『MacBook Neo』先行レビュー:10万円で買える新Macの「実力」と「弱点」 実機を触ってわかった “ピッタリな人” とは

『MacBook Neo』先行レビュー

 ここ数年、Appleは毎年春の新生活シーズンにあわせるかたちで、複数の新製品を投入する傾向にある。今年も例年に漏れずいくつかの製品を発表した。

 その内容は、『iPhone 17e』や『MacBook Air』『MacBook Pro』など、既存モデルに最新チップを搭載して性能を底上げするマイナーアップデートが中心だったが、大きな話題を集めた1台がある。それは、新たなカテゴリの製品となる『MacBook Neo』だ。

 『MacBook Neo』は、Appleのノートブックとして最も手頃な価格で提供されるエントリー型のMacBookだ。価格はなんと税込99,800円から。これまで『MacBook Air』でも15万円前後が一般的だったことを考えると、10万円という価格設定は破格と言ってよいだろう。

 とはいえ、エントリーモデルと聞くと、「安いMac」というイメージから「実際にちゃんと使えるのか」と気になる人も多いのではないだろうか。

 今回、発売に先がけて実機に触れる機会を得た。その印象としては、本モデルは 「万人向けのMac」というよりも、用途がハッキリした1台だと感じた。そこで本稿では、実機の検証結果も踏まえながら、「『MacBook Neo』はどんな製品なのか」、そして「どんな人に向いているのか」を考えてみたい。

『MacBook Neo』ってどんな製品?

『MacBook Neo』外箱

 まずは、『MacBook Neo』の立ち位置を整理しておこう。現在のMacBookシリーズは、大きく次の3つの製品に分かれている。

  • MacBook Pro:プロ向けの高性能モデル
  • MacBook Air:一般ユーザー向けの主力モデル
  • MacBook Neo:最も手頃なエントリーモデル

 プロフェッショナル作業を本業とするクリエイター・エンジニア・プロデューサーが主なターゲットとなる『MacBook Pro』、軽めの動画編集、プログラミング、在宅ワーク、クリエイティブな趣味などを日常的に行う人に最適なプロシューマーをターゲットにした『MacBook Air』。そして、今回の『MacBook Neo』は、気軽にMacを始められるモデルという位置付けだ。Appleも本機を「初めてのMac」や「Windows PCからの乗り換え」を想定した製品として紹介している。

 ただし、価格を抑えたからといって、上位のMacBookを単に安っぽくしたわけではない。筐体はアルミニウム製で、エントリーモデルとは思えないほどしっかりしており、剛性は上位モデルと大きくは変わらない。表面はサラッとした手触りで、指紋がつきにくいのが嬉しいポイントだ。

天面のAppleロゴは非光沢仕様
天面のAppleロゴは非光沢仕様で、鏡面仕上げよりも傷がつきにくそう

 本体サイズは高さ1.27cm、幅29.75cm、奥行き20.64cm、重量は約1.22kg。13インチクラスのノートブックとしてはコンパクトで軽い部類に入る。

 『MacBook Air』よりもわずかに高さがあるが、大きさや重さはほぼ近く、同じような感覚で持ち運べる。肩がけカバンやリュックに入れて日常的に持ち運ぶのも苦にはならないはず。

 カラーバリエーションも特徴的で、シルバー、ブラッシュ、インディゴ、シトラスの4色を展開。『MacBook Air』や『MacBook Pro』よりポップなカラーがそろっているのも、このモデルらしいポイントだ。

 画面には13インチのLiquid Retinaディスプレイを搭載。最近のMacBookのようなノッチ(切り欠き)がないため、画面上部はすっきりとした印象だ。

 キーボードはフルサイズ配列で、キー間隔にも余裕があるためタイピング時も広々と入力できる。キーキャップはホワイトを基調としつつも、本体カラーがわずかに混じったデザインのおかげで、完全ブラックの『MacBook Air』や『MacBook Pro』のキーボードとは少し雰囲気が異なり、見た目も軽やかだ。

トラックパッド
トラックパッドは四隅もきちんと押せる

 トラックパッドは大型のMulti-Touchトラックパッドを搭載。上位モデルのような感圧式ではなくメカニカル構造だが、実際に使ってみるとクリック感はしっかりしており、操作感はかなり自然だ。サイズも十分に広く、ジェスチャー操作も快適に行える。

ポート構成が確認できる側面

 ポート構成はシンプルで、USB-Cポートが2基と3.5mmイヤホンジャックを搭載する。これらはすべて本体の左側面にまとめて配置されており、全体としてすっきりした外観になっている。

日常用途なら性能は十分

使用イメージ

 気になる性能面についても検証した。『MacBook Neo』には、AppleのSoC「A18 Pro」が搭載されている。「A」シリーズは、もともとiPhone向けのチップとして開発されていたものだが、今回の『MacBook Neo』ではじめてMacにも搭載されることになった。

 Appleが開発するSoCには「A」シリーズと「M」シリーズがあるが、実は両者はどちらも同じARMアーキテクチャを基盤としたチップであり、基本的なCPUコア設計や高性能コア・高効率コアの考え方は共通している。

