賛否両論の『Nintendo Switch 2のひみつ展』をレビュー このソフトは本当に“有料説明書”なのか?

『Nintendo Switch 2のひみつ展』レビュー

 ついに発売されたNintendo Switch 2。ローンチソフトのなかに『Nintendo Switch 2のひみつ展』というソフトがある。

 こちらはスイッチ2の機能やメカニクスをミニゲームや展示を通して学ぶことができるというソフトだ。技術者や設計者の意図が汲み取れる面白い企画である。

 しかしながら、世間の評価は振るわず、執筆時点でメタスコアは52点を記録している(2025年6月12日時点)。

https://www.metacritic.com/game/nintendo-switch-2-welcome-tour/

 海外のゲームメディアは「有料説明書」「楽しい体験ではない」などと評しているところもあり、厳しい反応を示しているところも多い。

 実際に本作は「有料説明書」なのか? メタスコア52点は正しいのか? 筆者なりに触ってみた感想を述べてみたい。

本作はあくまで“ひみつ展”

 ゲームを起動すると、展示会が開くのを待っている人々が表示される。このなかからひとりを選ぶと「ひみつ展」へと誘導される。

 このひみつ展は、Switch 2の本体を巨大にした形をしており、プレイヤーはSwitch 2の上を移動しながら、各地に用意された展示やミニゲーム、デモなどに触れて、Switch 2の性能や機能について詳しく知っていくことになる。

 筆者が最も感動したのは展示だ。Switch 2のメカニズムを存分に知ることができた。

 たとえば、HD振動2ひとつ取っても、モーターの動かし方からじっくりと解説してくれて、納得感のある説明が聴ける。途中で挟まるショートムービーも(飛ばせないのは気になるが)わかりやすさに一役買っている。

 同時に、技術者やテックマニアにしかわからない用語は極力避けており、小中学生でも理解できるようなワードに言い換えている点も素晴らしい。

 どの展示も最後にクイズが出題されるため、投げっぱなしになっていないところもグッドだ。ちゃんと読んでいないと解けない問題もあるため、しっかりと読み込む必要がある。筆者としては、この体験は『アサシンクリード オデッセイ』のディスカバリーモードに近いなと感じた。

 そこまで熱心なテックファンではない筆者だが、導入がしっかりしているため、その都度発生した知的欲求をしっかり満たしてくれるのである。

 白い箱に入っていって体験するデモも面白いものばかりだった。バーチャル博物館的な体験が好きな人は、なかなかに楽しめることだろう。

 しかしながら、プレイしていると徐々に評価が難しいポイントも出てくる。

 最も気になった点は、収録されているミニゲームがほとんどすべて面白くないという点だ。

 降ってくるトゲをマウス操作で避ける「トゲトゲよけ サバイバル」や、HD振動2がもっとも強くなる場所を探す「強振動探し 直線上の最強点」など、Switch 2の性能を見せるだけのワンアイデアなゲームが目立つ。

 強いて言えば、転がってくる玉の描画枚数を見てフレームレートを当てる「フレームレートクイズ 120fps見極め」は何かの役に立ちそうな気もしたが、何度も遊んで上達したくなるようなものではなかった。

 この点について、PlayStation5のプリインストールタイトルである『ASTRO's PLAYROOM』と比較して論じている人も多く、筆者もそれが頭によぎった。

『ASTRO's PLAYROOM』ゲームプレイトレーラー

 展示会のついでにミニゲームがあると考えれば、この程度の出来でも悪くはないが、ハードの性能を見せつけるためのローンチソフトとして直近に成功例があるなかでは、だいぶチープに見えてしまっているのは否めない。

 同様の理由で、990円という値段設定も気になってしまう。限られたマニアやなんとなく興味を持った人のための展示会ということであれば、この程度のチケット代は安く思えるし、展示の内容だけ考えればそこまで割高には思えないが、ミニゲーム集を期待して買うと損をした気分にもなるだろう。

 とはいえ、筆者としては、一番の問題は本作の英題にあると考えている。『Nintendo Switch 2 Welcome Tour』という名前は、展示会というニュアンスを完全に消しており、まるでこれから入ってくださいと言わんばかりだ。それなら「有料説明書」と言われてしまっても仕方ないように思えた。

 他にも、すべてのスタンプを集めないと次のエリアに行けない点など、細かい仕様も気になった。

 遊んでみると、バーチャル博物館としての体験はかなり良く、Switch 2の素晴らしさを知る良い機会にはなったかと思う。しかし、余計なミニゲームや、値段設定が足を引っ張っているように感じた。メタスコア52点は少々低すぎるようにも思えるが、筆者としてもSwitch 2で面白いゲームが遊びたいだけの人にまでオススメするつもりはない。

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