嵐『THE DIGITALIAN』を柴那典が全曲レビュー 作曲者の顔ぶれと音楽性から読み解く

6.GUTS

作詞:eltvo・s-Tnk、作曲:SAKRA、編曲:石塚知生

 転調を駆使したメロディが印象的なシングル曲。この曲については以前も書いたが、アルバムの流れの中で聴くと、一曲の中に多彩な要素を詰め込むここ最近のJ-POPの特徴が際立つ。(参照:嵐『GUTS!』50万枚超えチャート1位に 楽曲に込められた「音楽的仕掛け」とは?

7. Disco Star

作詞:youth case、作曲:YASUSHI WATANABE、編曲:A.K.Janeway

 相葉雅紀のソロ曲。タイトルの通りのディスコソングで、オクターブを上下するシンセベースやシンセリード、「ヒュヒュー!」「フワフワ」という合いの手など、サビではかなり典型的な「和製ディスコ」を踏襲している。とはいえその他の部分に転調やテンポチェンジを仕込み、めまぐるしく展開するところが2010年代のJ-POPならではの感覚。作曲のYASUSHI WATANABEは他にもアニメや女性アイドルに楽曲を多数提供している。

8.誰も知らない

作詞:mfmsiQ・SQUAREF・John World・作田雅弥、作曲:Takuya Harada・Joakim Björnberg・Christofer Erixon・BJ Khan、編曲:佐々木博史・BJ Khan

 シングル曲。ストリングスを大々的に使い場面場面でアレンジがガラリと変わるミュージカル仕立ての曲調は、アルバムの流れの中でも存在感を放つ。Joakim BjornbergとChristofer Erixonは、ストックホルム在住のスウェーデンの若手作曲家/プロデューサーコンビで、ヨーロッパ的なセンスを打ち出している方向性の象徴だ。(参照:嵐とAKB48、音楽的アプローチの違いは? チャート上位2曲を洋楽の視点で読み解く

9.TRAP

作詞:AKIRA、作曲:AKIRA・UTA、編曲:吉岡たく

 バキバキのシンセとワブルベースの音を配した、アルバムの中でも一二を争う攻撃的なナンバー。曲名の「TRAP」は様々に解釈できるが、これはそのままジャンルとしての「トラップ」に通じるものなのではないだろうか。アメリカのヒップホップに広まった、ヘヴィな音色と変則的なビートを活かした新潮流のスタイル。ワカ・フロッカ・フレイムやグッチ・メインが代表的なアーティストとして知られる。作詞と作曲を手掛けるAKIRAは、プロジェクト「PALM DRIVE」としての活動も知られ、日本のR&Bやヒップホップシーンにも広い人脈を持つクリエイター。

10.STAY GOLD

作詞:Macoto56・松本潤、作曲:Shinnosuke、編曲:Shinnosuke・Pieni tonttu・Captain B

 松本潤のソロ曲。アルバム『DIGITALIAN』では様々なタイプのダンス・ミュージックを取り入れているのだが、この曲はハウス。比較的小さな音のビートとSEから始まる曲の入り方もDJミックスっぽいイメージを踏襲している。作曲を手掛けているのは、元SOUL'd OUTのShinnosuke。グループは今年7月に解散したが、作曲家としてのキャリアと実力は折り紙つきだ。

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