「丁寧な生活」にはもう飽きた? 日常を捉え直す新たな文化・“ミニVlog”から考える視聴者の変化
いまTikTokで“ミニVlog”が流行しつつあるのを知っているだろうか。そもそもVlogとは、家で過ごす何気ない1日だったり、ひとり旅の様子など、“映像で見る日記”のようなものが多かった。企画のようなものがあるわけではなく、起承転結が練られているというものでもない。“なんてことのない日常”を切り取ったものがVlogの定義だと筆者は思っている。
そして、投稿者の多くは視聴者と同じ一般人。自分と同じような存在の生活を覗き見できるVlogからは強い共感が生まれ、いまとなっては動画コンテンツの一大ジャンルになっている。
そんななか、新たに生まれ始めている文化が“ミニVlog”だ。一見これまでのVlogをただ短くしただけなのではないかと思いそうだが、“ミニVlog”は、投稿する側と視聴する側の気持ちの変化や、時代背景が背景にあるからこそ生まれたカルチャーなのではないかと考える。
凝った長尺は受け止めきれない?
“ミニVlog”が生まれたのにはいくつかの要因があると考えるのだが、まず大前提として、いま動画コンテンツは、長尺の動画よりもショート動画の方が注目されている。
実は筆者も、近頃長尺動画を見始めるのにずいぶん腰が重くなってしまった。ショート動画を見すぎて、長尺動画を見る忍耐力がなくなってしまったからだと思っていたのだが、よく考えると、日頃から動画以外の場面で膨大なネットニュースやSNSに触れているため、精神のリソースが思っている以上にそちらに割かれている。そのため、いざ長尺動画を見るとなると、そのときにはもうHPがあまり残っていないのだ。
さらに長尺動画は、「どうせ最後まで見られないなら切り抜きでいいか」という選択肢も生まれてしまう。この長尺動画に感じる「完走しなければいけない」というプレッシャーも、つい短くて軽い動画を選んでしまう理由のひとつのように感じる。
Vlogでよく見るコーヒーを淹れるシーンや、景色が変化していく様子などは、ゆったりとした尺で表現されることが多い。しかしいまは、その“行間”ですら、視聴者にとってはわざわざ時間を割いて見なければならないものに感じられてしまうのではないだろうか。
また、Vlogが増えすぎてVlog自体に飽きてきたということも考えられる。投稿する人が増えすぎたため、Vlogに求めていた共感と癒しの需要はもう十分満たされているのかもしれない。
映えないと思っていた生活を再認識する
そこで登場し始めたのが、“ミニVlog”だ。筆者が初めてミニVlogを見たときの最初の印象は「可愛い!」というものだった。ひとつ一つのカットはあっという間に流れていくので、「これどこのお店だろう」「どこのブランドの家具だろう」という“情報”を得るのは長尺Vlogに比べて難しいが(一時停止をすれば調べることもできる)、ただ1本の作品として「可愛い」と感じた。おそらくそれは、長尺Vlogでは感じられなかった、リズムや雰囲気によるものだと思う。
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ミニVlogは主にTikTokで散見されるようになったのだが、尺は30秒前後のものがほとんど。全体の尺が圧倒的に短いため、素材も1〜2秒でどんどん切り替わる。それに比べてこれまでのVlogは10分前後、人によっては1時間近い動画を上げている場合もある。
ミニVlogは1本のなかに、ズームや静止画などいろいろなタイプの素材を織り込んでいる。カメラワークの工夫以外にも、手を振ったり歩いたりしているシーンではアニメのような効果音をつけたり、落書きをしたりと、素材の見せ方もさまざまだ。発信の場がTikTokというのもあって、BGMに合った編集やテンポ感になっており、ノっているうちに気づけば最後まで“見てしまう”。
長尺Vlogは、ナレーションやテロップをつけたり、BGMをシーンに合わせて変えたりと、作り込めば作り込むほど、投稿者のこだわりや、物語性を感じることができる。一方、ミニVlogは、その物語性は薄いぶん、全体のテンポ感やノリがいい。この“軽さ”が、視聴者にとっては心地いいのかもしれない。
ミニVlogで見る投稿主の生活は、これまでのVlog以上に着飾っていないリアルな姿のように感じる。Vlogは日常を切り取った映像ではあるのだが、「丁寧な生活」というワードが流行るように、どこか理想的で、ありのままの現実ではないように感じる。とくにモーニングルーティンやナイトルーティンなどの部屋のなかで過ごす系のVlogは、生活の“正解”、“お手本”を見ているような感覚になる。
だがミニVlogは、普段の生活で「楽しい!」と感じた一瞬を切り取って凝縮したものだ。いわば日常のダイジェスト版。クオリティが低くても、「私の日常ってこんなに楽しい瞬間で溢れていたんだ」と、改めて自身の日常を捉え直すことができる。短い尺に日々の楽しさがギュッと詰まっているからこそ、筆者はミニVlogにパワフルさと、キラキラした可愛さを感じたのかもしれない。
@yu_rina3925 低クオmini vlog📸💛 暗髪で久々にディズニー行ってきた♡ #minivlog #vlog #ディズニー ♬ suara asli - The Lyrich
@lindycappy Should I make more like these? ⋆౨ৎ˚⟡˖ ࣪ #japan #minivlog #dailyvlog #asethetic #cozy #japanvlog ♬ 踊り子 - Vaundy

























