『あつまれ どうぶつの森』Switch 2版発売&大型アプデに“再ブレイク”の予感 過去の事例からその成功方程式を考える

『あつまれ どうぶつの森』オフィシャルサイトより
『あつまれ どうぶつの森』オフィシャルサイトより

 任天堂は10月30日、同社が展開するNintendo Switch向けタイトル『あつまれ どうぶつの森』について、2026年1月15日に「Nintendo Switch 2 Edition」を発売するとともに、同日付でVer.3.0となる無料アップデートを実施すると発表した。

 本稿では、『あつまれ どうぶつの森』の新動向が与えるコミュニティへの影響から、人気タイトル“再ブレイク”の成功方程式を考えていく。

全世界での売上は4,819万本 「どうぶつの森」シリーズ最新作『あつまれ どうぶつの森』

あつまれ どうぶつの森 はじめての無人島生活 [Nintendo Direct 2019.9.5]

 『あつまれ どうぶつの森』は、2020年3月にNintendo Switch向けに発売された「どうぶつの森」シリーズの最新作だ。プレイヤーは、手つかずの自然だけが存在するまっさらな無人島を舞台に、移住サービスを請け負うタヌキの「たぬきち」と協力し、島の発展を目指していく。

 キャッチコピーは、「何もないから、なんでもできる」。その言葉に表されているとおり、島では、土地の整備から素材の採集、アイテムの作成、必要な施設の建設など、さまざまなことに取り組める。島民たちと関わり合いながら、自分だけの島生活を作り上げていくことが同作最大のゲーム性だ。

 シリーズとしては、2012年11月にニンテンドー3DSで発売された『とびだせ どうぶつの森』以来、約7年半ぶりとなる新作で、存在が明らかとなったときからファンを中心に高い注目を集めていた。発売後はコロナ禍の巣ごもり消費を背景に、爆発的なヒットを記録。2025年6月末時点で全世界4,819万本を売り上げている。

あつまれ どうぶつの森 Direct 2020.2.20 無人島生活をくわしくご紹介

 今回発表されたのは、任天堂の新世代機・Nintendo Switch 2に対応する「Nintendo Switch 2 Edition」の発売と、Ver.3.0となるアップデートの実施。同作をめぐっては、2021年11月4日配信のVer. 2.0.0のパッチをもって、コンテンツの追加を終了するとアナウンスされていたが、上記バージョンのリリースにあわせ、新たな大型アップデートの実施が明らかとなった形だ。

 「Nintendo Switch 2 Edition」の発売、およびVer.3.0アップデートの実施は、2026年1月15日を予定している。なお、Nintendo Switch版『あつまれ どうぶつの森』を所持しているユーザーは、550円(税込)のアップグレードパスのみで「Nintendo Switch 2 Edition」をプレイすることができる(※)。

※『あつまれ どうぶつの森 Nintendo Switch 2 Edition』の価格は、パッケージ版/ダウンロード版ともに7,128円(税込)。

気になる「Nintendo Switch 2 Edition」「Ver.3.0アップデート」の概要は?

あつまれ どうぶつの森:「Nintendo Switch 2 Edition」と「無料アップデート」のお知らせ

 ひとりで、さらにはフレンド同士で気軽に楽しめる生活シミュレーションとして、発売から5年以上が経過した現在もなお愛され続けている『あつまれ どうぶつの森』。発表にあわせて公開された映像は時間にして13分弱と短いものだったが、その内容は盛りだくさんだった。

 冒頭では、「Nintendo Switch 2 Edition」の概要について説明。「従来のバージョンより画面の解像度がアップし、より鮮明な映像で楽しめること」「部屋の模様替えなど、一部でJoy-Con 2のマウス操作に対応すること」「Nintendo Switch 2本体に搭載されているマイク機能を生かした新アイテム・メガホンが登場すること」「これまで8人が最大だったマルチプレイが12人まで拡大すること」「ゲームチャット機能を活用し、フレンドとおしゃべりしながらプレイできること」「別売りのNintendo Switch 2カメラを用意すると、映像とゲームプレイが連動し、さらに豊かなコミュニケーションが可能となること」などが紹介された。

 一方、それ以降の部分では、約4年ぶりとなるVer.3.0のアップデートに触れ、「島の桟橋にリゾートホテルが建設され、客室/ファッションのコーディネートが楽しめること」「この要素を通じて得られるホテルクーポンを活用し、新たなアイテムを購入できること」「コーディネートしたファッションはレンタルコーデとして島を訪れるすべてのプレイヤーが着用できること」「新たにDIYで島の名物を作成できること」「これまで最大5,000個だった収納数が9,000個まで拡張されること」「新要素であるリセット片付けセンターを通じて、風景を作り直せること」「なにもかもが思うままとなる新たな世界・夢の島が登場し、もう一度1から自由に島づくりができること」「夢の島では、フレンド同士で集まり、協力して島づくりを行うことも可能であること」など、その詳細が明らかとなった。