 「M」シリーズは、Mac向けにコア数を増やしたり、GPUやメモリ帯域を大幅に強化したりしてスケールアップさせた「上位版」といえる存在だ。一方、AシリーズはiPhoneやiPadの省電力・高集積を最優先に最適化されてきたが、近年ではプロセスルールの進化(3nmなど)やApple Intelligence対応のNeural Engine強化により、性能が飛躍的に向上しており、いよいよMac向けSoCレベルの高いパフォーマンスを発揮できるようになっている。

 パフォーマンスを数値化するため『Geekbench 6』でベンチマークスコアを測定してみたところ、M1チップを搭載する『MacBook Pro』に近いスコアとなった。あくまでベンチマークスコアではあるものの、実際の動作としてもアプリの起動やブラウジングといった日常作業ではキビキビとしたレスポンスで動作はかなり軽快だ。

MacBook Neo (A18 Pro)

コア構成:6コアCPU (高性能コア:2基、高性能コア:4基)、5コアGPU
シングルコア:3425
マルチコア:8736
OpenCL:19775
Metal:30899


MacBook Pro (M1)

コア構成:8コアCPU (高性能コア:4基、高性能コア:4基)、4コアGPU
シングルコア:2380
マルチコア:8357
OpenCL:21458
Metal:34493

 ブラウザで複数のタブを開きながら文章を書いたり、写真を軽く編集したりといった使い方であれば、動作が引っかかるような場面はほとんどない。オンライン会議や資料作成、SNSの閲覧、動画視聴といった日常的な用途も、特にストレスなくこなせる印象だ。

 写真の簡単なレタッチや軽めの動画編集といったクリエイティブ用途にもある程度対応できる余力があり、「学生のレポート作成」や「外出先での執筆・原稿作業」といった使い方にも十分実用的だろう。

 もちろん高解像度での動画編集などの負荷の高い作業を頻繁にするなら、『MacBook Air』や『MacBook Pro』の方が適しているものの、普段使いのノートブックとしては十分な性能と言える。

実際に使って感じた “割り切りポイント”

 一方で、価格を抑えるための割り切りもいくつかある。

 最も顕著なのがメモリ容量で、『MacBook Neo』は8GBメモリ固定となっている。日常的な作業では快適に使えるものの、重いアプリを複数同時に起動すると、多少は処理がもたつく場面が出ることもあった。

 また、USB-Cポートは2つ搭載されているものの、仕様が異なる点にも注意したい。奥側のポートはUSB 3(最大10Gbps)、手前側のポートはUSB 2(最大480Mbps)となっており、外付けストレージなど高速なデータ転送を行う場合はUSB 3のポートを使ったほうが速く転送できる。

 スピーカーも上位のMacBookほどの迫力はなく、音質にこだわる人は外部スピーカーやヘッドホンを使ったほうが満足度は高そうだ。

 こうした点を見ると、『MacBook Neo』はライトな用途に合わせて設計されたモデルだということがよく分かる。とはいえ、日常的な使い方をする上では、これらの仕様が大きな不満につながる場面はほとんどない。価格を抑えながらも、普段使いのノートブックとして必要なラインはしっかり押さえられている。

「初めてMacを使う人」「Windows PCから乗り換えたい人」にオススメ

『MacBook Neo』背面パネル

 ここまで見てきたように、『MacBook Neo』は日常用途に必要な性能や使い勝手をしっかり押さえつつ、価格を大きく抑えたモデルだ。一方で、メモリ容量やポート構成などを見ると、すべての用途をカバーする万能型のMacというわけでもない。

 実際に使ってみると、このモデルの性格はかなりはっきりしている。ブラウジングや文書作成、動画視聴といった作業はとても軽快で、持ち運びもしやすい。一方で、重いアプリケーションをいくつも同時に動かすような使い方では、上位モデルほどの余裕は感じにくい。

 つまり『MacBook Neo』は、高負荷な作業を前提としたMacではなく、日常的な用途を快適にこなすことを重視したモデルと言える。

 そう考えると、このモデルと特に相性が良いユーザー像も見えてくる。

 まず最もフィットしそうなのは、これからMacを使ってみたいと考えている人。これまで『MacBook Air』の価格がネックになっていた人にとって、10万円前後でMacを始められるのは大きな魅力になるだろう。アルミボディの質感やトラックパッドの操作感など、Macらしい基本的な使い心地はしっかり体験できるため、「Macを一度使ってみたい」という人の最初の1台としてはかなり現実的な選択肢だ。

 また、学生やライトユーザーとの相性も良さそうだ。レポート作成やブラウジング、動画視聴といった用途であれば動作は十分に軽快で、本体も軽くコンパクトで持ち運びやすい。大学やカフェにノートブックを持ち歩くような使い方でも扱いやすいだろう。

 さらに、Windows PCからMacに乗り換えてみたい人にとっても、このモデルは入り口としてちょうどいい。高価なMacBookをいきなり購入するのはハードルが高いが、この価格帯であれば「まずは試してみよう」と思える人も多いはずだ。

 こうして見ていくと、『MacBook Neo』はすべての人に向けたMacというより、Macの世界に入るための“入口”としてよくできたモデルだと言える。価格を抑えながらも日常用途の快適さはきちんと確保されており、これからMacを使ってみたい人にとっては、かなり魅力的な選択肢になりそうだ。

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