進化した“シャドバ”は、大迫力の演出と戦略性が混じったお手軽カードゲームだ 『シャドバWB』プレイレポ

『シャドバWB』プレイレポ

 6月17日より配信中の『Shadowverse: Worlds Beyond(シャドバWB)』をプレイした。

 本作はCygamesが2016年から配信してきた『Shadowverse(シャドバ)』の後継作である。派手な演出や、シンプルなルール、魅力的なイラストはそのままに、駆け引きがさらに奥深くなって万人に勧めやすいカードゲームに進化していた。

 本作は基本プレイ無料の運営型DCG(デジタルカードゲーム)だ。常にすべてのコンテンツを無料で遊ぶことができるが、カードパックを配布されたゲーム内通貨以上に引いたり、特定のスキンやスリーブを使用したい場合は都度課金が必要になってくる。

 筆者は200円で提供されている「ウェルカムパックボックス」だけは課金してプレイしているが、それ以外の課金については行っていないため、その状態でのプレイレポートであることを断っておきたい。

 基本的なゲームループはほぼすべてのデジタルカードゲームと同じであり、ガチャを引いてカードを集め、デッキを構築し、他プレイヤーとオンラインマッチをして、手に入れたゲーム内通貨でまたガチャを引いて……という形だ。

 肝心のカードバトルは、前作同様シンプルだが面白かった。

 両プレイヤーは毎ターン1ずつ増えていく「PP」という値の範囲内でカードを出し合い、フォロワー(場に出すカード)同士を戦わせていき、先にプレイヤーのライフを削り切ったほうが勝ちだ。しかし、細かい点がアップデートされている。

 『シャドバ』にあった“進化”という要素に加え、今作から“超進化”が追加された。進化と超進化はそれぞれ2回ずつ自分のフォロワーに使用することができ、攻撃力と体力を増強し、進化時効果を発動する。

 本作は基本的に『ハースストーン』のゲーム性を真似ているが、前作の段階から進化に関しては独自の設計として注目されており、それらの駆け引きがより奥深くなった形だ。特にゲーム終盤は超火力の切り札を撃ち合うド派手な展開になり、見た目に関しては爽快である。

 その反面、前半こそ1点を取り合って細かく盤面をコントロールしていくゲームだったのが、後半になって急に、相手の強いカードを消去して自分も同じくらい強いカードを出すしかなく、先に息切れしたほうの負け……という大味な展開になってしまっているのが惜しいと感じた。とはいえ、ここはカードプールが少ないゆえに起きている問題でもあるだろう。アップデートで環境が変わってきたら直っていくかもしれない。

 変更点は他にもある。後攻のプレイヤーだけ「エクストラPP」というものを使用できる。使用したターン限定でPPを1得られるのだ。こちらは1から5ターン目と6ターン目以降に計2回使用できる。いわゆるカードゲームにおける「先攻有利問題」にメスを入れている形だ。その代わり、前作では後攻のほうがドローが1枚多かったが、本作はお互い手札4枚及び1ドローから始まる。

 1マッチは10分ほどで終わるが、毎回同じ展開になるとも限らず、かといって著しくランダム性が高いわけでもないので、徐々にプレイスキルが上がっていく実感が得られる。特に進化・超進化を行うタイミングは常に読み合いが発生するので面白い。

 前作から引き続き、美麗なアートと派手な演出も健在だ。特にカードイラストはどれもこれも素晴らしく、コレクション欲を掻き立てる。

 また、ソロコンテンツとして、AI戦やストーリーモードが存在する。AI戦といっても中級~上級はなかなか強く作られており、戦術やデッキビルドの参考になるため、はじめたてのプレイヤーは戦ってみてもいいだろう。

 ストーリーは完全に独立した読み物になっており、Cygamesが得意とするライトノベル風のお話が楽しめる。

 その他には「パーク」という自分のアバターを作って他のプレイヤーと交流するラウンジ機能が追加されたが、こちらは『ストリートファイター6』や『鉄拳8』などにもあるようなもので、そこまで目新しいフィーチャーではない。スマートフォンに最適化されているからか、Steam版でも画質はさして高くないので、今のところ常駐しようという気は起きなかった。

 唯一、パークから飛べる「スペース」というマイルームのような場所がある。こちらは宙に浮いている10畳ほどの個室で、ほどよくSFチックな雰囲気が素敵で、ちょっとしたハウジング機能も付いているため、マッチング待ちのあいだにここにいるのは良いかもしれないと思った。

 現時点では環境が固まっており、強いデッキと弱いデッキが明確に分けられているため、ファンデッキを作りたいというプレイヤーは相応の覚悟が必要だろう。しかしながら、こちらもカード追加やバランス調整によってどうとでも変わるポイントだろう。

 新生した『シャドウバース』を十数時間ほど遊んでみた感想にすぎないが、単なるマイナーチェンジではなく、新規もファンも満足できる対戦ツールに仕上がっていた。スマートフォンかPCにインストールしておき、折に触れて末永く遊んでいきたいコンテンツである。

『シャドバWB』が同接10万超の躍進 ユーザー維持に向けて求められる、運営の“バランス感覚”

Cygamesは6月17日、『Shadowverse: Worlds Beyond』をリリースした。競争が激化するデジタルTCG…

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