『あつまれ どうぶつの森』

 SNS上には、一連の内容を好意的に受け止めるプレイヤーの声が相次ぎ、関連ワードがトレンド入りする事態に。これら充実の内容を無料アップデートで配信するという任天堂の対応には称賛が集まった。

 「どうぶつの森」をめぐっては、Nintendo Switch 2ローンチの前後で、同機に最適化した新作の発売を求める声も大きかった。ファンにしてみれば、新ハードが登場するタイミングで、有料でもシリーズの世界にふたたび没頭したい気持ちが強かったのだろう。結果的には、その世界をもう一度楽しむにあたって十分すぎるコンテンツが無料で配信されることとなった。界隈の盛り上がりには、こうした経緯もポジティブに影響したのかもしれない。

“再ブレイク”は必然か 過去の事例から読み解く成功方程式

 「Nintendo Switch 2 Edition」の発売、Ver.3.0アップデートの実施によって、『あつまれ どうぶつの森』コミュニティはふたたび大きな盛り上がりを見せるだろうか。Nintendo Switch 2をめぐる界隈の熱狂を考えると、前世代機であるNintendo Switchは所有していなかったけれども、Nintendo Switch 2は購入した/もしくは今後購入する予定があるという人もいくらかいると想像する。「Nintendo Switch 2 Edition」の発売は、そうした層を取り込むひとつの施策であるのだろう。

『あつまれ どうぶつの森』

 もともと任天堂は「どうぶつの森」を「コミュニケーションゲーム」であるとしている。この言葉に裏付けられているように、同シリーズ界隈の盛り上がりはこれまで、フレンドといっしょに遊ぶプレイヤーによって支えられてきた面がある。

 このことを踏まえると、「Nintendo Switch 2 Edition」の発売によって想定される新規の流入は、それ以外の層にも影響を及ぼす可能性が高い。くわえて、同日には、既存のコミュニティに向けたVer.3.0無料アップデートも控えている。このタイミングでの復帰を考えている層も少なからずいるだろう。新規購入者/復帰者の存在は、こうした新動向にそれほど食指を動かされていなかった層を巻き込んでいく起爆剤となるはずだ。おそらくXデーである2026年1月15日には、相当数のプレイヤーが集まることになるのではないか。

 ここには、Ver.3.0無料アップデートに含まれる「夢の島」の影響も大きいと推測する。すでに作成した自分の島をリセットしなくても、新たにそこでフレンドとともに1から島づくりを楽しむことができるからだ。しかも、同要素では3つまでデータを作成/保存できるという。この機能により、各プレイヤーはさまざまなフレンドとのつながりを切り替えながら、3度も『あつまれ どうぶつの森』、ひいては「どうぶつの森」シリーズの醍醐味を満喫できるというわけだ。

『あつまれ どうぶつの森』

 過去のゲーム業界の動向を振り返ると、カプコンが開発/発売を手掛ける『モンスターハンター:ワールド』において、リリースから5年が経ったタイミングで同時接続数が大きく伸長した例がある。このケースでは、2023年12月より年末商戦の一環として実施された、各ストアでの同作のセールが“再ブレイク“のきっかけとなった。『あつまれ どうぶつの森』をめぐる動きも、これと同様であると言えるのではないか。

 私はその理由について、「シリーズ最新作『モンスターハンターワイルズ』の発表によってシリーズに対する熱が高まっていたこと」「同作の発売までまだ時間があったこと」「年末年始の長期連休を見据える時機であり、余暇にプレイするタイトルを探しているフリークが多かったこと」が影響したのではないか、と当時執筆した記事のなかで分析した(なぜ最新作ではない『モンハンワールド』が再ブレイク? プレイ人口急増の背景とは)。もし今後、『モンスターハンターワールド』や『あつまれ どうぶつの森』で起こった、もしくはこれから起こるであろうプレイヤーの再獲得が定着するならば、価格やタイミングはその再現性を語るうえで重要な要素となっていくのかもしれない。

 『あつまれ どうぶつの森』に関しては、「Nintendo Switch 2ローンチの前後で新作を期待する声が大きかったこと」「久しぶりの大型アップデートが無料で実施されること」がこれに該当する。SNS上での盛り上がりを見ても、同作の“再ブレイク”は必然であると言えそうだ。

 界隈から大きな注目が集まる『あつまれ どうぶつの森』をめぐる新動向。はたして同作はゲームカルチャーの歴史を振り返っても珍しい、“再ブレイク”の新たな例となるか。

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