『ラヴ上等』『ラブキン2』……2026年の恋リアは“異世界系”がトレンド? 見る側にとっての「心地よい過剰さ」を考える

2026年の恋リアは“異世界系”がトレンド?

 2026年、話題を集めている恋愛リアリティーショーが二つある。Netflixの『ラヴ上等』と、ABEMAの『ラブパワーキングダム2』(以下『ラブキン2』)だ。

 『ラヴ上等』は、日本初の“ヤンキーたちの純愛リアリティショー”を掲げる番組で、11人のヤンキー男女が学校で14日間の共同生活を送りながら恋をしていく。対する『ラブキン2』は、地中海に浮かぶ島国マルタを舞台に、爆モテ自慢の美男美女16人が集まり、“モテNo.1”を競い合う番組である。

 この二作に共通しているのは、どちらも恋愛を軸にした番組でありながら、その恋愛が動く場そのものに強い世界観やルールが与えられていること。

 ヤンキーが集う学園、モテを競うリゾート。どちらの番組も、参加者たちが誰を好きになるのかを追うだけでなく、同じ文脈を背負った人たちが集まったときに、誰と誰がどうぶつかり、どう関係が動いていくのかまでを見せる作りになっている。恋愛を見守る面白さに加え、その舞台ならではの空気やゲーム性が番組全体を動かしているのだ。

『ラブパワーキングダム2』

 恋愛リアリティーショーには、以前から「日常の延長線上にある恋愛をのぞき見る」タイプの作品が一つの定番としてあった。自然な出会いやすれ違いを見守りながら、参加者たちの恋の行方を追っていく。主に実在する場所をデートスポットとして取り入れる番組も多く、視聴者もそこに自分の感覚を重ねながら見やすい。いわば、等身大の恋愛を楽しむフォーマットである。

 それに対して、『ラヴ上等』や『ラブキン2』に共通しているのは、恋愛を軸にしながらも、その恋愛が動く舞台そのものの設計が強く打ち出されている点だ。ヤンキーが集う学園で、気の強さや面子がどうぶつかり合うのか。モテに自信のある男女たちが、どう自分を見せ、どう優位に立とうとするのか。そうした“世界観に合う男女”が集められているからこそ、恋愛の行方だけでなく、そこで生まれる反応や衝突そのものが見どころになる。

 たとえば『ラヴ上等』は、恋愛を軸にしながら、その恋愛が共同生活の中でヤンキー同士の面子の張り合いや衝突と折り重なるように進んでいく。ヤンキーならではの少し危うく、ハラハラするぶつかり合いまで含めて楽しませる作りは、『ラヴ上等』の特徴だ。こうした“その世界観ならではのコード”を共有した集団を見せてる点は、『ラブキン2』にも通じる部分があるのではないだろうか。

『ラブパワーキングダム2』

 近年の恋リアを振り返ると、恋愛にその番組ならではのルールや舞台設定を重ねる作品は少なくない。たとえばNetflixの『あいの里』は、都会を離れた共同生活の場に人生経験を重ねた男女が集まることで、一般的な恋リアとは異なる空気を作っていたし、ABEMAの『ウェディングウォーズ』も、結婚資金1000万円を目指す婚前合宿サバイバルという設定そのものが、番組全体の見え方を形づくっていた。

 重要なのは、こうした作品では恋愛の前に、まずその番組ならではの世界を理解する段階があることだ。舞台は現代であっても、そこには普段の生活とは少しずれた独自の空気やルールが流れている。その場(世界)では何が魅力として機能するのか、どんな振る舞いが有利に働くのか、参加者たちにはどんな“スキル”が備わっているのか(会話やデートなどで、参加者の職業が強みになることも往々にある)。

『ラブパワーキングダム2』

 視聴者は、そうしたその世界ならではの基準を飲み込みながら、人間関係や恋愛の動きを見ていくことになる。現実と地続きでありながら、少し切り離された別の世界をのぞき込むような感覚は、アニメやマンガの“異世界もの”にも少し近いかもしれない。

 そうした構造がもっともわかりやすく出ているのが『ラブキン2』だ。モテに自信のある男女が集まり、好意の見せ方も引き方も含めて、ひたすら駆け引きを重ねていく。恋愛リアリティーショーで異性からの好意が取り沙汰されること自体は珍しくないが、『ラブキン2』はその“モテ”を最初から前提条件にしている点が大きい。恋リアへの参加経験のある参加者も多く、“自分はモテる”という自負を持った男女が集められているからこそ、ひとつひとつの行動が恋愛であると同時に勝負にもなっていく。

『ラブパワーキングダム2』

 第5話では、男性が女性を1人選んでゴゾ島でのツーショットデートに行ける展開があったが、そこでもただ「誰が気になるか」だけではなく、「誰を選べば場がどう動くか」まで含めた駆け引きが見えていた。それぞれの思惑がにじむ中で、スタジオの予想を裏切る相手が選ばれる場面もあり、“モテの競技場”としての緊張感がよく表れていた。

 今シーズンの舞台であるマルタも、この番組の見せ方をうまく支えている。陽光と海に囲まれた開放的な空間は、参加者たちの表情や距離感をより鮮やかに浮かび上がらせる。その中で「鼻キス」「膝枕」といった“モテミッション”が課され、脱落を左右する“モテVOTE”が待ち受けている。美しいロケーションの中にシビアな投票が埋め込まれているからこそ、視聴者はリゾート気分と勝負の緊張感を同時に味わうことになる。

『ラブパワーキングダム2』

 現実の恋愛をそのまま切り取るというより、少しデフォルメした舞台を用意し、その中で恋愛や人間関係を動かしていく。視聴者は恋愛そのものだけでなく、恋愛が起こる“場”のルールや空気ごと楽しむ。そうした見せ方は、いまの恋リアを考えるうえで押さえておきたい流れの一つと言えそうだ。

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