高速ラップなど、曲調が一辺倒にならない工夫が凝らされている。イントロのEDMテイストなシンセフレーズのリフレインも効果的。作詞・作曲・編曲の「100+」(ハンドレッドプラス)は、これまでも「Bittersweet」など嵐の楽曲の多くを手掛けている。海外の作曲家の共作が多い嵐におけるこの起用法は、信頼度の高さを示すものかも。

5.Imaging Crazy

作詞:curly・furaha、作曲:Dyce Taylor・Jin Choi、編曲:Jin Choi

 大野智のソロ曲。アタック感の強いシンセベース、一人多重ハーモニーを軸にした曲調だ。作曲にクレジットされているJin Choiは、ドイツはベルリン在住のDJ/プロデューサー。ソロではディープ・ハウス系の楽曲を多く手掛けている。

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