渋谷駅の街頭広告から「100人パラパラ」まで O2O施策をライブ配信業界で推し進める『17LIVE』の戦略を紐解く

 渋谷駅のハチ公口を降り、スクランブル交差点へと向かう。渋谷にある会社へ通勤しはじめてもうすぐ10年になるが、再開発の影響もあって、景色は日に日に変わっていく。2030年には「スカイウェイ」なる歩行者デッキも完成するらしい。

 街ゆく観光客はスクランブル交差点を上から見下ろして撮ることが多いが、筆者は仕事柄もあってか、毎日のようにスクランブル交差点から上の景色を見ている。LEDビジョンはQFRONTと三千里薬品上(現在は“跡地”になった)だけでなく、多数の画面が街の景色にレイヤードされるようになった。

 そんななかで一際目立つのは、スクランブル交差点からQFRONTを正面に見た際の左上に見える、渋谷駅前ビルの縦長広告だ。かつてはアイドルのCDリリースに際して使われることの多かった広告だが、いまは年間を通してライブ配信アプリ『17LIVE』のさまざまなクリエイティブが掲載されており、この広告が新しくなるタイミングに季節の変化を感じるほどだ。

画像提供: 17LIVE
画像提供: 17LIVE

 直近でも年末年始のタイミングということで新たな広告が掲載された。リアルサウンドテックでは現在『17LIVE』特集を展開しているということもあり、これを機会に『17LIVE』やライブ配信業界の1年を振り返ってみることにする。

 コロナ前に提唱され、コロナ禍では滅多に聞かなくなった「O2O(Online to Offline)」という概念を、ここにきて耳にすることが増えてきた。ライブ配信自体はコロナ禍に隆盛した形式のプラットフォームで、基本的にはオンライン上で完結する小さなコミュニティの集合体として成り立っていたものだが、そのコミュニティを構成するライバーやリスナーがオフラインの場で合流することを一つのチェックポイントとすることが増えてきたからだろうか。先にあげた街頭広告は本人と対面こそしないものの、リアルの場に掲示されて不特定多数の目に留まる、片方向的なO2Oの事例といえるだろう。

 そんなO2Oの流れがライバーとリスナー間だけでなく、プラットフォーム側の積極的な展開に見えたのも2025年の特徴だろうか。17LIVEでは『TOKYO ISLANDS』や『イナズマロックフェス』などと連携し、これらのイベント・フェスのオープニングアクトを『17LIVE』のイベント入賞者から輩出してきた。アーティストの登竜門にもなる時代だと考えると、これからブレイクを狙う様々なエンタメジャンルの卵がライブ配信アプリを使っておかない手はないだろう。

イチナナライバーが都内大型野外フェスのトップを飾るーー八巻志帆の『TOKYO ISLAND 2025』出演をレポート

野外音楽フェスティバル『TOKYO ISLAND 2025』が、10月11日から13日までの3日間、海の森公園(東京都江東区)に…

 オフラインでの施策でいえば「約150人で合唱する」「100人超でパラパラを踊る」という企画も目を引いた。これらはすべてアプリ内で楽しめるライブ配信に加え、応募して参加できる一体感を重視したリアルイベントでのチャレンジ企画「イチナナチャレンジ」という枠の中で行われたもの。実際に取材もしているが、その光景は圧倒的の一言。実施の模様は後日ライブ配信も行われ、ライバーやリスナーから大きな反響が寄せられたという。

150人を超えるライバーの合唱で生まれた“絆”ーー17LIVE『ライバー100人ウルトラ合唱祭!』レポート

ライバーと、ライブ配信アプリ「17LIVE(イチナナ)」が主体となった配信企画『【イチナナチャレンジ】ライバー100人ウルトラ合…

ライバー100人超が“パラパラ”にチャレンジ “平成と青春”を彷彿とさせた『17LIVE』の「イチナナチャレンジ」第二弾に密着

17LIVEは、100名以上のライバーが一堂に会しチャレンジするプロジェクト【イチナナチャレンジ100】の第2弾として、平成ファ…

 今後もこのような大規模企画が展開されることは、個々の小さなコミュニティがそこだけで完結せず、別のコミュニティと接続したり、違う居場所を見つけたり、プラットフォームの独自性を打ち出すことにもつながってくるため、『17LIVE』に追随する形で他のプラットフォームでも起こってくるだろう。

 一体感といえば、サービス開始7周年に伴って制作されたオフィシャルアンセム「NANAIRO」は、まさにイチナナライバーとリスナーの一体感を表した楽曲だったし、ライブ配信プラットフォームの垣根を超えた祭典『JAPAN LIVER FESTIVAL 2025』は、プラットフォームの垣根を越えてライブ配信業界が一体となっている機運を感じるものだった。

『17LIVE』7周年記念の“オフィシャルアンセム”レコーディングに密着 作曲家&ライバー6名が楽曲に込めた想いとは?

ライブ配信アプリ『17LIVE(イチナナ)』がサービス開始7周年を記念して、オフィシャルアンセムソング「NANAIRO」を制作し…

業界初!ライブ配信プラットフォームの垣根を超えた祭典『JAPAN LIVER FESTIVAL 2025』開催レポ

2025年11月14日、東京都内ホール会場にて、ライバーの祭典『JAPAN LIVER FESTIVAL 2025』が開催された…

 リアル・バーチャルのライブ配信が隆盛し、いまや当たり前のものになった感じすらあるが、ライバーという職業の認知はそこまで高くない。これらの業界を跨いだ取り組みやO2Oの施策にはまだまだ発展の余地がある。2026年にはこちらが驚かされるどんな景色が待っているのか。ライブ配信業界の今後や『17LIVE』の次なる一手が楽しみだ。

サンタ姿や華やかな衣装のライバー等が豪華景品をかけて競い合う 17LIVE主催『Christmas Party 2025』レポート

2025年を締めくくる17LIVE主催リアルイベント「Christmas Party 2025」が同年12月26日、開催された。…

関連記事