『Öoo』レビュー:可愛い爆弾イモムシが大暴れ! シンプルなギミックでとことん頭を使う秀逸なパズルプラットフォーマー

『Öoo』をクリアした。
本作は『ELECHEAD』で知られるNama Takahashi氏の新作パズルプラットフォーマーゲームだ。
『ELECHEAD』並みにシンプルでわかりやすい作りでありながら、最初から最後までプレイヤーに学びと閃きを提供してくれる非常に秀逸な出来のパズルゲームだった。
本作はある一匹のイモムシが主人公だ。といっても顔に小さなボンボンがふたつ付いているだけのかわいらしいデザインで、虫が苦手な人でも拒否感を示すことはないだろう。

イモムシは不意に巨大な怪鳥に食べられてしまい、そいつの胎内を巡ることになる。そこには爆弾を生成することができるようになる実がふたつ成っており、イモムシはその力を駆使して、怪鳥内の仕掛けを解き、なんとか胎内から出ようとするのだった。
ちなみに開発初期は『Öooo』というタイトルだったため、上記のトレーラーもその名前だが、途中で使用できる爆弾がふたつになったのでタイトルも変更したようだ。

イモムシにできることは、爆弾を生成し、その爆風に乗って上下左右に飛び出すことだけだ。爆風にダメージはなく、生成にも制限はない。トゲにぶつかってやり直しになることはあるが、チェックポイントは至る所に置かれているので、アクションが苦手でクリアできないということはないだろう。

主にこのアクションを使って、道中にいる黄色い羽虫を入手し、通せんぼしているカエルに食わせることで、新しい道が開けていく。
とにかくこの爆弾を使ったパズルが秀逸であり、延々と新しいアイデアが追加される。といっても、エリアごとに面白いギミックが追加されることは少なく、最初からできる行動をそれとなく気づかせてくれるパターンばかりである(このゲームにレベルアップやパワーアップの概念はない)。

爆弾の置き方や重ね方、爆風の挙動、イモムシとの位置関係、ギミックの裏技じみた使い方など「あ、こんなこともできたのか」と膝を打つようなことばかりだ。しかもそれをシステムメッセージが伝えてくるのではなく、プレイヤーがパズルを解くことで自発的に気づける仕組みになっている。
これは海外のパズルゲームファンコミュニティで言われている「メトロイドブレイニア」や「知識アンロックパズル」のようなジャンルに近い(キャラクターのアップグレードはなく、プレイヤーが閃くことでどんどん攻略に使える手段が増えていくタイプのパズルゲームのこと)。

開発者が用意した解法を思いつくという意味では、別に旧来のパズルと変わってはいないが、プレイヤーに気づかせる体験に重きを置いており、疲れや飽きを感じる前にサラッと終わるので、まったく隙がない作りになっていた。
ステージ自体も、余計な台や余っている仕掛けは一切なく、美しさすら感じるレベルデザインである。そしてそれを解けたときの気持ち良さも筆舌に尽くし難いものがある。

加えて、一部の隠しステージ以外、解法はそこまで大がかりになることはなく、解き方はわかったけど実行するのが面倒……というパズルもほぼなかった。閃きと攻略がほぼ同時に来るので、ユーザビリティにおいても気を遣っているゲームであった。
そして隠しステージの難しさは天井知らずで、クリアするだけでもこの「爆弾をふたつ置く」というシンプルなアイデアの奥深さに舌を巻くのに、まだこんなにアイデアが隠されていたのか……とさらに感嘆することになる。

キャラクターや背景は可愛らしく、音楽も邪魔しない程度に優しい。
残念だったポイントはほとんどない。ファストトラベル以外でマップを開けないことと、何らかのギミックや謎解きがあるかと思いきや、ただ単に爆弾で壁の中の羽虫を見つけるだけだった箇所があったことくらいで、ゲーム中はずっと楽しく遊ぶことができた。

ミニマルで秀逸なパズルゲームはSteamに数多く存在するが、本作もそれらに充分に並びうる作品だろう。ぜひともDLCや続編で、さらに面白いアイデアを見せてほしい。






















