「AIがないと回らない、にはしない」 Webツールクリエイター・トミナガハルキが語るAIとの付き合い方

トミナガハルキが語るAIとの付き合い方

 生成AIとクリエイティブ。その可能性をめぐる議論が日々更新されていく時代に、クリエイターたちは何を思い、どう距離を取りながら、創作と向き合っているのか。

 今回からスタートする連載「Create with AI」第1回は、デザイン事務所AMIX代表・トミナガハルキ氏のインタビューをお届け。デザイナーとして活動するかたわら、「三角関係ジェネレーター」「ラクノオト」など、SNSで話題になったユニークな無料Webツールを公開する同氏に、生成AIを使い始めたきっかけや創作に活用する上でのスタンスについて聞いた。(Jun Fukunaga)

トミナガハルキ

トミナガハルキ

デザイン事務所AMIX代表。印刷広告のデザインを主力分野としつつ、バイブコーディングを活用し、三角関係ジェネレーター、GABIBI、ラクノオトなど100超の無料Webツールを公開している。外国語大学在学中にグラフィックデザイナーを志し、独学でIllustrator・Photoshopを習得。新卒でパッケージ製造メーカーに入社後、複数の企業を経て独立した。

とっつきやすさが、ツールを広げる

ーー最近、相関図を簡単に作れる「三角関係ジェネレーター」を発表され、SNSで大きな反響を呼びました。1年ほど前からAIを活用したツールづくりを始められたとのことですが、改めて、AIを取り入れるようになったきっかけと、当時と現在の心境について教えてください。

トミナガ:コーディングやプログラミングという新しい領域に取り組める良い機会だと思って、あまり気負わず作り始めたのがきっかけです。無料で公開すると色々なフィードバックがあって楽しいので、今も続けられています。このスタンスは現在も変わっていませんね。

三角関係ジェネレーター

ーー「三角関係ジェネレーター」に関するSNS投稿は多様な層から注目を集めましたが、シンプルな相関図ツールがここまで広がる過程で、ご自身が驚かれたことや、手応えとして残った瞬間はありましたか。

トミナガ:ツールは作り込みや便利さも大事なのかもしれませんが、とっつきやすいものが広がりやすいと感じています。「GABIBI」(※画像を粗く劣化させるシンプルな加工Webツール)もSNSで注目を集めましたが、本当にシンプルな画像劣化ツールです。

GABIBI

ーー「ほぼ日刊イトイ新聞」のイマコレキニジャーナル連載で「なんでもできるは良くないんやな」「逆にどこを削るかのほうが大事」と語られていましたが、AIを使うとどうしても機能を追加しがちな環境下で、トミナガさんが「削る」判断をされるときの基準があれば教えてください。

トミナガ:ツール内で、利用者が迷子になるようなら分けた方がいいと思います。あとは、検索性も意識しています。なんでもできるツールは、「なんと検索すれば出てくるのか?」が分からないですよね。

ツール開発や資料まとめなど、自分の主力分野外でAIを活用する

ーーいまのお話に関連して、ツール開発において、AIに任せる部分とAIで仕上げきらず、人間の手作業で行う領域を、どのように線引きされていますか。

トミナガ:UI/UXの部分は意識していますね。特にスマートフォン版は、仕上がりが変になりがちなので、必ず実機で触ってチェックしています。なんかしっくりこない……という部分のフィードバックは人の仕事だと思います。

ーー環境音ミキサー「ラクノオト」では、ループの境目に違和感を出さないために専用の裏ツールを別途自作されたとのことでした。100個を超えるツール開発のなかで、このような独自の工夫で乗り越えた経験で印象に残っているものがあれば教えてください。

トミナガ:工夫と言えるかは微妙ですが、50点くらいの仕上がりでも公開してみると世間からいただける評価は80点くらいだったりするので、出し惜しみせずにどんどん作っていく方がいいなと思っています。

ラクノオト

ーーデザイン業界では「DESIGN.md」(※AIにブランドのデザインシステムを読み込ませるMarkdown形式の仕様)やClaude Design(※Anthropicが2026年4月にプレビュー公開したAIデザインツール)などの登場により、デザインとAIの関係を捉え直す動きも生まれているかと思います。こうしたなかで、「これは違うな」と感じる声、あるいは「これは共感する」という声があれば、率直な所感をお聞かせください。

トミナガ:自分のフィールドであるグラフィックデザイン領域ではあまりAIを活用していないので、正直なところまだ明確な答えは出せていません。今はちょっと距離を置いて、遠くから様子を見ているような感じです。AIについては、ツール開発や資料まとめなど、自分の主力分野外で活用していることがほとんどですね。

ーー「AIで考えることが減るのではないかとニュースで流れてきましたが、頭がパンクしそうだし、むしろ情報にアクセスする機会は増えたし、文章も書いている」というSNS投稿が印象的でした。「考える時間が減る/増える」をめぐる業界全体の議論や、規制動向・著作権についての議論を、トミナガさんはどのように受け止めていらっしゃいますか。

トミナガ:これは前の質問と繋がることなのですが、自分の仕事以外の領域でAIを活用することが多いので、要求される知識が増えています。なんでもAI任せにするわけにもいかず、自分でも勉強をする羽目になり、自分の本業+専門外の知識を得る作業が発生……という形で、知識のインプットがかつてなく増えているのだと思います。

ーーこれから先、AIを活用してどんなものを作っていきたいか、現時点で構想されていることや、興味を持たれているテーマ、変えていきたい点があれば教えてください。

トミナガ:AIについては、うまく活用しつつも「AIがないと仕事が二進も三進も行かない」というスキルセットにならないように注意したいです。どちらかと言うと趣味の領域として広げていきたいなと思っています。興味のある分野でいうと、音楽×AIについては興味があります。

■ 関連リンク
X:https://x.com/asobodesign
note:https://note.com/asobodesign
AMIX:https://amix-design.com/tominaga/
ツール公開ページ:https://amix-design.com/tools

【告知】環境音ミキサー「ラクノオト」
https://amix-design.com/tl/tool-chill/

「雨音や川のせせらぎなどの自然環境音から、街の雑踏・ブラウンノイズといった生活音まで、音源を自由にミックスして再生できる無料Webツールです」

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