地球全体がキャンパスに 大流行中のサイト「W place」で見る“ごった煮”カルチャーの面白さ

大流行中のサイト「W place」の面白さ

 「W place」というサイトが世界的に流行している。簡単に説明すると、誰でも自由に世界地図の上にドット絵を描けるというサイトだ。いろんな街や国によって描かれている絵もさまざまで、見ているだけでも面白いのだが、誰でもいつでも描くことができるというハードルの低さから、世界中で盛り上がっている。

W place

 今回は、そんな「W place」について紹介していきたい。

 「W place」ではドット絵を描くことができ、その範囲は地球上のマップ全体となっている。大陸だけでなく、海の上にも自由に描けるのが特徴だ。

 無料で一度に描けるドットの数は62個までで、下部の「ペイント」をクリックすると色を選択できる。

 ドットを使い切っても、30秒待てばひとつ回復する。さらに課金をすれば、使える色が増えたり、同時に描けるドット数の上限を拡張することができる。

 ここでいくつか「W place」のドット絵を紹介していこう。

 たとえば弊社がある渋谷は、忠犬ハチ公像を中心にパンパンにドット絵がひしめき合っている。渋谷事変で渋谷を舞台にした漫画『呪術廻戦』の五条悟や、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』でシンジュク中央病院を拠点とする神宮寺寂雷など、あらゆる作品のキャラクターが集っている。「W place」では自分が知っているコンテンツはもちろん、「これ何?」といったものまで一緒くたになっているため、知らないキャラや作品との出会いもある。誰でも描き込める“闇鍋”状態が、いままでにないカルチャーとの出会い方を創出する。

 ちなみに国内の都心部はほぼドット絵が埋まっており、そういったエリアで新たに描き込むには、すでに描かれているドット絵の上から描く必要がある。大作を描こうとしているユーザーは線で場所取りをしている様子も見られるのだが、何度でもリアルタイムで上から描き込めるため、場所の取り合いや攻防も起こっているようだ。

 ここまで「W place」が流行した背景には、SNS映えがあるのではないかと考える。筆者もそうなのだが、「W place」を知ったきっかけはXで流れてきた「W place」の切り抜き画像だ。ドット絵ながらもすでに職人レベルのドット絵を描いているユーザーがおり、ドット絵を見ているだけでも面白い。

 また、それぞれの場所に紐づいているドット絵が多いというのも、見応えのあるポイントだろう。たとえば筆者が生まれ育った北海道札幌市付近では、ゲーム実況者のキヨや、プロサッカークラブの『北海道コンサドーレ札幌』、人気ラーメン店『らーめん信玄』などが描かれている。少し場所をずらすと、北海道小樽市出身のサカナクション・山口一郎が描かれていたりなど、ジャンルごちゃ混ぜでありならもしっかりと札幌に紐づいたものが描かれていて、「懐かしい〜」と感じたり「そうなんだ」と知らなかった情報も知ることができる。

 自分の生まれ故郷や、いま住んでいる街のドット絵を見るのも面白いし、まったく関係ない土地でも楽しむことができる。

 たとえば2023年にネットミーム化し話題になった古代魚・サカバンバスピス。「W place」では、化石が最初に発見されたボリビアにサカバンバスピスのドット絵が描かれている。「W place」はネット文化に精通しているユーザーが多いのか、ネットミームの元ネタをこんなかたちで知ることもできるのだ。

 見れば見るほど発見がある「W place」。自分のゆかりの地には何が描かれているのか、覗いてみると面白いかもしれない。

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