佐久間宣行によるNetflix『デスキスゲーム』、芸人たちの即興演技バトルに笑いと緊張のジェットコースターが止まらない

Netflixで2025年9月に一挙配信された『デスキスゲーム いいキスしないと死んじゃうドラマ』(全6話)が面白すぎる。
テレビプロデューサー佐久間宣行の最新作として、配信直後から大きな話題を呼んでいるこの番組。これまで『トークサバイバー!』『LIGHTHOUSE』『罵倒村』など数々のヒット作を打ち出してきた佐久間宣行だが、今回は『ゴッドタン』(テレビ東京系)の名物企画「キス我慢選手権」を彷彿とさせる設定が注目を集めている。しかし、単なるリメイクではなく、Netflixのスケール感により、笑い、誘惑、サスペンス、感動が融合した新次元のエンターテインメントに進化した。
劇団ひとり、森田哲矢(さらば青春の光)、渡辺隆(錦鯉)、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、嶋佐和也(ニューヨーク)、ぐんぴぃ(春とヒコーキ)の6人の芸人が、台本なしの即興ドラマで「最高のキス」を目指し、失敗すれば「死」(退場)の過酷なルールに挑む。舞台は大手製薬会社「ドラゴン製薬」を中心に、欲望と陰謀が渦巻く世界。美女役のセクシー女優(八木奈々、橘メアリー、金松季歩、塔乃花鈴、葵いぶき、紗倉まな、月乃ルナ、MINAMO)が誘惑を仕掛け、ナビゲーターの宮野真守が物語を導き、MCの矢作兼(おぎやはぎ)と山里亮太(南海キャンディーズ)がスタジオから辛辣なツッコミで盛り上げる構成は、地上波では実現不可能な過激さとドラマ性を生み出している。
「キス我慢選手権」が美女の誘惑に耐える受け身のゲームだったのに対し、『デスキスゲーム』は芸人たちが能動的に「最高のキス」を自ら作り上げていく。各話で異なるテーマ(恋愛、サスペンス、カルト、ミステリー、SF、ディストピア)が与えられ、即興で物語を構築し、クライマックスで「完璧なキス」を演出する。失敗すれば即「死」、MCの判定で「安いキス」と見なされれば退場というルールが心理戦とアドリブの極限バトルを展開させる。
本作の最大の魅力は、6人の芸人たちの個性が織りなす「化学反応」だ。特に絶対的エースである劇団ひとりは健在。どんな状況でも一瞬で設定を飲み込み即座に自分の世界観に引きずり込む常軌を逸した即興力、シリアスからコミカルまで自在に操る演技力で視聴者を圧倒する。
森田哲矢のリアクションは緊張感漂う場面を一瞬で笑いに変える爆発力を持ち、予測不能な脱線が場をカオスに導く。渡辺隆の圧倒的なドM気質と変態性が物語に勢いを与える。野田クリスタルの生真面目さと純粋さはこのドラマにおける清涼剤だ。良くも悪くも下品極まりないこの番組に純愛の風を吹かせていた。嶋佐和也の行き切った演技はクリスタルとは逆に『デスキスゲーム』のカオスな世界をさらに加速させていく。バキ童の愛称で知られるぐんぴぃのフレッシュなリアクションは共演者たちの重厚な演技に軽快さをもたらす。この6人がぶつかり合うことで、毎話異なるジャンルが予測不能な展開を生み出し、笑いと緊張のジェットコースターが止まらない。
各エピソードは、ドラゴン製薬の陰謀を軸に多様なテーマで展開。第1話「甘美な罠」は、恋愛サスペンスとして甘い誘惑と裏切りが交錯し、芸人たちの即興が火花を散らす。第2話「ゲームのはじまり」は、ルールが明確化し、サスペンスフルな駆け引きが視聴者を引き込む。第3話「教団の掟」は、カルト教団の不気味さと笑いが絶妙に融合したホラー風の世界で、芸人たちの意外な一面が炸裂。第4話「宿命を背負う者」は、ミステリー要素が強く、芸人たちの感情表現が深い感動を呼ぶ。第5話「デスキス」は、SFアクションの派手な展開とカオスな笑いが融合し、視覚効果も見どころ。第6話「救世主の主」は、ディストピアを舞台にした壮大なフィナーレだ。物語を驚愕の結末へと導いていく。





















