なぜダウ90000・蓮見翔は目が離せない存在なのか 『蓮見水族館』YouTubeから考える
8人組コントユニット・ダウ90000の主宰であり、2023年には世界を変える30歳未満30人の日本人を表彰する『Forbes JAPAN 30 UNDER 30』に選出され、2024年はテレビ番組出演増加数でブレイクタレント10位に入るなど、個人での活躍もめざましい蓮見翔。
そんな彼の個人YouTubeチャンネル『蓮見水族館official YouTube channel』。ダウ90000自体のチャンネル『ダウ九萬』も存在するが、この蓮見水族館ではよりニッチでよりディープな企画が展開されている。
なかでも非常に反響の大きい動画が、11か月前に公開された『第68回岸田國士戯曲賞の選評を読む』だ。
岸田國士戯曲賞とは戯曲『チロルの秋』『牛山ホテル』、小説『暖流』『双面神』などで知られる劇作家・岸田國士(故)の遺志を顕彰すべく株式会社白水社が主催する戯曲賞。
2023年のダウ90000第5回演劇公演「また点滅に戻るだけ」が第68回岸田國士戯曲賞の最終候補に選ばれたことを受け、審査員7人の「また点滅に戻るだけ」に対する選評に逆にリアクションしていくという非常に危険な企画だ。
それぞれのコメントに対し、共鳴できるコメントには非常に爽やかに共鳴しているのだが、納得ができないコメントには真正面からぶつかり異を唱える蓮見翔の一喜一憂が非常に面白い。
「もっと大きな主題を扱ってほしかった」というコメントに対しては、「そういう現代的な問題を含んでる戯曲とか大きな主題がある、そのいわゆる世のなかになにかを提示しているみたいなことがないと穫れない賞なんですか? じゃあ要りません」。
「笑った、それで何がしたい? という気持ちになる。もったいない」と評するコメントに対しては、「笑わせたいだけの作品を作るのがもったいないっていう価値観から変わってってくんないかなと思う(中略)。なんで面白いだけがダメか俺あんまり分かんないんだよな。人の人生が変わるみたいなことを望んでるのかな。読み物として滅茶苦茶面白かったらよくない? あー、すごくいい経験をしたなぁって。体験じゃん全部。すべては。メッセージじゃないと思うんですよね。体験だと思うんですよ、これって全部。戯曲だとしても。読んで内容どうこうというよりかは、読んだことがこれからの人生に影響を与えるかどうかで、影響を与えるかどうかってテーマあるないはあんま関係ないと思うんだよね。たとえば、親を大事にしようって話を書いたとして、親を大事にしようと思ったということが変化だとされているんだとしたら俺は違うと思う。面白い作品を見て、あー面白かった明日からがんばろう、が受け手の持つ変化だと思うんですよ僕は。だからテーマあるないは意外と関係なくて、その作品のエネルギーで人が動いたかどうかだと思うんですよ僕は。そういう評価に変わっていってほしい」
と、明らかに演劇界の重鎮であろう審査員にも、いっさいへりくだることなく自分の意思をぶつける。最高としか言いようがない。





















