『NINJA GAIDEN 4』開発陣インタビュー Team NINJA×プラチナゲームズが挑む“超忍”アクション体験の進化

『NINJA GAIDEN 4』開発陣取材

 伝説のアクションゲーム「NINJA GAIDEN」が、13年ぶりに新たな伝説を刻む――。

 シリーズ最新作『NINJA GAIDEN 4』では、これまで主役を務めてきた超忍「リュウ・ハヤブサ」に加え、若き天才忍者「ヤクモ」が新たな主人公として登場する。手に汗握るスタイリッシュなアクションはそのままに、熟練者は極限の難易度に挑戦でき、初心者もオートガードやオート回避が発動する「HERO」モードで爽快な戦闘を体験できる。

 今回、『東京ゲームショウ2025』の開催に際してプラチナゲームズの中尾裕治氏とTeam NINJAの平山正和氏に開発の裏側について伺う機会をいただいた。シリーズの伝統をどう継承しつつ、新たな挑戦をどのように取り入れたのか。新旧プレイヤー双方に向けた、“超忍”アクションの進化の秘密に迫る。

▲Team NINJAの平山 正和氏(写真左)、プラチナゲームズの中尾 裕治氏(写真右)
▲Team NINJAの平山 正和氏(写真左)、プラチナゲームズの中尾 裕治氏(写真右)

プラチナゲームズ×Team NINJAが挑んだ、繊細さとダイナミックの両立

ーー本日はよろしくお願いいたします。

平山 正和氏(以下、平山氏):Team NINJAの平山と申します。『NINJA GAIDEN 4』では開発ディレクターを務めております。

中尾 裕治氏(以下、中尾氏):プラチナゲームズの中尾と申します。本作ではプロデューサーとディレクターを兼務しています。

ーー『NINJA GAIDEN 4』は13年ぶりのシリーズ最新作となりますが、開発がスタートした経緯について教えていただけますか?

平山氏:我々Team NINJAとしても、「NINJA GAIDEN」は非常に大切なタイトルでした。前作が出て以来、何度か「また挑戦したい」と思い続けていたんです。その中で、弊社の鯉沼(※1)とプラチナゲームズさんの社長が同世代で交流があり、「両社で何か新しいことに挑戦できないか」という話が上がりました。

 さらに、マイクロソフトのフィル・スペンサー(※2)さんからも後押しをいただきまして。3社でタッグを組んで新たなナンバリング作品に挑戦することになり、『NINJA GAIDEN 4』の開発がスタートしました。

ーー従来シリーズが描いた“NINJA GAIDENらしさ”を、最新作ではどのように解釈しましたか?

平山氏:「NINJA GAIDEN」はその名の通り、リュウ・ハヤブサなどの忍者を主人公にしたアクションゲームです。プレイヤーがイメージするような「超忍」を自由自在に操れること、多彩なアクションであらゆる困難を打破できることが何より重要だと思っています。たとえば、大勢の敵に囲まれても、一人の忍者の多彩なアクションで切り抜けられる。そういった体験こそが本作の核だと考えています。

 そのためには、プレイヤーが「こう動かしたい」と思ったときに必ず対応するアクションがあることが重要です。固定された攻略法に縛られず、「こうしたい」と思った通りに立ち回れる自由さを大切にしています。

 従って、本作から登場するヤクモも、シリーズの伝統を継承しつつ、自由で多彩なアクション体験をプレイヤーに提供することを念頭に置かれて生み出されました。

『NINJA GAIDEN 4』

ーーでは、中尾さまが考える“NINJA GAIDENらしさ”についても教えていただけますか?

中尾氏:「NINJA GAIDEN」らしさについては、プラチナゲームズとして開発にあたる際に、特に意識して考えました。私自身もシリーズの大ファンで、過去作をユーザーとして遊んできたなかでずっと感じていたことですが、このシリーズの魅力は「アクションの繊細さ」に尽きると思います。

ーーアクションの多彩さと繊細さ。どちらもシリーズが丁寧に受け継いできた要素だと感じます。本作の開発時に苦労した点はございますか?

中尾氏:アクションの細かい部分ひとつを取っても、開発を進めていく中で、プラチナゲームズとコーエーテクモさん側の作り方の違いが徐々に見えてきました。今回は「鴉の型」と「鵺の型」という新要素を導入していますが、これは「NINJA GAIDEN」の新要素であり、プラチナゲームズならではのダイナミックな表現を取り入れた部分ですね。

 ただしダイナミックな表現を加えつつ、シリーズの特徴である繊細さも保つ必要がありました。ダイナミックと繊細さは、一見すると相反する概念ですが、その両立を丁寧に調整することに時間をかけ、慎重に作り込んでいきました。

13年ぶりのナンバリングで挑む、新旧主人公の二重奏

ーー『NINJA GAIDEN 4』が描くストーリーについて具体的に教えていただけますか?

