坂本真綾がthe band apartと異色コラボ その音楽的挑戦はシーンに受け入れられるのか
声優、歌手、女優、エッセイストなど、多岐に渡る活動を続ける坂本真綾が2014年2月5日リリースする新曲『SAVED./Be mine!』のジャケット写真と、収録曲『Be mine!』のビデオクリップが公開された。
同曲の作曲はロックバンドthe band apart、編曲はthe band apartとStereo Fabrication of Youthの江口亮が手がけている。今年の夏には初のロックフェスティバル『ROCK IN JAPAN』に出演、年末の『COUNTDOWN JAPAN』にも出演が決まり、声優という枠を飛び越えて、あらゆる音楽シーンとの距離を縮めている彼女。そこにはどのような背景があるのだろうか。坂本真綾を初期から追い続けているライター、田口俊輔氏は次にように語る。
「坂本さん自身は昔からミュージシャン指向の強い方なんです。もともと彼女は声優ではなく、舞台子役からキャリアをスタートしているので、『役者』や『歌』にも重きを置いています。とくに『歌』に関しては、初期では菅野よう子が全面プロデュースするなど、かなり力を入れています。1stアルバムの頃からセッションミュージシャンもとても豪華で、彼女自身、幅広い音楽と触れ合う機会が多かったので、音楽への目覚めも早かったのだと思います」
ツアーパンフレットにもレスポールを抱えている写真があり、ロックとの親和性を感じさせる坂本真綾。作品をリリースするほどに、音楽に深くのめり込んでいったという。
「音楽的才能の開花は、菅野よう子プロデュースを離れた『夕凪LOOP』というアルバムで、自作曲が入ってきた頃だと思います。その頃からピアノの弾き語りも始めたりして、徐々にアーティスト指向が強くなり、自己表現への道を歩み始めました。その流れは当初、菅野楽曲の完成された世界観をガラっと変えてしまったので、従来のファンには受け入れがたく、バッシングも受けました。でも、そのアルバムでは後に彼女の才能を開花させる鈴木祥子(シンガーソングライター。坂本真綾に楽曲提供している)との出逢いもあり、ある意味では彼女にとって転換期となる作品でもありました。鈴木祥子さんはマルチプレイヤーなので、そこから受けた影響もとても大きかったはずです」
『声優』から『アーティスト』へ。変化を遂げていく彼女は、音楽ファンにはどのように受け止められているのだろうか。
「初の“夏フェス”となった『ROCK IN JAPAN』では、まだアウェーな感じだったとは聞いています。ただ、彼女の楽曲はとてもしっかりしているので、それなりにお客さんの心は掴んだみたいです。今年の『ROCK IN JAPAN』はアイドルも沢山出演していたんですけど、負けないくらい受け入れられていたのではないでしょうか」
ロックフェスの出演を経て、今回の新曲では前述のとおり、かねてより交流があるthe band apartとのコラボレーションが実現。ロックシーンと積極的に関わり始めた坂本真綾は、今までのファンの目にどう映っているのだろうか。
「いまや彼女を純粋な『アイドル声優』として見ているファンはほとんどいません。どちらかというと、アーティストとしての彼女を好ましく受け入れているファンが多いと思います。フェスへの出演も、ファンは坂本さんの世界観が受け入れられるのかという心配はあれど、出演すること自体に対する反感はほとんどないでしょう。バンアパと彼女がたがいにリスペクトしているのは、ファンにとっても周知の事実ですので、好意的に受け止められるのではないでしょうか」
坂本真綾にとっても、そしてバンアパにとっても新境地となる『Be mine!』。彼女の音楽的挑戦がどこまで広がっていくのか、今後も期待したい。