【特集】スキルアップに欠かせない「ビジネスハック」の基本ツール
1日の業務の約30%を占める「書類仕事」を効率化するには? ドワンゴ・古嶋遼氏が語る『Adobe Acrobat』を使った“働き方改革”

動画コミュニティサービス「ニコニコ」の運営などを行うドワンゴで、ボカロPをはじめとするクリエイターサポート事業に携わる古嶋氏。『ニコニコ超会議』や『The VOCALOID Collection(ボカコレ)』をはじめとするイベントに関連したメディアタイアップ・リレーションから、クリエイターとの渉外・契約まで、業務は多岐にわたる。
そんな中で直面していたのが「書類業務の非効率性」であり、その解決策として注目したのが、『Adobe Acrobat』だ。
アドビが提供する『Adobe Acrobat』が、実は単なる「PDF閲覧ソフト」ではないことは、意外と知られていない。直接編集、クラウド管理、AIアシスタントによる要約まで、ビジネスの生産性を劇的に向上させる機能を備えた、PDFオールインワンツールなのだ。
本記事では、特に個人クリエイターから官公庁まで幅広いステークホルダーと関わる古嶋氏と、セキュリティや効率性も備える『Acrobat Pro』や『Acrobat AIアシスタント』の活用について話を聞いた。(編集部)
多様なステークホルダーとの書類やり取りに潜む課題

──まず、古嶋さんの現在の業務について教えてください。
古嶋遼(以下、古嶋):株式会社ドワンゴの事業開発本部・クリエイターサポート事業部という部署に所属しています。「ニコニコ動画」に投稿される作品、主にボカロ楽曲の著作権信託や、楽曲のプロデュース、PRなどを担当しています。特に私はメディアのセクションで、クリエイターさんの作品を外部メディアに向けてプロモーションしたり、媒体さんとの窓口となる業務を行い、楽曲作品を多くの方に聴いてもらえるようお手伝いをしています。
──仕事の中で書類のやり取りなども当然発生しますよね。割合や困りごとは?
古嶋:もちろん企画書、プレスリリース、そして契約書などたくさんの書類を扱います。その中でも、対企業の書類と個人クリエイターさん向けの書類とで分かれます。特に個人のクリエイターの方々の場合、マネージャーさんなど窓口となる方がいる場合もあれば、ご自身のみでマネジメント含めて活動されているクリエイターさんがいます。受け取る方のPC環境やツールに関する知識もさまざまで、そのご説明やフォローも含めると、体感として業務の20〜30%くらいは書類仕事に時間を割いているような気がします。でも、本来はもっと企画を考えたり、クリエイターさんと向き合う時間に使いたいという悩みがありますね。
──社内で扱う書類の電子と紙の比率はどれくらいですか?
古嶋:以前から電子化の動きはありましたが、コロナ禍で一気に加速しました。今ではその大半がデータでのやり取りかと思います。クリエイターさんも全国各地にいらっしゃるので、紙だと発送業務や到着までの時間がかかってしまいますからね。基本的にはデータ推奨で、会社としても概ねデータでやり取りを進めています。
ただ、電子ならすべて問題がないかというとそんなこともなくて、まだ課題は残っているように思います。たとえば、気軽にやり取りができる分、修正のラリーが多くなってしまったり、社内の承認フローが部署ごとで少しずつ異なっていたり……。
特に怖いのが、いわゆる“先祖返り”です。ファイル名にバージョンを付けて管理しても、誰が最新版を持っているか分からなくなる。古いファイルに最新の修正をくわえてしまい、枝分かれしてしまうと大変なので、かなり気を遣っています。WindowsとMacでファイル名が文字化けすることもありますし、これらは長年の課題ですね。
PDFを“直接編集”できることの衝撃
──今回、『Acrobat Pro』を使ってみていかがでしたか?
古嶋:まず、PDFを直接編集できることに改めて驚きました。PDFって、基本は編集できないものだと思い込んでいたので。それから、修正依頼などのコメントが入力された日時や、それが誰によるものなのかなどを、すべて明確に残せるのも大きいです。UIも直感的で、すぐに使えるようになっていますね。
──PDFの統合や編集も『Acrobat』内で完結するんですよね。
古嶋:そうなんですよね。2つのPDFを1つにまとめたり、特定のページだけ抜き出したりしたい、というシーンは結構あります。今までは元のドキュメントを再編集して作り直したり、そのために担当者に編集可能な元ファイルを送ってもらったりしていましたが、全部『Acrobat』でできるんですよね。しかも、不要ページの一部を消して、違う人向けに送るといったことも簡単にできます。機密書類を安全性が担保されていない外部ツールやオンラインのツールにアップロードするのは社内規定で禁止されていますし、その点でも安心ですね。


──クラウド管理機能はどうでしょう? ファイルストレージに格納されたファイルなども、一覧で管理できます。
古嶋:めちゃくちゃいいです。イベント前になると、いろんなドキュメントがPC上に散乱するんですよね。ダウンロードフォルダにあるのか、デスクトップにあるのかがすぐに分からず「あの資料はどこにあったっけ……」と探すことも。それがクラウド上で管理できて、レイアウトも崩れることなくアクセスできる。時系列で管理したいときも、誰がいつ修正したドキュメントか一目でわかるようになっています。
また弊社は「Google ドライブ」を使っているので、互換性があるのも非常に助かります。社外と共有するドライブ上でも『Acrobat』のツールがシームレスに使えるのが大きいですね。同時アクセスも可能なので、私が移動中でも、他のメンバーがオフィスで作業していても、みんなで同時に編集できる。
ファイルの比較や機密情報の管理に役立つ「墨消し機能」も
──バージョン管理にも関連してきますが、「ファイルを比較」などはいかがですか?
古嶋:これもすごく便利ですね。クリエイターさんのインタビュー記事を媒体さんと協力して作らせてもらうことがあるのですが、社内やクリエイターさん、媒体さん側での確認、修正作業がそれぞれ発生します。修正のご依頼をするとき、基本的には赤字やハイライトで修正加筆した場所が分かるように案内をしているのですが、クリエイターさんによってはツールに慣れていなくて文章を直接書き換えてしまう方もいて、どこがどう変わったか分からなくなることがあるんです。「ファイルを比較」の機能を使えば、PDF化して『Acrobat』に読んでもらうだけで変更箇所が一目瞭然です。契約書の変更点の確認などでも大いに活躍してくれます。
──「墨消し」機能についてはいかがですか?
古嶋:私の業務内容的に、これが一番刺さる機能ですね! 個人情報を消す必要があったり、プレスリリースのドラフトを関係者の方々に確認してもらう際、特定の相手にしかまだ伝えられない情報を消したり。今まではスクリーンショットで一部を抜き出して送っていたりということもあったのですが、レイアウトや情報の掲載順、位置などが分かりづらくなることもあって。パワポで図形を上から被せるなどの方法もありますが、それだと“隠したはずの情報が簡単に見れてしまう”というデメリットがあります。


──そうなんです。実は、個人情報が漏れる事案のなかにはそれが原因のこともあるようです。
古嶋:この「墨消し」機能なら完全に情報が消去されると聞いて、これは使うべきだなと。プレスリリースは解禁前の情報がほとんどなので、送る相手に関係のない部分を消して、全体像を添えてお伝えできるのは本当に便利ですね。
──他にも、スマートフォンアプリの『Adobe Scan』を使って、OCR(光学文字認識)も利用できます。
古嶋:スキャンした手書き書類のテキスト検索なんかもできるということですね。紙で企画書をいただくこともまだありますし、データがなかなか来ないときもあるので、これは便利ですね。雑誌の色校でテキストを直したいときも、PDFに直接赤入れできるので使いやすそうです。
アドビが実現した、安心感のある生成AI機能

──生成AI機能『Acrobat AIアシスタント』も「Acrobat」の目玉機能の一つですね。
古嶋:これは本当によく活用しています。たとえば文化庁が主導する国内のエンタメ産業の輸出にまつわるプロジェクトなどがあり、弊社も参画しているのですが、経済産業省が国内外のエンタメ動向や受容のされ方をまとめた資料がありまして。中にはボカロPやファンにまつわる動向などがこと細かく、大ボリュームで書かれているものもあり、当然業務として目を通していくのですが、いかんせん70ページとかあったりするので、必要な部分を探すだけで一苦労で……。
こういった資料の中から、AIアシスタントの「生成要約」などを使って、自分たちが欲しい情報を効率よく拾ってくることができるようになったので、とても助かっています。

あと、アドビのソフトはセキュリティ面でも非常に安心感があります。他社が提供しているAIツールだと、なにかとセキュリティや学習に関する不安が拭えないのですが、アドビは「責任あるAI」として文書やデータを保護していると明言している。機密情報を扱う我々にとって、この信頼感は大きいです。
やるべき仕事に集中するためのツール
──『Acrobat Pro』や『Acrobat AIアシスタント』を使うことで、働き方はどう変わると思いますか?
古嶋:全体の仕事がスムーズになることは大前提として、セキュリティが非常に強固に設計されている点はとても大きな信頼につながっています。この信頼感があることで、安心して業務に取り組むことができますし、資料を共有する際のリスクを回避できますから、結果スムーズな進行につながっています。
またリモートワークの普及によってミーティングの数が増えたことで、企画などを考える時間が確保しづらくなっています。事務的な作業の時間を『Acrobat Pro』や『Acrobat AIアシスタント』で圧縮できれば、よりクリエイティブな業務に時間を割ける。企画を考えたり、クリエイターさんとミーティングしたり、ブレストしたり。先祖返りや二度手間という無駄を削ぎ落として、本来やりたいことにより時間をかけて集中できるようになると思います。
──古嶋さん以外でも、ドワンゴ社内に『Acrobat』を活用できる人は多いのではないでしょうか。誰に、どんな機能を勧めたいですか?
古嶋:我々の部署はもちろんですが、ニュースコンテンツや報道コンテンツを扱っている部署にもおすすめしたいですね。その部署では、政治討論など選挙関連のコンテンツも扱っていて、より機密性の高いドキュメントをやり取りしています。墨消し機能やセキュアな環境での共有は、彼らにこそ刺さるんじゃないでしょうか。
あとは、この記事をきっかけに、社内導入検討につながったらうれしいですね。同じアウトプットを作るにも、過程の効率が全然違ってくる。時間の効率化、働き方改革の観点でも本当にいいツールだと思いました。
■『Adobe Acrobat』について
https://www.adobe.com/jp/acrobat.html
■『Acrobat AIアシスタント』について
https://www.adobe.com/jp/acrobat/generative-ai-pdf.html


























