『Killing Floor 3』爽快感のあるゴア表現は健在 ダラダラ遊び続けたくなるド安定Co-opシューター

『Killing Floor 3』レビュー

 『Killing Floor 3』をプレイした。

 本作は2009年に第1作が発売されたCo-opシューター(協力型マルチプレイシューティング)シリーズの最新作だ。血飛沫が舞い、四肢が弾け飛ぶゴリゴリのゴア表現が売りで、暴力的な衝動に身を任せて、思う存分撃ちまくれるゲームだった。

 反面、ゲームデザインは非常に平凡で、よくあるCo-opシューターの枠を超えてくることはなかった。良くも悪くもベタな出来であり、あくまでジャンルファンのためのゲームという印象である。

 ※なお、今回の記事ではグロテスクな描写のスクリーンショットがあるので注意してほしい。

Killing Floor 3 - Official Launch Trailer

 本作のストーリーは、主人公たちは反抗組織「Nightfall」となり、大企業が生物工学によって生み出した怪物たちの軍隊「Zed」を倒すために立ち上がる、というシンプルなものだ。

 先述した通り、本作は非常にベタなCo-opシューターだ。プレイヤーは8つのステージからひとつを選んで出撃する。1チームは6人構成で、この手のジャンルにしては多いほうだ。ソロで遊ぶこともできるが、たとえ野良マッチングだったとしてもマルチプレイでワイワイ遊んだほうが感触は良いだろう。

 プレイヤーが選べるパークは6種類(というより6人と呼ぶべきか)。シンプルなアサルトライフルとドローンを駆使して中距離から攻撃するコマンドー、火炎放射器や火炎手榴弾によってあたりを燃焼させるファイアバグ、タレットや地雷といったテクニカルな戦法を取るエンジニア、遠距離から敵を撃ち抜くシャープシューター、刀を振り回し手裏剣を放るニンジャ、味方をサポートするメディックだ。

 このパークシステムはシリーズ初の試みだが、上手くハマっているように感じた。それぞれに得意分野が異なり、ガジェットや投擲アイテムがユニークで、ヒーローシューター的な楽しみがあった。

 特に筆者はニンジャがお気に入りである。メイン武器が刀なので、ザコ敵は一刀両断できるうえ、弾薬を無駄遣いすることもない省エネな戦い方ができる。喋るセリフはほとんどすべてエセ日本語、イントネーションもメチャクチャであり、いちいち面白い。

 また、下水道というマップは日本モチーフで(梅津という場所の地下らしい)そこにもメチャクチャな日本語の落書きが書かれまくっている。ネイティブ日本人では出せないセンスだ。

 さて、チームが全員揃ったらいよいよバトルスタートだ。

 本シリーズはウェーブ制が導入されている。大量の敵を捌いて、そのあいだにトレーダーというポイントで武器や投擲アイテムを買い、また次のウェーブに備えるというものだ。この手のCo-opシューターで遊んだことのある人ならよくよく知っているシステムである。

 ウェーブごとにトレーダーの位置は毎回変わるので、戦場が細かく変わり、常に一箇所で籠城するゲームにならないように設計されており、そこは良い点だ。また、トレーダーではパークに沿ったもの以外の武器でも買えるので、その点も戦略的で素晴らしい。

 最終ウェーブではボスが登場する。これがなかなか歯応えがあり、適当に戦っているだけでは勝てない良いバランスになっていた。ただ、バリエーションはそんなに多くないので、早めに追加ボスが出てくれると嬉しい。

 ミッションを終えて帰ってくると、活躍に応じて報酬が配られる。スキルをアンロックし、別のミッションへと挑もう。特に面倒な仕様はなく、ひたすらにステージに挑み、Zedを八つ裂きにして、また別のステージへと挑むことの繰り返しだ。なんてシンプルなゲームだろうか。根幹部分は2009年の『Killing Floor』からほとんど変わっていない。

 ボスのほどよい強さや、撃ち合いやゴアの気持ち良さはしっかりと作り込まれているが、細かいところはテキトーである。

 まず、音楽は安定のヘビーメタルなのだが、とても大味なサウンドで、取り立てて言うことはない。ゲームプレイに対してダイナミックに変化するということもなかった。

 他には、各プレイヤーはヘッドショットなどを決めるとZedゲージというものを獲得できて、ある程度溜まると画面にスロウがかかって敵を狙いやすくなるのだが、これが自動的に発動するので、目の前に敵がいないときに起きて、暇な時間が流れることがよくある。しかもマルチプレイ中はこれが6人分起きる。酷いとまでは言わないが、ちょっと苦笑いしてしまう瞬間だ。

 バグもそこそこ見かける。筆者はボスが突然天井に張り付いて動かなくなるバグと遭遇した。クラッシュやフリーズはほとんどないが、ゲームの作り自体はちょっと怪しい点もあった。

 とはいえ、このテキトーさも味というか、ザックリしたゲームプレイも相まって、なんだかんだ言ってダラダラと友人と遊び続けてしまう魅力があった。特に傑出した仕組みもなく、その割に4850円とそこそこ強気な値段設定ではあるが、どうでもいいことを喋りながらZedたちを蜂の巣にする体験はかなり好きだった。これからも折に触れて遊びたいタイトルである。

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