中尾氏:本作ではこれまでのリュウとは異なり、ヤクモが主人公として登場します。このキャラクターはリュウの一族とは別の一族に属しているため、ストーリー上のさまざまなきっかけで流派同士が対立してしまう……そんな設定になっています。ヤクモは「血楔忍術」と呼ばれる新たな技を使うことができ、繊細かつダイナミックなアクションが楽しめます。

 また、『NINJA GAIDEN 4』は13年ぶりの新作ということで、新しいファンにも受け入れてもらえるように、ヤクモの実装はプラチナゲームズ側から提案させていただきました。

 ただ私自身もシリーズのファンなので、リュウの存在もしっかり押さえたかったんです。なので本作は、その両方を余すところなく盛り込んだ、欲張りなセットになったと思います。

ーーシリーズ初登場のヤクモは、開発チームから見てどのような印象の主人公ですか?

平山氏:まずは「リュウとはまったく違うタイプの人物」であることを意識しました。新しいファンにも関わってもらいたいという思いがあり、現代的なデザインやストーリー面も取り入れています。ヤクモはこれから成長していく忍者なので、既に超忍であるリュウとの対比という意味でも、個性が際立つキャラクターになったと思います。

中尾氏:先ほどの話にもつながりますが、リュウとヤクモは見た目からしても対比させています。これは、新規プレイヤーに向けたキャラクター像の提案でして、同時に「リュウ・ハヤブサの強さ」を強調する意図もあります。

 リュウは熟練した超忍としてこれまで活躍しています。その存在を際立たせつつ、ヤクモが乗り越えていくべき目標として描く。そういった大きな対比を意識してキャラクターを設計しました。

『NINJA GAIDEN 4』

ーー完成された1人のキャラクターでは成長を描きにくいからこそ、新たな主人公を据えることで、また新たな成長ストーリーが描ける……ということでしょうか。

中尾氏:2人にすることで、リュウの強さをより際立たせる狙いもありましたね。プレイヤー目線で見るとリュウはすごく強大な存在ですが、ヤクモがまだ未熟な部分もあるというか。リュウの強さをより実感できる構造にしたかったんです。

ーープレイヤー自身もヤクモと共に成長していき、同時にヤクモがいるからこそリュウが輝くのですね。

中尾氏:その通りです。過去作やスピンオフ作品を踏まえつつ、ナンバリングとして心機一転、新しい主人公を据えることで、あらためて「忍者とは何か」を再定義するようなメッセージを込めたかったんです。そういう意味で、今回はリュウとヤクモの2人構成になりました。

ーー「忍者とは何か?」という部分は、プラチナゲームズとTeam NINJAの両方で議論がかわされたのでしょうか。

平山氏:その点は我々としてもシリーズを通じて、不文律ながら継承と追求を続けてきていた部分でして。その上で、プラチナゲームズ側からの意見も伺いながら進めていきました。結果的に方向性にズレはなく、同じビジョンを共有できたと思います。

中尾:シリーズが続いてきた中であえて言葉にしていなかった部分を、あらためて言語化した感じです。確かに以前からあった要素ですが、言葉にすることでより鮮明になったと思います。

ーーまるで“秘伝のタレ”のように受け継がれてきた要素に、新たな言語化や再解釈、新規要素が加わって今作が生まれたと。その点はやはり感慨深いものがありましたか?

平山氏:そうですね。最初の話にもつながりますが、私自身、ゲーム業界に入って初めて担当したのが「NINJA GAIDEN」シリーズだったんです。

 それから時を経て、今回はディレクターとして関わることができました。個人としても考えられなかった経験ですし、チームとしても、かつてのスタッフと再び忍者を描くナンバリング作品に挑戦できたことは非常に感慨深いです。

『NINJA GAIDEN 4』

プレイヤーに委ねられた“遊びの余地”こそ、アクションゲームの本質

ーー長年待ち望んでいたファンに向けてはもちろん、シリーズ未経験のプレイヤーに向けた本作の見どころを教えていただけますか?

