感情を記憶する“対話型AIロボット”『ポケとも』が誕生 人生の思い出をロボットと共有する時代に

言語化しづらい“感情”を最新技術で理解
続いて、機能面を見ていこう。筆者が驚いたのは、“感情を蓄積する”という機能だ。たとえばオーナーが「仕事終わりのビールは最高!」や「〇〇の配信が楽しみ」といった気持ちを口にすると、『ポケとも』はそれをポジティブな感情として記憶する。そしてあとから、「いつもビールを楽しんでるよね」や「そろそろ〇〇の配信が始まるね」といったかたちで会話に反映してくれるのだ。
一緒に過ごす時間が長くなればなるほど、『ポケとも』のなかでオーナーの感情は蓄積されていく。子どものころから一緒に過ごしていたのであれば、大人になって「子どものころは〇〇だったよね」なんて会話も生まれるかもしれない。まさに人生のパートナーだ。
さらに驚いたのが、一緒に見た景色や場所も共有できる、ということだ。『ポケとも』の口のなかにはカメラが内蔵されており、「見てみて、この景色」などと声をかけると、カメラを起動して同じ景色を見てくれる。実際、発表会の場でも「たくさんの人がいるね。カメラもこっちを向いてて、緊張するね」と反応していた。
『ポケとも』にはGPSも搭載されており、一緒に行った場所も覚えててくれる。そのため、出先で「行きたいって言ってたところだね」という反応もしてくれる。過去を踏まえて会話を展開するところは、本当にリアルな友達のようだ。
『ポケとも』は感情を記憶するだけではなく、こちらが言ったことを理解して共感し、会話をしてくれる。これは「Empathy Intelligence(共感知性)」という技術になり、返答する際、オーナーのプロフィールや、天気、ニュースなどといった外部情報、過去の情報などいろんなものを踏まえて答えてくれるのだ。
景井氏は『RoBoHoN(ロボホン)』については「人間側が話す内容があまりなかった。何を話していいかわからないという点が課題だった」と明かした。だが今回の『ポケとも』は独自の「Empathy Intelligence(共感知性)」を搭載しているので、より人間側も話しやすくなり、会話のラリーもしやすくなるのではないだろうか。
『ポケとも』同士が出会うと、お互いが会話をする機能も搭載されており、自己紹介をしたり、一緒に歌ったり踊ったりする。ここで心配なのは、自分のプライベートを暴露されてしまうのではというところだが、そこは安心してほしい。『ポケとも』には顔認証機能があり、オーナー以外の人間にはプライベートなことは明かさないという設定になっている。ただ、連動しているアプリでどこまで情報を開示するかは設定できるので、自身の塩梅で『ポケとも』同士の会話も楽しむことができる。
また、顔認証機能によって、“見守り機能”的なことはできないようになっている。たとえば、お留守番中の子どもや、ひとり暮らしのおじいちゃんおばあちゃんの様子を、不在中に監視して教えてくれる、ということは顔認証機能によってできないようになっている。あくまで純粋な“お友達”という存在なのだ。
『ポケとも』はアプリ(495円/月)でも体験することができる。ロボットとアプリは記憶を共有しているので、いつどこでも一緒にいられる、という安心感がある。
また、アプリでは「ポケ日記」を確認することができ、オーナーとの1日の思い出が記録されている。上記で見守り機能はないと紹介したが、この「ポケ日記」を共有すれば大まかにその日何をしていたのかは把握できる。だが、日記は会話からオーナーの感情の揺れ動きに重点を置いて作成されているため、詳しい行動記録というわけではない。友達の『ポケとも』から見た、オーナーの思い出が日記となっているのだ。
私たちのことを理解し、ともに成長してくれる存在である『ポケとも』。感情はなかなか言葉にできない繊細なものだが、シャープの最新技術によってより深いところまで寄り添ってくれるAIキャラクターが実現した。
実際に触れてみて、見た目や機能面からも、より“愛されるキャラクター”へのこだわりを感じられた。オーナーから愛されることによって、会話が増え、よりこちらのことを理解し、さらに愛すべき存在となる。そういったサイクルの実現が、『RoBoHoN(ロボホン)』に比べて大きく変わったところだろう。
ロボットという領域を超え、人生を支えてくれるパートナーとして、今後は活躍してくれるかもしれない。































