【特集】スキルアップに欠かせない「ビジネスハック」の基本ツール
『Adobe Express』を大丸松坂屋百貨店のDX推進部が活用してみたら 悩みのタネ「SNS用の画像制作」を1時間→3分に時短成功

老舗百貨店として知られる大丸松坂屋百貨店が、メタバースやVTuberといった事業に取り組んでいることをご存知だろうか。同社のデジタル戦略推進を担うDX推進部では、クリエイターとの価値共創をビジョンに掲げ、従来の百貨店ビジネスの枠を超えた新たな挑戦を続けている。
しかし、少人数で進める新規プロジェクトには特有の課題もある。SNS投稿用の画像制作やイベント告知など、日々発生するクリエイティブ制作を限られた人員で対応しなければならないのだ。デザイン専門職ではない担当者が、いかに効率的に質の高いクリエイティブを生み出すか。大丸松坂屋百貨店のような企業に限らず、今あらゆる現場に起きている悩みごとだろう。
今回は、大丸松坂屋百貨店のDX推進部でVTuberプロジェクトを担当する春田真里奈氏と、メタバースプロジェクトを担当する内山理子氏に、日々のデザイン業務における課題を聞きながら、そんな悩みを解決するクリエイティブツール『Adobe Express』を体験してもらった。(編集部)
百貨店がメタバースやVTuberに取り組む理由

——まず、お二人の現在の業務について教えてください。
春田:私は、大丸松坂屋百貨店のDX推進部デジタル事業開発担当として、VTuberプロジェクト「EchoVerse」を担当しています。2024年11月からオーディションを開始し、デビューに向けて準備を進めています。楽曲やゲーム配信などを通じて、たくさんの方に愛されるVTuberを育てながら、大丸松坂屋百貨店として新しいコンテンツビジネスに挑戦しているところです。
内山:同じくデジタル事業開発担当として、メタバース事業を担当しています。2023年10月から始まった事業で、メタバースプラットフォーム『VRChat』向けのアバターや衣装の制作・販売を行うB to C事業と、自治体と連携した地方創生などのB to BおよびB to G事業の2軸で展開しています。月2回のペースでメタバース内のユーザーと交流するイベントも開催しています。
——老舗百貨店がこうした先進的な取り組みをされているのは意外でした。きっかけは何だったのでしょうか?
春田:2020年5月の緊急事態宣言で店舗が休業となったことで、お客様との接点がなくなり、従来の運営方式の限界を痛感しました。営業時間や店舗という物理的制約を克服すべく、お客様とのタッチポイントのオンライン化やデジタルビジネスへの取り組みも本格化させたんです。

内山:実は百貨店でやってきたことが土台になっている部分もあります。百貨店は昔からファッションデザイナーや美術作家といったクリエイターと価値を共創し、世の中に届けてきました。そのフィールドがメタバースなどのデジタル空間にも移っただけで、クリエイターと一緒に新しい価値を作るという本質は変わらないんです。
SNS運用で直面する「画像制作」の壁
——プロジェクトを進める中で、どのような課題に直面していますか?
内山:一番はやっぱりSNSに投稿する画像作成ですね。イベント告知をする際、文字情報だけでは注目を集められないので、必ず画像を添えるようにしています。でも毎週のようにイベントを開催していると、その都度画像を作る時間が必要で。特に最初の頃は1枚作るのに1時間かかっていたので、大変でしたね……。
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メタバース事業では日々キャンペーンなどを展開しており、告知用の画像が必要になる。
春田:私も同じ悩みを抱えています。VTuberがまだデビュー前なので使用できるイラスト素材がない状態で、文字情報だけでどう画像を作ればいいのか、パソコンの前で悩むことが多いです。
——デザイナーに外注するのは難しい?
内山:予算面もそうですが、スピード感的にどうしても難しいなと思ったんです。次の日の投稿内容を前日に作るようなスピード感のあるプロジェクトなので、発注してチェックして、修正依頼をして……というやり取りをしている時間がありません。
——現在はどのようなツールを使っているのでしょうか?
内山:『Adobe Illustrator』を使っています。ただ、専門的なソフトウェアはできることが多いですが、その分複雑になっているので分かるところだけ触ろうという感じで。正直全然使いこなせていないんです。初めて触ったときなんて、メニューバー、コントロールパネル、ツールバーなどがいっぱいあるのを見て、それだけで混乱してしまって(笑)。
『Adobe Express』の時短に役立つ便利機能
——そんなお二人にご紹介したいのが『Adobe Express』です。ブラウザやスマートフォンで使えるクリエイティブ制作ツールです。直感的な操作で、プロ品質のデザインが作れます。最大の特徴は、有料版で35万点以上、無料版でも22万点以上のテンプレートが用意されていることです。例えば「キャンペーン」「夏」といったキーワードで検索すれば、季節感のあるデザインテンプレートが表示されます。あとは文字を変更し、必要に応じて画像を差し替えるだけでポスターが完成します。
- 「キャンペーン」と検索した際に出てくるテンプレート
- さらに検索ワードに「夏」を追加すると最適なテンプレートがたくさん表示される
春田:先ほどもお話しした通り、いつもレイアウトを考えるのが大変だったんです。でもこうやってテンプレートで出してもらえて、すごく便利ですね。
——また非デザイン専門職の方がデザインをする際の悩みとして「フォント選び」はおなじみですよね。『Adobe Express』ではテンプレートにマッチするフォントを自動でおすすめしてくれます。さらに「類似フォントを表示」機能もあるので、イメージに近いフォントを簡単に見つけられます。
内山:そうなんですよ! フォントってめっちゃ悩むんです。おすすめが出るのはありがたいですね。
——素材についても、「Adobe Stock」の3億点以上の画像、イラスト、アイコンなどが使えます。商用利用も可能なので、権利関係を心配する必要もありません。
春田:いろんな素材サイトから集めてこなきゃいけなかったのが、作るのも素材を探すのも一箇所でできるっていうのがすごいですね。
——ツールに詳しくない人にとって特に便利なのが「背景削除」機能です。写真や動画に映った被写体から背景を取り除く作業が、ワンクリックで完了します。
内山:切り抜きをAdobe Photoshopでやろうとすると、初めての人はYouTubeでチュートリアルを検索して……という感じですが、これなら一瞬でできてしまうんですね。
春田:私は背景削除が本当に大変で、うまくいかなくて。商品画像が一瞬でできるなんてとてもありがたいです。
——『Adobe Express』には生成AI「Adobe Firefly」も搭載されています。テキストから画像を生成できるだけでなく、手描きのラフスケッチを参照画像として、構図を維持したまま高品質な画像を生成することも可能です。
内山:これはすごく便利そうですよね。私が担当しているメタバースプロジェクトでは、ワールド(3D空間)をクリエイターさんに発注して作ってもらうこともあるんです。でも、3D空間のイメージをイラストで伝えるとき、画力が足りなくて思ったように伝えきれないことがよくあります。この機能があれば、サクッと描いたラフや写真の構図だけを参考にして、より具体的に発注内容を伝えられそうですね。
——さらに多言語翻訳機能もあります。作成した画像内のテキストを、英語、韓国語、中国語など、複数の言語に一括翻訳できるんです。
春田:これまでは別の翻訳サイトに文字をコピペして、それをまたコピペしてってやっていたものが、一気にこの画面の中でできると楽ですね。
——それから、企業のSNS運用といえばブランドイメージも重要ですよね。老舗ともなればなおさらです。『Adobe Express』なら「ブランド」機能で、自社で制作したロゴをアップロードしておいたり、コーポレートカラーにあわせたカラーパレット、統一して使用しているフォントなどを保存したり、さらに作っているテンプレートを保存し、チーム内で共有できるんです。
春田:担当者が増えたときに、それぞれ全然違うテイストの画像を作ってしまうと統一感がなくなりますもんね。プロのデザイナーの方々のような意思統一はどうしても難しいと思うので、これもすごく良いなと思います。あと、スマホでも管理、操作ができるのいいですね。移動時間にも作業できそう。
非デザイナーのための時短クリエイティブツール
——今回、実際にAdobe Expressを触ってみていかがでしたか? 先ほど実際に目の前で作っていただいた際は、1時間かかると話していたチラシ制作が3分ほどで完成していましたね。
内山:やっぱり直感的に使い方がわかるというのが大きかったです。見本というか使用例みたいなのを、画像でたくさん出してくれているので、これがいいかもこれがいいかもって、すぐいろいろ試せるのがわかりやすいです。
実は今回の話をいただいてからすでに使い始めておりまして、さっそくイベントで使ったスライドをこれで作ったりもしました。
春田:繰り返しになってしまいますが、とにかく時短できるのがすごくいいですよね。今まではレイアウトを考えるところから始まり、素材集め、フォント選びと、すべてに時間をかけていました。それが一瞬で適切なレイアウトを提案してもらえる。会議の資料とかも、『Adobe Express』で作ったらめちゃくちゃ良さそうですね!
——表やグラフなども作れますし、本当に多種多様なテンプレートがありますからね。今日ご紹介した機能の中で、特に気になったものはありますか?
内山:生成AI機能ですね。クリエイターさんに発注内容を伝える際に、クオリティの高い資料を作れたらいいなあとちょうど思っていたんです。早速使ってみたいと思います!
春田:機能というか、おすすめを提示してくれるのが本当にありがたいです。デザインの専門知識がない状態だと、自分の作りたいイメージって、どうしても曖昧な状態からスタートしてしまいます。でも、「この方向だとこういうイメージになりますよ」っていうのをわかりやすく提示してくれていて、非デザイナーである自分たちにとってとても便利なガイドになると思いました。
大丸松坂屋百貨店のDX部門が直面していた画像制作の課題は、多くの企業に共通する悩みだろう。『Adobe Express』は、デザインの専門知識がなくても、誰もが簡単にプロフェッショナルなコンテンツを制作できるツールとして、その解決策を提示している。大丸松坂屋百貨店の新たな挑戦を、『Adobe Express』がどのように支えていくのか。今後も注目したい。
■『Adobe Express』について
『Adobe Express』は誰でもかんたんにSNSコンテンツ、チラシ、動画などを作成できる、無料から使えるコンテンツ制作アプリです。最新バージョンの『Adobe Express』には生成AIである「Adobe Firefly」の機能が搭載されており、商業利用として安心なコンテンツを生成するよう設計されています。






