中尾氏:まず物語面について触れておくと、ナンバリングで4作目だからといって「過去作を知らないと楽しめない」ということはありません。これまでのナンバリング作品で各作中のストーリーは個別に完結していますので、今回も新たなテーマを掲げて、ヤクモの物語とリュウの物語が並行して展開されます。情報不足で迷うこともないように作っているので、安心して遊んでいただけます。

平山氏:「NINJA GAIDEN」は“高難度アクションゲーム”のイメージが強いと思いますし、シリーズのファンの皆さまが期待してくださっているような「歯ごたえのあるバトル」を提供することは、今作でも忘れてはいません。

 一方で、シリーズ未経験の方やアクションゲームが苦手な方など、「自分にはうまく遊べないんじゃないか」と思っている方のために、今作には「HERO」モードという難易度調整システムを搭載していることをぜひお伝えしておきたいです。

 こちらには単純に敵の強さを下げるだけでなく、オートガードやオート回避といったアクション補助オプションも用意しており、ゲーム内設定から有効・無効を切り替えられるようになっています。

 これにより、プレイヤー自身のスキルに合わせて少しずつ難易度を上げながら、超忍への道を段階的に進められる設計になっています。初めての方でも無理なくプレイできるので、ぜひ手に取ってほしいですね。

ーー本作の“アクションの気持ちよさ”を十二分に味わうためにも、必要に応じてアシスト機能を活用してほしいと。

平山氏:はい。もちろん、自らすべてマニュアル操作でキャラを動かしたときの操作感のよさや、思いのままに動かせたときの気持ちよさは重視しています。その上で、そもそもとして“単にキャラを動かしているだけで楽しい”というところを体感していただきたいと思ったことが、「HERO」モードをご用意した理由です。「HERO」モードでは特定のオプションを有効にすることで、ボタンを押すだけでコンボが出せたり、何気なく操作しているだけでもかっこいいアクションを繰り出せたりするようになります。

 そのほか、壁を走ったり飛び越えたりする動きなど、超忍らしいアクションも直感的に体験できます。まずは「HERO」モードを利用して忍者らしい動きの気持ちよさを楽しんでもらいつつ、(必要に応じて有効・無効を切り替えることで)段階的に操作がうまくいったときの爽快感を味わってもらえるよう設計しました。

『NINJA GAIDEN 4』

ーープラチナゲームズとして、本作を魅力的なアクションゲームとして仕上げるためにこだわったポイントについて教えてください。

中尾氏:アクションの手触りのよさなどはもちろんとして、本作ではアクションにおける戦略の選択肢をとにかく豊富に用意することを重視しました。実用性のあるテクニックを数多く揃えています。

 全部を使いこなさなくても十分楽しめるように設計していますが、最終的には、さまざまな状況に応じて選択肢を活かすことができる構造にもなっています。技のキャンセルや細かいアクションの自由度など、プレイヤーが「遊びの可能性」を感じられる要素を丁寧に用意しており、この点も本作のアクションゲームとしての面白さのひとつだと思っています。

『NINJA GAIDEN 4』

ーーありがとうございます。最後に、本作を心待ちにしているユーザーへ向けてメッセージをお願いいたします。

中尾氏:今回こうして開発に関われたことが本当に嬉しく、個人的にも新作を待ち望んでいた身として、Team NINJAの皆さんと一緒に作り上げられたことを誇りに思っています。発売まであと1カ月ほどですが、待ち続けてくださったファンの皆さんにはぜひ遊んでほしいです。

 そして、初めてプレイされる方もご安心ください。『NINJA GAIDEN 4』は過酷な状況を切り抜ける爽快感が魅力ですが、触って気持ちいい操作感や、バランス調整といったユーザビリティも配慮しています。臆せず、ぜひ楽しんでいただければと思います。

平山氏:13年ぶりの新作ということでプラチナゲームズさんとタッグを組み、進化した「NINJA GAIDEN」体験を目指して開発いたしました。柔軟な難易度オプションやストーリーも含め、シリーズファンはもちろん、幅広いプレイヤーにも楽しんでいただけると思います。

 さらに先日公開したとおり、DLCの計画も検討中です。発売後も本編をじっくり楽しみ、長く遊んでいただけるよう努めていきますので、今後とも応援をよろしくお願いします。

※1:鯉沼久史氏:コーエーテクモゲームス代表取締役社長兼COO
※2:フィル・スペンサー氏:マイクロソフト ゲーミングCEO

『NINJA GAIDEN 4』“高難度×スタイリッシュ”両取りアクションとして復権か 先行プレイで味わった至高の爽快感

13年ぶりのシリーズ最新作として2025年10月21日に発売予定の『NINJA GAIDEN 4』を先行プレイ。プラチナゲームズ…

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「インタビュー」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる